“とぼ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
41.9%
17.8%
11.0%
8.9%
3.7%
3.1%
2.1%
2.1%
2.1%
1.6%
1.6%
1.0%
仮忘0.5%
恍呆0.5%
点火0.5%
0.5%
0.5%
途呆0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
この船をのがしたら二度と機会は来ないかもしれない。あの荒れたとぼしい、退屈な、長い長い日が無限につづくことを思えばたまらない。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
「ざまア見ろ、そんなすッとぼけたことを言ってやがるから、しょうべん組などに出しぬかれるのだ。おい、俺の面をどうする」
顎十郎捕物帳:05 ねずみ (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それをいくらかの金銭に代へて、何か肴と一合ばかりの泡盛を買って、女達はハブに咬まれないやうに炬火たいまつとぼして帰って来る。
奥間巡査 (新字旧仮名) / 池宮城積宝(著)
しわりしわりとまたたいている阿賀妻は、そんなとぼけたような恰好かっこうで、その実自分にとっては周到な先の先まで思いめぐらし考案にふけっていた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
「あんな大声で呼んだのにそらとぼけた真似をするな、この礼儀知らずの素町人め」「大層御立腹ですな」
入婿十万両 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「やつぱり酒を飲むのかい。」氷川が言ふと、彼はわざととぼけた不満顔で、「そんな事言ふない」と笑つてゐた。
倒れた花瓶 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
二本の朱蝋燭しゅろうそくをあかあかととぼさせたり、また、紙銭かみぜにや花をかざり、その間には香煙こうえん縷々るるいて、およそ兄の武大が生前好きだった種々くさぐさな供物は、なにくれとなく
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その他いろいろの飾物があるのみならず、本堂の中には三千五千のバタの燈明がとぼって居るです。バタの光というものは菜種油なたねあぶらの光よりも非常に白く、ちょっとガスの火に似て余程明るいです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
客「おとぼけでない、唄ったよ、お前がばちを持って、花魁の三味線でお前が変な声を出して唄ったという噂が残ってるよ」
部屋々々の洋燈は静かにとぼった。お倉は一つの洋燈の向うに見える丸蓋まるがさの置洋燈の灯を眺めて
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
わたくしが光照院の墓の文字を讀んでゐるうちに、日はやうやく暮れむとした。わたくしのために香華を墓に供へたおうなは、「蝋燭らうそくとぼしてまゐりませうか」
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
天正十八年八月に家康は江戸に入つて、用水のとぼしきを憂へ、忠行にはかつた。忠行乃ち仁治中北条泰時の故智を襲いで、多摩川の水を引くことを策した。今の多摩川上水が是である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
失わず「御笑談ごじょうだんさるな私しが何をしました」目科は肩をそびやかして「これ/\今と成て仮忘とぼけてもいけないよ、其方が一昨夜梅五郎老人を殺し其家を出て行く所を ...
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
旅川周馬、いかにも恍呆とぼけた返辞をして
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今度は新しい蝋燭へ点火とぼしたが、此の時更に聞こえた、イヤ聞こえる様な気のしたのは人の溜息とも云う可き、厭あな声である、実に厭だ
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
あまり待ち遠だつたので左の耳のあたりにつかねた髮にしていた清らかな櫛の太い齒を一本いて一ぽんとぼして入つて御覽になるとうじいてごろごろと鳴つており、頭には大きな雷が居
此時は里人さとひと幾十人をやとひ、かんじきすかりにてみち蹈開ふみひらかあとしたがつゆく也。此ものいり幾緡いくさしの銭をつひやすゆゑとぼしきたび人は人のみちをひらかすをまちむなしく時をうつすもあり。健足けんそく飛脚ひきやくといへども雪みちゆくは一日二三里にすぎず。
文学で誰が誰の弟子だなどという者がいたり、あれはおれの弟子だなどと途呆とぼけて言う奴がいたら、それは文学者の風上に置けぬ奴であろう。
我が愛する詩人の伝記 (新字新仮名) / 室生犀星(著)