“かんばん”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カンバン
語句割合
看板43.5%
招牌24.4%
燗番14.5%
提灯6.9%
提燈3.8%
行燈1.5%
0.8%
甲板0.8%
商牌0.8%
招児0.8%
看板女0.8%
看版0.8%
看牌0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
町の人たちは、あの馬鹿ばか甚兵衛がたいそうな看板かんばんをだしたが、どんなことをするのかしらと、面白半分おもしろはんぶん小屋こやへはいってみました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「おん茶きこしめせ、梅干もさぶらふぞ」の招牌かんばんは昔ながらでも、それは風流の人たちが喜ぶので、小さな子たちには向きません。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
彼は立ちあがってお燗番かんばんを手招ぎした。酔った勢いでやって来て、思いをさらけだして満足して、そこでまた一時に酔いを発した。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
で、二台、月に提灯かんばんあかり黄色に、広場ひろっぱの端へ駈込かけこむと……石高路いしたかみちをがたがたしながら、板塀の小路、土塀の辻、径路ちかみちを縫うと見えて、寂しい処幾曲り。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、庄左衛門は、すぐ通りかかる提燈かんばんを呼び止め、何処か行く先をささやいて
濞かみ浪人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
消えなんとする旅籠屋はたごや行燈かんばんを、時雨の軒に便る心で。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なるほど、迎恩橋まで来てみると、旅館はじんの一行で貸切かしきりとみえ、旗、のぼりかんばん、造花でふちどられた絵像のがくなど、たいへんな飾りたてである。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「片腹痛いが、ことしは俺のかんばんを割った奴がある。健気けなげな奴だとめておこう。あしたはきっと姿を消さずに出て来いよ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
くつの先で甲板かんばんをこつこつとたたいて、うつむいてそれをながめながら、帯の間に手をさし込んで、木村への伝言を古藤はひとりごとのように葉子にいった。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
戸をあけて甲板かんばんに出ると、甲板のあなたはさっきのままの波また波の堆積たいせきだった。大煙筒から吐き出される煤煙ばいえんはまっ黒い天の川のように無月むげつの空を立ち割って水に近く斜めに流れていた。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
錦繪を賣る店も商賣になるものと見え、震災後はローマ字の商牌かんばんを屋根にあげ、店口は洋風に飾窓などつけてやつてゐます。
砂がき (旧字旧仮名) / 竹久夢二(著)
ここに紫金大街しきんたいがいで一番の大店舗おおみせしち、物産屋の招児かんばんも古い盧家ろけの内では、折しも盧の大旦那——綽名あだな玉麒麟ぎょくきりんが——番頭ばんとう丁稚でっちをさしずしてしきりにしち流れの倉出し物と倉帳くらちょうとの帳合ちょうあいをやっていたが
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、看板女かんばんのおきんに茶をくませて出したが、その湯呑ゆのみの下に、案の条、二朱包んであった。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
昨日きのうもちょうどそんな事を考えながら歩いて、つまるところがペンキの看版かんばんかきになろうが稲荷いなり八幡様はちまんさまの奉納絵を画こうがかまわない。
郊外 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
家の作り方、ことに商店の看牌かんばんや店飾りのたぐいが、今と昔とはほとんど比較にならないほどに華やかになった。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)