“提灯”のいろいろな読み方と例文
旧字:提燈
読み方割合
ちょうちん79.0%
ちやうちん13.4%
ぢょうちん3.2%
かんばん1.7%
てうちん0.6%
あかり0.4%
ちようちん0.4%
ちゃうちん0.2%
これ0.2%
しるし0.2%
ぢやうちん0.2%
てふちん0.2%
ともし0.2%
カンテラ0.2%
ランタン0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「これは」と思って眼をやると、対岸安宅あたか町の方角で、飛び廻っている御用提灯ちょうちん! しかも五つ六つではない、二十三十乱れている。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しな塔婆たふばまへにそれから其處そこら一ぱい卵塔らんたふまへ線香せんかうすこしづゝ手向たむけて、けてほつかりとあかつた提灯ちやうちんげてもどつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
このようなことを言っているところへ、初やが狐饅頭きつねまんじゅうを買って帰ってくる。小提灯ぢょうちんを消すと、蝋燭ろうそくから白い煙がふわふわとあがる。
千鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
千住の宿場遊廓しゅくばぐるわから飛んで来た帰りかご提灯かんばんらしいのが、どう道を勘ちがいしたか、刑場の原へぶらぶら迷いこんで来る様子——
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さあいたところみやこはなの評判で、しも全盛ぜんせいきはめたりし我楽多文庫がらくたぶんこにはか月夜げつや提灯てうちんつた、けれども火はえずに、十三、十四、十五、(よく二十二年の二月出版しゆつぱん)と持支もちこたへたが
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それに、船のお席も私がまいらぬと分りませんから、ちょッとお待ち下さいませ……ただいま、提灯あかりともして、すぐにお供をいたしますから
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
灰色の毛皮の敷物のはしを車の後に垂れて、横縞よこじま華麗はなやかなる浮波織ふはおり蔽膝ひざかけして、提灯ちようちん徽章しるしはTの花文字を二個ふたつ組合せたるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
赤い提灯ちゃうちんが沢山ともされ、達二の兄さんが提灯を持って来て達二と並んで歩きました。兄さんの足が、寒天のやうで、夢のやうな色で、無暗むやみに長いのでした。
種山ヶ原 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「旦那、まことに申しかねますが、提灯これをちょッと持っていて下さいませんか……どうも尾籠びろうなお話ですが、すこし小用がつかえまして……」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
提灯しるしを持っているほうは、海部同心の安井民右衛門たみえもん土岐とき鉄馬のふたり。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
近江屋「なに、それはもつと小さい丸いので、ぶら提灯ぢやうちんといふのだが、あれは神前しんぜん奉納ほうなふするので、周囲まはりあかつぶして、なかくろで「うをがし」と書いてあるのだ、周囲まはりなかくろ
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
人通りの少ない小路こうぢを二三度折れたりまがつたりして行くうちに、突然辻占つぢうら屋に逢つた。大きな丸い提灯てふちんけて、腰からした真赤まつかにしてゐる。三四郎は辻占が買つて見たくなつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
靄の赤みに、夢ごころ、提灯ともしふらまし。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ただ扉を開けて提灯カンテラをふり廻すだけだ。その場合、彼は倉庫の隅の大きなソファの上で——決して下へかくれる必要はない——二分乃至三分間、静粛にしていればいい………
「あの提灯ランタンは何といふの?」
熱い風 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)