“吠”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
93.7%
ほえ2.0%
ほざ1.2%
うな0.8%
0.8%
うた0.4%
うなり0.4%
0.4%
べい0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その大男が、獅子ししえるような声でしゃべっているのですが、何を言っているのかサッパリわかりません。日本語ではないのです。
新宝島 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「犬にゃ眠り病もないらしいね、しかしどういうもんか向うに行くと神経質になって、ほえてばかりいて困ったが……」
睡魔 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
この妾の心! ああやっぱり恋かしら? ……恋なら恋でままよ! その恋ひたむきにとげるまでよ! ……ほざいたな小娘! 頼母様とは将来を誓約ちかった仲と! ……まことなりや
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それに、あんまり山が物凄ものすごいので、その白熊のやうな犬が、二疋いつしよにめまひを起して、しばらくうなつて、それから泡を吐いて死んでしまひました。
注文の多い料理店 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
撃柝の音は坂や邸の多い堯の家のあたりを、微妙に変わってゆく反響の工合で、それが通ってゆく先ざきを髣髴ほうふつさせた。肺のきしむ音だと思っていたはるかな犬の遠え。——堯には夜番が見える。
冬の日 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
一匹のやつは首を天へ向けて、何かそれに対して給金でも貰っているように一生懸命に、長く声を引き伸ばしながら吠えた。すると次ぎのが早速後をうけて、まるで寺男のようにうたい出す。
嫂の鼓膜こまくには肝腎かんじんの「松門しょうもん」さえ人間としてよりもむしろ獣類のうなりとして不快に響いたらしい。自分はかねてからこの「景清」といううたいに興味を持っていた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
敷台へ前脚をかけ、頻に尾を振り、いた。
蓮花図 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
漢詩では蛙の鳴くことを蛙鳴あめいといい蛙吠あべいというが、べいの字は必ずしも平仄ひょうそくの都合ばかりでなく、実際にも吠ゆるという方が適切であるかも知れないと、私はこの時初めて感じた。
二階から (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)