“こけ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:コケ
語句割合
苔74.1%
白痴7.9%
蘚苔3.4%
虚仮2.5%
此処1.9%
鱗1.5%
蘚1.5%
痴1.3%
蘇苔0.8%
馬鹿0.6%
地衣0.6%
蘿0.6%
呆痴0.4%
苔蘚0.4%
此家0.2%
地苔0.2%
此地0.2%
海苔0.2%
痴呆0.2%
瘠0.2%
瞽家0.2%
緑苔0.2%
転0.2%
阿呆0.2%
顛0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
絶壁には千年の苔(こけ)がむして、荒波のしぶきが花と散っている。そして信天翁(あほうどり)の群が、しゃがれ声で鳴きながら、その上を飛んでいる。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
「親分、かう言つたわけだ。三輪の親分に白痴(こけ)扱ひにされても腹は立たねえが、親分の事まで何とか言はれちや我慢がならねえ。それに——」
サルオガセがぶら下ったり、山葡萄(やまぶどう)が絡(から)んだり、其(それ)自身(じしん)針葉樹林の小模型(しょうもけい)とも見らるゝ、緑(りょく)、褐(かつ)、紫(し)、黄(おう)、さま/″\の蘚苔(こけ)をふわりと纏(まと)うて居るのもある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
総て虚仮(こけ)といって飾る心で称える念仏では往生は出来ない。飾る心がなくして、真の心で申さねばならぬ。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
やす さつきからも、おつ母さんと話したこツだるが、あんたしやが、そん気になれば、ずつと此処(こけ)えをつたてちや、大丈夫、やつて行かるツとだるけんね。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
幸「鯉こくなどは此処へは良(い)いのが来る、信州から来るのは不良(いけねえ)のがあるという……これは結構……ウム鯉の鱗(こけ)などを引いたのア不思議で、鱗が些(ちっ)とも無いねえ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私は堂を廻つてゐる高縁に蹲んで蘚(こけ)の上を眺めてゐた。足の裏に板の木目(もくめ)を氣持ちよく感じながら夜の來るのを待つた。山蟻が柱を傳つて登つて來た。
草の中 (旧字旧仮名) / 横光利一(著)
それを言うのも亦(また)、実に、てれくさくて、かなわぬのだが、私は痴(こけ)の一念で、そいつを究明しようと思う。男子一生の業として、足りる、と私は思っている。
鴎 (新字新仮名) / 太宰治(著)
そして、その罰で、蘇苔(こけ)みたいに皮膚の上に厚くなる垢のやうなものが、心の底にも重つ苦しくたまつて来るのであるが、普通なら耐へられないところを、無神経を装つて鈍感でゐる。
大凶の籤 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
「歌舞伎者の手だア馬鹿(こけ)にするねえ」
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
さし上げた腕の間から皆めいめいに上向(うはむき)の頭がみえる。海藻(かいさう)や地衣(こけ)がこの浮標(うき)に垂下(たれさ)がつてゐる。東から吹く風に、この髮の毛がふくらんで、おのづと拍子をとつて波動してゐる。
さしあげた腕 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
「またその身に蘿(こけ)また檜榲(ひすぎ)生(お)い」というのは熔岩流の表面の峨々(がが)たる起伏の形容とも見られなくはない。「その長さ谿(たに)八谷(やたに)峡(お)八尾(やお)をわたりて」
神話と地球物理学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
世の中に骨折損というくれえ、呆痴(こけ)な苦労はないからなあ
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雨の日には、梢(こずえ)から雨滴(あまだ)れがボタボタ落ちて、苔蘚(こけ)の生えた坊主の頭顱(あたま)のような墓石(はか)は泣くように見られた。ここの和尚さんもやがてはこの中にはいるのだなどと清三は考えた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
此処な家(うち)へ来て芸妓(げいしゃ)が来(き)ねえって皿小鉢を投(ほう)って暴れるので、仕方がねえから、私(わし)用があって此家(こけ)え来て居りやんしたが、見兼て仲へ這入った処が、私(わし)胸倉ア捉(と)るから
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
はい然(そ)うだろうと思って……知って居りやす、私(わし)はもう迚(とて)も助からぬ、こんな事もあろうかと思ったから、私は此家(こけ)え間違の出来(でか)さねえように頼みに来ただけれども、最早仕様がねえが
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
麗しい五月の 地苔(こけ)も
五月の空 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
此地(こけ)え来て渋川で一円に一升の仲間入をして居る峯松だ、大概(てえげえ)にしやアがれ、馬鹿にするな
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
この瓶の口栓(キルク)はすでに腐っておる、そのうえ瓶の外に生(む)している海苔(こけ)は、決してこの近海に生ずる物ではない、南洋の海苔(こけ)だ、南洋の海苔(こけ)だ、このような海苔(こけ)の生じているので見ても
南極の怪事 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
「それが、……赤斑(あかふ)もあれば、死顔は痴呆(こけ)のよう。下痢(くだ)したものは、米磨汁(とぎじる)のようで、嘔吐(はい)たものは茶色をしております。どう見たって、虎列剌に違いねえので……」
顎十郎捕物帳:05 ねずみ (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
亭主(ていしゆ)は五十恰好(がつかう)の色(いろ)の黒(くろ)い頬(ほゝ)の瘠(こけ)た男(をとこ)で、鼈甲(べつかふ)の縁(ふち)を取(と)つた馬鹿(ばか)に大(おほ)きな眼鏡(めがね)を掛(か)けて、新聞(しんぶん)を讀(よ)みながら、疣(いぼ)だらけの唐金(からかね)の火鉢(ひばち)に手(て)を翳(かざ)してゐた。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「そなたのやうな生物しり。……。唐山にはかういふ故事がある。……。和漢の書を引て瞽家(こけ)を威(おど)し。しつたぶりが一生の疵(きず)になつて……」
西鶴と科学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
其間をトマムの剰水(あまり)が盆景(ぼんけい)の千松島(ちまつしま)と云った様な緑苔(こけ)の塊(かたまり)を洄(めぐ)って、流るゝとはなく唯硝子(がらす)を張った様に光って居る。やがて麓(ふもと)に来た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
今夜(こよひ)のおめでたを申さんとてこそやどはいでたれ、なにやつのしわざにや、掘(ほり)あげの道きのふとはちがひてあしもとあしくしおきたれば、あやまちて転(こけ)たるが窓(まど)をもおしやぶりておち入たる也
肉眼で見える陣地や兵のうこきだけを以て戦をする阿呆(こけ)があったら、たちまち敗けじゃ。——即ち将の采配は、十方無碍(むげ)の活眼でとる、活眼とは、心の眼(まなこ)。……吉継まだ心の眼まではつぶれん
大谷刑部 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
木の根や岩角につまづいて顛(こけ)つまろびつ、泥まぶれになつて這ひあるくそのざまは……。わはゝゝゝゝゝ。さりとてわれに取つては譜代の主君ぢや。
佐々木高綱 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)