“白痴”のいろいろな読み方と例文
旧字:白癡
読み方割合
ばか28.8%
こけ26.6%
はくち21.6%
たわけ12.2%
たはけ3.6%
うつけ1.4%
あはう0.7%
うつ0.7%
あほう0.7%
おめでた0.7%
きちがひ0.7%
しれもの0.7%
たわ0.7%
バカ0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その時は早や、夜がものにたとえると谷の底じゃ、白痴ばかがだらしのない寐息ねいきも聞えなくなると、たちまち戸の外にものの気勢けはいがしてきた。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
我ながらこの間抜々々した恰好、白痴こけが虫歯を押さえている手付きにもさながらで、ほとほと自分がいやになってきた。とたんに
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
いかめしい石門を潜ってだらしなく迷い込む瞬間から、私も一人の白痴はくちのようにドンヨリしてしまう精神状態が気に入ったり、それに私は
(新字新仮名) / 坂口安吾(著)
「二年越行儀作法を仕込んで居るのに、まだ武家の家風を呑込のみこめぬとは、何んとした白痴たわけだ。裸体で碓氷の山の中で暮した時とは違う」
裸身の女仙 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
加之しかのみならず文学者ぶんがくしやもつ怠慢たいまん遊惰いうだ張本ちやうほんとなすおせツかいはたま/\怠慢たいまん遊惰いうだかへつかみ天啓てんけいかなふをらざる白痴たはけなり。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
道益と資子は二人の子供が白痴うつけか片輪か、眼もあてられないほど醜くあってくれたらと思ったにちがいない。
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
白痴あはう泣出なきだしさうにすると、うらめしげに流盻ながしめながら、こはれ/\になつた戸棚とだななかから、はちはいつたのを取出とりだして手早てばや白痴あはうぜんにつけた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それを再び使者をもって我らに強制なされようとはいよいよもって白痴うつけな振る舞い。ただただ呆れるばかりでござる。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
白痴あほうはどんよりした目をあげて膳の上をめていたが
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
依頼たのみというは他でもない。お前はそういう人間だから——平ったく云やあ白痴おめでたいから皆の者が油断してどんな所へはいって行こうと叱る者もなけりゃ怪しむ者もない。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
然し何うも、郡視学も郡視学ではありませんか? ××さんにそんな莫迦な事のあらう筈のない事は、いやしくも瘋癲ばか白痴きちがひでない限り、何人なにびとの目も一致するところです。
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「さればさ、城下の者が板女の噂をしておるにつけ込んで、人をもてあそぼうとする白痴しれもの所為しわざかも知れませんぞ」
女賊記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
侍「イヤ余程白痴たわけた奴だ、いて斬られたいというならば斬って遣る」
何だ、にやにやして此奴白痴バカか、と言ひ、それでも、二本の鰤くらゐある母親ゆづりの大腿部に、無理無態な情感を強ひる無邪氣さがあつた。
神のない子 (旧字旧仮名) / 室生犀星(著)