“きし”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
49.6%
21.0%
旗幟10.6%
騎士2.5%
愧死2.5%
1.8%
譏刺1.4%
1.2%
1.0%
気死0.8%
碁子0.6%
己氏0.4%
窺視0.4%
季氏0.4%
己巳0.4%
棄市0.4%
箕子0.4%
鬼史0.4%
寄示0.2%
棋士0.2%
癸巳0.2%
吉志0.2%
奇士0.2%
奇趾0.2%
姫氏0.2%
季子0.2%
0.2%
希之0.2%
帰思0.2%
棋子0.2%
毀訾0.2%
0.2%
窺伺0.2%
紀之0.2%
譏詞0.2%
貴紙0.2%
0.2%
飢死0.2%
鬼子0.2%
鬼市0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
すると猿沢は戸のきしるような声を立てて、意味もなく笑い出しました。その笑い声が、蟹江のかんにさわったのは、勿論のことです。
Sの背中 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
たかく、あしんで、ぬまきしはなれると、足代あじろ突立つゝたつて見送みおくつた坊主ばうずかげは、背後うしろから蔽覆おつかぶさるごとく、おほひなるかたちつてえた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それが立ち直ったのだから、『千載集』の復古主義は非常に力の強い、旗幟きし鮮明な運動であったことを承知しなければならない。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
「きちんと身体に合っている鎧は、今までにもないことはありませんよ。中世紀のヨーロッパの騎士きしは、これに似た鎧を着ていましたからねえ」
宇宙戦隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
愧死きしせねばならなくなる。——と、わしが云うとると伝えて、未亡人だけは安全な場所へ連れて行ってくれい。済まんが、君、行ってくれんか
日本名婦伝:谷干城夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ことにこの辺りは川幅もひろくかつ差し潮の力も利けば、大潮の満ち来る勢に河も膨るゝかと見ゆる折柄、潮に乗りてきしり出づる玉兎のいと大にして光り花やかなるを
水の東京 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
過去の偉人らの作を「古典クラシック」として演奏してる音楽学校の重鎮らにたいしては、彼はいかに譏刺きしを事としてもまだ足りなかった。
腰から下は濛々もうもうと舞いあがるほこりにかくして、歩兵の一群が過ぎると、間もなく輜重兵しちょうへいの隊列が、重い弾薬車のきしりで町並の家々をゆすぶりながら通った。
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
森の木葉このはのしげみは、闇を吐き出だす如くなれど、夕照ゆふばえは湖水に映じてわづかにゆくてに迷はざらしむ。この時聞ゆる單調なる物音は粉碾車こひきぐるまきしるなり。すべてのさま物凄く恐ろしげなり。
お勢が顔を視ている……このままで阿容々々おめおめ退しりぞくは残念、何か云ッて遣りたい、何かコウ品のい悪口雑言、一ごんもとに昇を気死きしさせる程の事を云ッて、アノ鼻頭はなづらをヒッこすッて
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
我目前には猶突兀とつこつたる山骨の立てるあり。物寂しく獨り聳えたる塔のさきに水鳥の群立むらたち來らんをうかゞひて網を張りたるあり。脚底の波打際を見おろせばサレルノのまちの人家碁子きしの如くつらなれり。
戎人己氏きしなる者の妻であった。顔立は美しくなかったが、髪の見事さは誠に輝くばかりである。公は侍臣に命じて此の女の髪を根本ねもとから切取らせた。
盈虚 (新字新仮名) / 中島敦(著)
被害者ダンネベルグ夫人以下四人が、いかなる理由の下に幼少の折渡来したか、また、その不可解きわまる帰化入籍については、いささかの窺視きしも許されない。依然鉄扉のごとくに鎖されている。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
先師が季氏きしを批評していわれた。——
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
寅之丞は当時近習小姓であった。天保十三年壬寅じんいんに生れたからの名である。即ち今の飯田たつみさんで、巽の字は明治二年己巳きしに二十八になったという意味で選んだのだそうである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
間もなく桑翀伏誅しその徒皆棄市きしされた時二喜のみ免れた。探索厳しいから村人多く疑う。由って老婆連を集め見せるに全く無性人と判った。
微子びし箕子きし比干ひかんは共にいんちゅう王の無道を諌めた。微子は諌めてきかれず、去って隠棲した。箕子は諌めて獄に投ぜられ、奴隷となった。比干は極諌して死刑に処せられ、胸をかれた。
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
音のして椿落ちたる笹の中 鬼史きし
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
此書の下巻は未刊行のものださうで、頃日このごろ箕山さんは蘭軒の伝を稿本中より抄出してわたくしに寄示きししてくれたのである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
第十二第十三は蘭軒の三子柏軒と茶山の養嗣子くわん惟繩ゐじようとである。蘭軒は柏軒の詩を茶山に寄示きしした。茶山はこれをめて、菅三の詩の未だたくみならざることを言つた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
やぶれたるせん棋士きしけう中やはたして如何に? どんな勝負せうふ事もはい後に生くわつ問題もんだいうら附けるとなれば一そう尖鋭化せんえいくわしてくる事は明かだが
あらそ將棋せうきやぶれていて死ぬなどは一しゆ悲壯ひそう美をかんじさせるが、迂濶うくわつに死ぬ事も出來ないであらうげん代のせん棋士きしは平ぼん
抽斎の目見をした年のうるう四月十五日に、長男恒善つねよしは二十四歳で始て勤仕した。八月二十八日に五女癸巳きしが生れた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
嘉永四年には、二月四日に抽斎の三女で山内氏を冒していた棠子とうこが、痘を病んで死んだ。いで十五日に、五女癸巳きしが感染して死んだ。彼は七歳、これは三歳である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
我が聖武天皇の御世に、吉志きしの火麿といふ者母を邪魔にして、山中におびき出して殺害せんとした時、俄に大地裂けて、火麿は裂目に陷りて悲鳴を擧げた。母は火麿の惡逆の仕業をも打ち忘れて
ただ当世の一奇士きしなりとぞ二四いひはやしける。
ヒラコイデア(岩兎ヒラクスの属)、バリポダ、トクソドンチア、アムブリポダ、リトプテルナ、アンキロポダ、コンジラルトラ(いずれも絶滅す)、奇趾きし、双趾の十類を分つ。
だが、オキチでもブタでも、とにかく、彼等の満喫するに足る柔肌やわはだのかいなに抱かれて、彼らが姫氏きしの国の甘夢にうつつなき一夜こそ、港の埠頭ふとうは戦争だった。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
延陵えんりょう季子きし、その長子をほうむりて、『骨肉は上に帰復すさだめなり。魂気の若きは、すなわちかざるなし、かざるなし』とのたまいし、云云うんぬん
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
奇樹きじゆきしよこたはりてりようねふるがごとく、怪岩くわいがんみちふさぎてとらすにたり。山林さんりんとほそめにしきき、礀水かんすゐふかげきしてあゐながせり。金壁きんへきなら緑山りよくざんつらなりたるさま画にもおよばざる光景くわうけい也。
此文を見れば、雲嶺も亦酒をたしんだことがわかり、又苾堂が下戸であつたことがわかる。雲嶺は石野氏、名は世彜せいい、一に世夷せいいに作る、あざな希之きし、別に天均又皆梅かいばいと號した。また駿河の人で詩を善くした。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
師団の待遇ようやく優厚ならんとす。ここにおいてか同行者中少しはくつろぎたりとてやや帰思きしゆるうする者あり。然り而して待遇厚きを加ふるごとにわが帰思最も切なり。
従軍紀事 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
それはね、あの碁盤のやうな盤の上で、両方に分れて一方は白、一方は黒で、卒、騎士、僧正、城、女王、王、と云ふやうにいろ/\ちがつた棋子きしをならべて陣だてをする。そして戦ひをはじめる。
鉤摭こうせきして説を成し、上古にがっするを務め、先儒を毀訾きしし、以謂おもえらく我に及ぶなりと、更に異議を為して、以て学者を惑わす。是を訓詁くんこという。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
韋駄天いだてんを叱する勢いよくまつはなけ付くれば旅立つ人見送る人人足にんそく船頭ののゝしる声々。車の音。端艇きしをはなるれば水棹みさおのしずく屋根板にはら/\と音する。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
姦言かんげんかざり、近事きんじり、時勢を窺伺きしし、便べんはしげきに投じ、冨貴ふうきを以て、志とす。これ利禄りろくう。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
海保漁村、名は元備げんびあざな純卿じゅんけい、また名は紀之きし、字は春農しゅんのうともいった。通称は章之助しょうのすけ伝経廬でんけいろの別号がある。寛政十年に上総国かずさのくに武射郡むさごおり北清水村きたしみずむらに生れた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
勿論僕は、神意審問会の情景を再現した際に、なんとなく伸子の匂いが強く鼻を打ってきたのだ。で、試みに、譏詞きしと諷刺のあらん限りを尽し、お座なりの捏造ねつぞうを旗太郎に向けてみた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
前回のわたしの通信を、貴紙きしにのせてくださったことを感謝する。つづいて、ここに第二の通信をおくる。
怪奇四十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
深更の大路に車のきしる音が起って、みやこの一端をりんりんとしてひびき、山下を抜けて広徳寺前へかかる時、合乗あいのり泥除どろよけにその黒髪を敷くばかり、蝶吉は身を横に、顔をあおむけにした上へ
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もう一つの丸い自然石の表には、「三界之万霊」とあり、両側に、「飢死きし」「横死おうし」と彫ってある。年代が書いてないけれども、随分、古いものらしい。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
諸君、我らはこの天皇陛下をっていながら、たとえ親殺しの非望を企てた鬼子きしにもせよ、何故なにゆえにその十二名だけゆるされて、の十二名を殺してしまわなければならなかったか。
謀叛論(草稿) (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
未聞の代には鬼市きしとして顔を隠し、また全く形を見せずに貿易する事多し(一九〇四年の『随筆問答雑誌ノーツ・エンド・キーリス』十輯一巻二〇六頁に出た拙文「鬼市について」)