“ぼ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:
語句割合
17.9%
16.9%
16.9%
9.7%
9.7%
簿5.8%
4.3%
3.9%
2.4%
1.9%
1.4%
1.4%
1.0%
1.0%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そして肥つてけて、見る影もなく年をとつた乳母の喉から出るものにしては、思ひも寄らぬ哀れ深く美しい歌だつたのです。
「むゝ。」とふくれ氣味のツちやまといふみえで、不承不精ふしやうぶしやう突出つきだされたしなを受取ツて、楊子やうじをふくみながら中窓のしきゐに腰を掛ける。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「いくらうろたえたって、暗殺者になるほど私は自分を軽蔑けいべつしやあしない、ことに貴方を斬るなんて、うぬれてはいけませんよ、原田さん」
戸外そと朧夜おぼろよであった。月は薄絹におおわれたように、ものうく空を渡りつつあった。村々は薄靄うすもやかされ夢のように浮いていた。
土竜 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
けなさるな——と言外に含ませて、老人の幻想はむざんに壊された。彼の惨憺さんたんたる思いは、顔のかたちをありありとゆがめていた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
しかし、児島高徳の名も、ここの参陣の“簿”のうちでは一個の小ヌカ星的な存在でしかなく、忠顕にも何の印象すらないようだった。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お宮の扉の上にある象鼻ぞうはな獅子頭ししのあたま彫刻ちょうこく、それから宮の中のかしりの鳩やにわとりなども、昔手をふれたままなのがたまらなくなつかしい。
落穂 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
娘が疲れてんやりした顔付きで次の間で帯を解いてゐると、弟共が物音で寝床から起きて来た。ぼけまなこで姉を取囲みながら、何か尋ねてゐる。
愚かな父 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
「ふと、気がつきますと、でかわずがたくさんいている」自分は今、目をその方に向けた時の様子をして、顔を少し横に突きだし、その時やってみたよりもずッと上手な具合ぐあいに
猫八 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
あげくの果て、着ている物まで野盗に襲われてはぎ取られてしまい、よろう如く十幾日かを逃げあるいていたが、顧みるといつか自分のそばには、もう甥の袁胤えんいんひとりしか残っていなかった。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは余程ふるっていますよ。なんでも女というものには娼妓のチイプと母のチイプとしかないというのです。簡単に云えば、娼ととでも云いますかね。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
丙は乙に当ると共に、丁戊ていぼの側面攻撃を防禦しなければならぬ。とが張り合っている横合いから丁が差手をする。そう当るとこうしんとが、間道づたいに奇襲を試みる。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と、彼方で武者えをあげると、うわあッと、こちらもこだまをかえした。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたくしは其印象の鮮明にして、ぜにの新にを出でたるが如くなるを見て、いまさらのやうに茶山の天成の文人であつたことを思ふのである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
明かなる夢は輪をえがいて胸のうちにめぐり出す。死したる夢ではない。五年の底から浮きりの深き記憶を離れて、咫尺しせきに飛び上がって来る。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
水を渡ってくる秋風も薄ら寒い。型のごとくに蘇小そしょう小のふん岳王がくおう、それからそれへと見物ながらに参詣して、かの楼外楼の下に画舫をつないだ頃には、空はいよいよくもって来た。
女侠伝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
たい院長が降りてゆくと、階下の物音はすぐやんだ。そして彼はまもなくくろのようなかちかちに肉のまった凄い男を一人つれて階上へもどって来た。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
阿父おとうさん、これちぎり立てのさくらなのよ。埃や毛虫の卵がくつ着いててもいけないから、一粒づつこの水で洗つて召しあがれよ。」
遠浅にかれひつる子のむしろを春かぜ吹きぬ上総かづさより来て
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
シラチブチはもとの小貝川がSの字形じけいに流れたまがの名で、渦を卷いて澱んでゐる頃は一の繩が下までとゞかぬと言はれた。
筑波ねのほとり (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
すこしづつつた。南瓜たうなす晝間ひるまいてよるになるとそつとつるいて所在ありかさがすのである。甘藷さつまいもつちいてさがりにするのはこゝろせはぎるのでぐつとく。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
時にはけたりする
星より来れる者 (旧字旧仮名) / 室生犀星(著)
そして、月々きまつてもらふお小つかひをすこしづゝ郵便ゆうびんちよ金にしはじめ、いつも母がくれるお中げんお歳の金も今までのやうに無駄むたには使つかはないことにした。
程近い線路を、好摩かうま四時半發の上り列車が凄じい音を立てゝ過ぎた頃、一行は小川家に着いた。噪いだ富江の笑聲が屋外までも洩れた。岩手山は薄紫にけて、其肩近く靜なる夏の日が傾いてゐた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
すがれの草もゆれてゐる
『春と修羅』 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
かな」という新聞の俳句欄の一片らしいのが見付かった時は少しおかしくなって来てつい独りで笑った。
浅草紙 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)