“軋”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
きし95.1%
きしり0.8%
ぎい0.8%
きしら0.8%
ヒシ0.8%
0.4%
きしみ0.4%
きしめ0.4%
へだた0.4%
れき0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
寒気は朝よりもひとしほ厳しくなつたが、そのかはり、靴の下できしてた雪の音が半露里もさきまで聞えるほど物静かな夜である。
きしりつたへてかすかにも——
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
余等は導かれて紅葉館の旗をともに立てた小舟に乘つた。宿引は一禮して去り、船頭はぎいと櫓聲を立てゝ漕ぎ出す。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
最新輸入の新しい型の自動車と交つては、昔ゆかしい定紋の付いた箱馬車に、栗毛の駿足を並べて、優雅に上品に、きしらせて来る堂上華族も見えた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
枝・木の葉の相ヒシめく音が、やむ間なく聞える。だが其も暫らくで、山は元のひつそとしたけしきに還る。唯、すべてが薄暗く、すべてが隈を持つたやうに、朧ろになつて來た。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
まあ、ときおり私の小屋のすぐ裏の方で何かが小さな音をしらせているようだけれど、あれは恐らくそんな遠くからやっと届いた風のために枯れ切った木の枝と枝とが触れ合っているのだろう。
風立ちぬ (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
と、差配さはいむねうへそのためか、婦人をんなこゑひそめたが、電車でんしやきしみひゞかぬ夜更よふけ
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
けれども勞働者の唄はふたゝきこえなかツた。たゞきしめ車輪しやりん鐵槌てつつゐの響とがごツちやになツてきこえるばかりだ。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
東海道軍はまた東海道軍で、この友軍の態度を好戦的であるとなし、甲州での戦さのことなぞをしざまに言うものも出て来た。ここに両道総督の間に自然とへだたりを生ずるようにもなったとある。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
上海棉花公司とか、広徳泰れき花廠とか、難解の文字の金看板が、家々の軒にかかっていて、夕陽にピカピカ光っている。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)