痴呆ちはう)” の例文
旧字:癡呆
大の男が痴呆ちはうと醜體の限りを盡して、たいして恥入る風もありませんが、それでも時が經つにつれて、曉方の風が身に沁みると、いくらかは本心を取戻した樣子です。
銭形平次捕物控:315 毒矢 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「早発性痴呆ちはうと云ふやつですね。僕はあいつを見る度に気味が悪くつてたまりません。あいつはこの間もどう云ふ量見か、馬頭観世音ばとうくわんぜおんの前にお時宜じぎをしてゐました。」
歯車 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
縦令たとひ石橋いしばしたゝいて理窟りくつひね頑固ぐわんことうことの如く、文学者ぶんがくしやもつ放埓はうらつ遊惰いうだ怠慢たいまん痴呆ちはう社会しやくわい穀潰ごくつぶ太平たいへい寄生虫きせいちうとなすも、かく文学者ぶんがくしや天下てんか最幸さいかう最福さいふくなる者たるにすこしも差閊さしつかへなし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)