突立つゝた)” の例文
たかく、あしんで、ぬまきしはなれると、足代あじろ突立つゝたつて見送みおくつた坊主ばうずかげは、背後うしろから蔽覆おつかぶさるごとく、おほひなるかたちつてえた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
両親にもながの暇乞いとまごひをして、やがて肌を脱いで、刀を手に取つた。介錯かいしやく役にそば突立つゝたつてゐた伯父は落ついた声で呼びかけた。
と、きふひと院長ゐんちやうだとわかつたので、かれ全身ぜんしんいかりふるはして、寐床ねどこから飛上とびあがり、眞赤まつかになつて、激怒げきどして、病室びやうしつ眞中まんなかはし突立つゝたつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
けいそう阿甥あせい阿姪あてつ、書生など三階総出の舞台の中央にすつくと突立つゝたつ木強漢(むくつけをとこ)。其れ韈(くつした)をお穿きなさい。韈は穿きぬ。
燕尾服着初めの記 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
驚く程強い光澤を含んだ黄色くわうしよくに彩られて、其の上には大空が一面思ふさま青く輝き、地平線の境には眞白な雲の列と緑色の白楊樹はくやうじゆが二三本離れ離れに突立つゝたつて居るばかり。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
なにか御用ですか」と門野かどのが又た。はかまいで、足袋たびいで、団子だんごの様な素足すあししてゐる。代助はだまつて門野かどのかほを見た。門野かどのも代助の顔を見て、一寸ちよつとあひだ突立つゝたつてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其儘そのまゝ突立つゝたつて志村しむらはうた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
自棄やけ突立つゝたつて、胴體どうたいドタンと投出なげだすばかり、四枚よまい兩方りやうはうひきずりけた、ひぢかけまどへ、ねるやうに突掛つゝかゝつて
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
理髪床かみゆひどこの主人は謹んでお受けをした。そして使者つかひが帰つたあとで、土間に突立つゝたつて大きな咳払せきばらひをした。
「まあ野々宮さんのところつて、御談義を聞いてい」と云ひ棄てゝ、相手は池の方へ行き掛けた。三四郎は愚劣ぐれつ看板かんばんの如く突立つゝたつた。与次郎は五六歩つたが、又笑ひながら帰つてた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ふ。天窓あたまおほきな、あごのしやくれた、如法玩弄によはふおもちややきものの、ペロリとしたで、西瓜すゐくわ黒人くろんぼ人形にんぎやうが、トあかで、おでこにらんで、灰色はひいろ下唇したくちびるらして突立つゝたつ。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其時そのとき荒坊主あらばうず岸破がば起上おきあがり、へさき突立つゝたツて、はつたとけ、「いかに龍神りうじん不禮ぶれいをすな、このふねには文覺もんがく法華ほつけ行者ぎやうじやつてるぞ!」と大音だいおんしかけたとふ。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
提灯ちやうちん一個ひとつ引奪ふんだくつて、三段さんだんばかりあるきざはし正面しやうめん突立つゝたつて、一揆いつきせいするがごとく、大手おほてひろげて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何故なぜ雪枝ゆきえ他人たにん訪問はうもんたやうな心持こゝろもちつて、うつかり框際かまちぎは広土間ひろどま突立つゝたつてた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
われち、とりぶやうに、ばら/\ると、さすがは救世主キリストのお乳母うばさん、のさつと太陽した一人ひとりうづたかくろふく突立つゝたつて、狂人きちがひ向合むきあつてかゞみましたつけが、かなはなくつたとえて
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
が、唐突だしぬけおほき材木ざいもくけて突立つゝたつて、手足てあしえだえたかとうたがはるゝ。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はしさしはさんで、かはさかのぼつたり、ながれたりして、流網ながれあみをかけてうをるのが、かはなか手拱てあぐらかいて、ぶる/\ふるへて突立つゝたつてるうちはかほのある人間にんげんだけれど、そらといつてみづもぐると、さかさになつて
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)