“灯”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方割合
37.2%
あかり27.0%
ともしび8.4%
とも8.4%
あか4.3%
ともし3.5%
3.1%
2.9%
あかし1.6%
とう1.0%
ひとも0.9%
0.8%
とぼ0.3%
0.1%
うつ0.1%
0.1%
とぼし0.1%
ひかり0.1%
アカシ0.1%
ランタン0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ゆきなか紅鯛べにだひ綺麗きれいなり。のお買初かひぞめの、ゆき眞夜中まよなか、うつくしきに、新版しんぱん繪草紙ゑざうしはゝつてもらひしうれしさ、わすがたし。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
お吉の指す方、ドブ板の上には、向う側の家の戸口から射すあかりを浴びて、あけに染んだ、もう一人の娘が倒れてゐるではありませんか。
 千仭せんじんがけかさねた、漆のような波の間を、かすかあおともしびに照らされて、白馬の背に手綱たづなしたは、この度迎え取るおもいものなんです。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
父は家人の騒ぐのを制して、はかま穿きそれから羽織をた。それから弓張ゆみはりともし、仏壇のまへに据わつて電報をひらいたさうである。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
夜の散歩のついでにふとこの産院のあかりが目にはいると、何か誘はれるみたいにふらふらつと庭のガラス戸を自分で押すのださうよ。
死児変相 (新字旧仮名) / 神西清(著)
処へ、かの魚津の沖の名物としてありまする、蜃気楼しんきろうの中の小屋のようなのが一軒、月夜にともしも見えず、前途に朦朧もうろうとしてあらわれました。
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
親爺は湯殿に這入ると、天井からブラ下がっている針金を探って、今日買って来たばかりの五分心ぶしんの石油ラムプを吊して火をけた。
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
彼女かれ寝衣ねまきの袂で首筋のあたりを拭きながら、腹這いになって枕辺まくらもと行燈あんどうかすかかげを仰いだ時に、廊下を踏む足音が低くひびいた。
黄八丈の小袖 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
人仕事ひとしごといそがわしい家の、晩飯の支度は遅く、ちょう御膳ごぜん取附とっつきの障子をけると、洋燈ランプあかし朦朧もうろうとするばかり、食物たべものの湯気が立つ。
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
室内は、暗室あんしつになっていた。ただ桃色ももいろのネオンとうが数箇、室内の要所にとぼっていて、ほのかに室内の什器や機械のありかを知らせていた。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
普通なみの小さきものとは違いて、夏の宵、夕月夜、ひともす時、黄昏たそがれには出来いできたらず。初夜すぎてのちともすればその翼もて人のおもておおうことあり。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わけて、こがらしの吹きすさぶ夜は、大岳たいがくの木の葉が、御簾ぎょれんのあたりを打ッて、ともしのささえようすらないのであった。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうしてへやの中にとぼれている丸硝子ガラスの行燈の、薄黄色い光りで向うを見ますと、妾は自分の眼を疑わずにはおられませんでした。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
◯いつも夜中、警報中に「おい、かりついとるぞ!」「灯かり消せ!」とどなり立てている丘の下の町に、きょうはどっと歓声があがるのを聞いた。
海野十三敗戦日記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
野に火が上り、海に浮び、河にうつる。おびただしい火の大群である。
途端に頭の上の電燈が眩しく紫色にもった。
あやかしの鼓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
とぼそ漏る赤きとぼしに照らされて
夜の讃歌 (新字旧仮名) / 富永太郎(著)
皆な二階に集つてゐたので、蔵前の雛段の前には人影がなく、徒らに雪洞のひかりが明るいだけだつた。
熱い風 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
暗いみアカシの光りの代りに、其頃は、もう東白みの明りが、部屋の内の物の形を、オボろげにアラハしはじめて居た。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
「それにしても、君はだいぶ血まみれのようですな」ランタンの光りで、ラスコーリニコフのチョッキに生々しい血痕けっこんをいくつか見つけて、署長は注意した。