“突立”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
つった54.6%
つッた13.8%
つゝた9.9%
つツた7.9%
つきた6.6%
つつた2.0%
つったち1.3%
つったっ1.3%
つきたて0.7%
つきたっ0.7%
つきだ0.7%
つッたッ0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そうして「御気の毒ですが、ただいま来客中ですからまたどうぞ」と云って、敬太郎の前に突立つったっていた。敬太郎も少しむっとした。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私がのっそりと突立つッたったすそへ、女の脊筋せすじまつわったようになって、右に左に、肩をくねると、居勝手いがってが悪く、白い指がちらちら乱れる。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
たかく、あしんで、ぬまきしはなれると、足代あじろ突立つゝたつて見送みおくつた坊主ばうずかげは、背後うしろから蔽覆おつかぶさるごとく、おほひなるかたちつてえた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
やあきたねどぶだ。おそろしい石灰いしばひだ。ひどみちだ。三階さんがいがあるぜ、浴衣ゆかたばかしの土用干どようぼしか、夜具やぐうら眞赤まつかな、なん棧橋さんばし突立つツたつてら。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
杖をこみち突立つきたて/\、辿々たどたどしく下闇したやみうごめいてりて、城のかたへ去るかと思へば、のろく後退あとじさりをしながら、茶店ちゃみせに向つて、ほっと、立直たちなおつて一息ひといきく。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
自分は海岸通りのホテルに茶菓さくわあぢはつたのち、汽車で東京に帰つた。人家の屋根の上には梅毒の広告が突立つつたつてゐる大きな都会。
海洋の旅 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
よしや我身の妄執もうしゅうり移りたる者にもせよ、今は恩愛きっすて、迷わぬはじめ立帰たちかえる珠運にさまたげなす妖怪ようかい、いでいで仏師が腕のさえ、恋も未練も段々きだきだ切捨きりすてくれんと突立つったち
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
日の光りを透さずに、枝と枝とがまじえて、空を塞いでいる。白い幹が赤い幹と交って突立つったっているのが目に入った。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
取なといはるゝに忠右衞門殊勝けなげにも然らば父上ちゝうへ御免をかうむり御先へ切腹仕つり黄泉くわうせん露拂つゆはらひ致さんといさぎよくも短刀たんたうを兩手にもち左の脇腹わきばらへ既に突立つきたてんとする折柄をりから廊下らうか
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
太い、黒い烟突えんとつが二本空に、突立つきたっていた。その烟突は太くて赤錆が出ているばかりでなく、大分破れてあな処々ところどころにあいている。
暗い空 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ト云ッてスコシ胸を突立つきだして、儼然きッとして
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
芸を仕込めば物覚えが悪く、其の上感所かんどころが悪いもんだから、ばちのせいじりで私は幾つったか知れません、おどりを習わせれば棒を呑んだ化物ばけものを見たように突立つッたッてゝしょうが無かったのを
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)