“痴呆”のいろいろな読み方と例文
旧字:癡呆
読み方割合
ちほう55.6%
たわけ11.1%
ちはう8.3%
うつけ5.6%
ばか5.6%
ほう5.6%
こけ2.8%
アハウ2.8%
バカ2.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一時的に狂態を演ずるところの痴呆ちほう状態になる一種の病的現象というものは、狐が化かすという口碑伝説のつたわらない以前の日本にも
ばけものばなし (新字新仮名) / 岸田劉生(著)
善「左様なまねをするから打擲したが如何いかゞ致した、汝はな此の斯様かような所へ立廻ると許さぬから左様心得ろ、痴呆たわけめ、早く帰れ/\」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
大の男が痴呆ちはうと醜體の限りを盡して、たいして恥入る風もありませんが、それでも時が經つにつれて、曉方の風が身に沁みると、いくらかは本心を取戻した樣子です。
銭形平次捕物控:315 毒矢 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
山々の段々畠に棚引く菜種、蓮花草の黄に紅に、絶間なく揚る雲雀ひばりの声に、行衛も知らぬ身の上を思ひ続けつゝ、幾度となく欠伸し、痴呆うつけの如くよろめき行くさまひとへに吾が生胆いきぎもを取られたる如し。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
何しろよく知っている百姓たちでね、いい人間なんだ。気の毒になったよ。恐怖のあまりまるで痴呆ばかになっていた。
(新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
好いた女と一所に殺されて、後に祟りを残すなんて仕事が、馬十の痴呆ほうけた頭には、たまらなく楽しみだったかも知れないね
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「それが、……赤斑あかふもあれば、死顔は痴呆こけのよう。下痢くだしたものは、米磨汁とぎじるのようで、嘔吐はいたものは茶色をしております。どう見たって、虎列剌に違いねえので……」
顎十郎捕物帳:05 ねずみ (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
痴呆アハウノ心ハ日ニ益増長セリ。開化進ンデ家禄取ラレ、公布ノ一紙ニ憐ム可シ乞食、嗚呼自分ヲ亡ボス者ハ自分也天ニ非ズ。禄ヲ失フ者ハ時也天朝ニ非ズ。
阿房山賦 (新字旧仮名) / 成島柳北(著)
……ボ……僕は精神病者キチガイかも知れません。……痴呆バカかも知れません。けれども自尊心だけは持っています。良心だけは持っているつもりです。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)