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呆
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とぼ
ふりがな文庫
“
呆
(
とぼ
)” の例文
「一向嬉しくない。
何
(
ど
)
うしたもんだらう。」上人は
呆
(
とぼ
)
けた顔をしてじつと考へ込んだ。「もつとたんと落さなくつちやならないか知ら。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
しわりしわりと
瞬
(
またた
)
いている阿賀妻は、そんな
呆
(
とぼ
)
けたような
恰好
(
かっこう
)
で、その実自分にとっては周到な先の先まで思いめぐらし考案にふけっていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
「誰がって親分、
呆
(
とぼ
)
けちゃいけねえ、
犯人
(
ほし
)
さあね、辰さ。とんぼの畜生、おいらがお菊坊をばっさりやったに違えねえと、ねえ親分、
即
(
そく
)
に口を割りやしたろう、え?」
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
小初は
堅気
(
かたぎ
)
な料理屋と知っていて、わざと
呆
(
とぼ
)
けて貝原に
訊
(
き
)
いた。貝原は何の
衝動
(
しょうどう
)
も見せず
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その弥次郎兵衛はたしかに理想的の弥次さんであった。あくまでも真面目に取り澄ましていて、それで
何処
(
どこ
)
となく
呆
(
とぼ
)
けている工合は、
十返舎一九
(
じっぺんしゃいっく
)
の筆意を眼のあたりに見るようであった。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
……清水谷公園を一廻りに大通を過ぎて番町へ帰ったが、
吻
(
ほっ
)
として、浴衣に着換えて、足袋を脱ぐ時、ちょっと肩をすくめて、まず
踵
(
かかと
)
、それから、
向脛
(
むこうずね
)
を見て苦笑したのは、我ながら
呆
(
とぼ
)
けている。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ナニ稼業? そんなものがあるのか」そらっ
呆
(
とぼ
)
けてやり込めた。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
素
(
す
)
の額のまろい
眶
(
まぶた
)
の肉の垂れた、眼の柔和な、何か老いて
呆
(
とぼ
)
け
面
(
づら
)
の、耳の蔽い毛の
房々
(
ふさふさ
)
して、部厚い灰色の、
凸凹
(
でこぼこ
)
の背の、気の弱い緬羊は密集して、誰から、どの列から誘うとも誘われるともなしに
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
女中が彼を揺ると、彼はううんと態と
呆
(
とぼ
)
けた返事をした。
焔
(新字旧仮名)
/
原民喜
(著)
「もうそんな時間かえ」と彼女は
呆
(
とぼ
)
けたように言った。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
世の中には結構な音楽よりも、
呆
(
とぼ
)
けて世間話でも
仕
(
し
)
て聴かせた方が、ずつと
利益
(
ため
)
になる人があるのを検校はよく知つてゐた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
わたくしは少し
呆
(
とぼ
)
けて訊いてみました。すると池上は右手を大きく振って
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
近藤相模守が、論争をぼやかすべく、また
呆
(
とぼ
)
けて顔を突き出した。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
円
(
まる
)
い眼ばりもくるくると
今日
(
けふ
)
も
呆
(
とぼ
)
けた宙がへり。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
葉之助は空
呆
(
とぼ
)
けた。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
学生達はその皮肉なサウル爺さんの挨拶に度胆をぬかれて、みんな驢馬のやうに
呆
(
とぼ
)
けた顔をしてゐましたが、暫くすると、驢馬のやうに駆け出して行きました。
茶話:07 大正十四(一九二五)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
恐ろしきほど
真白
(
まつしろ
)
く
白粉
(
おしろい
)
つけた
呆
(
とぼ
)
けがほ。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
独帝
(
カイゼル
)
は急ぎの用事でもあるらしい顔附で、そのなかに紛れ込んで往つたが、擦れ違ひざま牛のやうな
呆
(
とぼ
)
けた顔の男を見ると、いきなり拳をあげてぽかりと帽子を叩きつけた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
人の見限つた女でも、欲しければ貰つてやつても
可
(
い
)
い。
然
(
しか
)
しまだ籍が抜けないのに
態々
(
わざ/\
)
離婚訴訟の渦中に飛び込んでその女の旅先までも追ひゆき、女の
家
(
うち
)
へは行き度くないからだと
呆
(
とぼ
)
け顔。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「さあ、その返礼でございますて。」伊豆守は
態
(
わざ
)
と
呆
(
とぼ
)
けた顔をしてみせた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
呆
漢検準1級
部首:⼝
7画
“呆”を含む語句
痴呆
呆然
呆気
阿呆
寝呆
呆痴
呆痴者
呆返
阿呆鳥
阿呆顔
痴呆性
阿呆面
痴呆者
癡呆
痴呆奴
呆々
呆作
呆氣
空呆
阿呆陀羅経
...