“しれもの”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
曲者31.0%
痴者15.5%
白徒14.1%
痴漢9.9%
痴人2.8%
好色漢2.8%
巧者2.8%
悪徒1.4%
惡漢1.4%
佞者1.4%
兇徒1.4%
悪漢1.4%
悪物1.4%
惡漢者1.4%
横着者1.4%
狂人1.4%
狂妄1.4%
癡人1.4%
白物1.4%
白痴1.4%
白痴者1.4%
白者1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
これは存外、甲羅をへた曲者しれもの、なかなか油断はなりません。——金吾はおぼえず杖に仕込んである了戒をにぎりしめてそう思う。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
是が彼の最初の失敗で、学校側の人達は佐藤を忘恩の痴者しれものののしった。斯ういう悪声はぜんを追うて一般に拡がるものである。
しかるに彼はこの志士が血の涙の金を私費しひして淫楽いんらくふけり、公道正義を無視なみして、一遊妓の甘心かんしんを買う、何たる烏滸おこ白徒しれものぞ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
黙れ痴漢しれもの! 無礼の痴漢! お吉なんどとこの婦人を、呼びすてにする無礼無礼! ……諏訪の湖畔で汝のために、斬り立てられてこの拙者、湖に落ちたを
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
浅黒いながら渋気の抜けたる顔にかかれる趣きは、年増嫌としまぎらいでもめずにはおかれまじき風体、わがものならば着せてやりたい好みのあるにと好色漢しれものが随分頼まれもせぬ詮議せんぎかげではすべきに
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
と中島さんも巧者しれもの、あわよくば礼儀丈け尽して逃げ出そうとする。
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
庫裡くりの、上りがまちに、腰を下ろして、いずれ、悪徒しれものらしいかごかきを相手に、これも寒さしのぎの、冷酒をかぶっていた、がに股の吉が——
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
が、すでに魂魄こんぱくを地獄の闇に投げ入れてしまった二人の悪徒しれもの、そのおもかげを見わけることが出来たかどうか?
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
見定みさだめざりしは殘念ざんねんなれども江戸の中にさへ居らば尋ぬるにも便たよりよしさりながら彼奴かやつ惡漢しれものなれば其方とおもて
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
學び得て覺えある惡漢しれものなれ共不意ふいと云多勢たぜいにて押伏おしふせられし事故汚面々々をめ/\召捕めしとられけり斯て又友次郎は其朝馬喰町の旅宿をあけ寅刻なゝつに立出て板橋の方へいたり吾助を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
嫁にと強談ごうだん致してまいった奴じゃ。それを手きびしくねつけられたので、さてこそ左様な狼藉を加えたのであろう。おのにっくき佞者しれものめ、隣藩の指南番とて用捨なろうか
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
通信の安固と秘密。之がなくなつて誰か日本を文明と云はうぞ。あいつは文明を破壊する兇徒しれものだ。
公判 (新字旧仮名) / 平出修(著)
けれどもお前も知っている通りあの如来衛門の悪漢しれものめは、私にとっては商売の敵じゃ! 何故なぜかというにあの男は、自分が男を売りたさに、達者だてしゃだなどと云われたさに
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
オヽ其男御眼にかゝろうと珠運立出たちいで、つく/″\見れば鼻筋通りて眼つきりゝしく、あぎと張りて一ト癖たしかにある悪物しれものひざすり寄せて肩怒らし
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いはれ無く撲殺うちころし村方を逐轉ちくてんして江戸へ出小川町竹田長生院方へ奉公に住込すみこみ奉公中竊鼠々々こそ/\物をぬすため其後麹町へ醫業を開き一時僥倖さいはひを得ると雖もたちま病家びやうかも無なりしより惡漢者しれものあつめて博奕宿を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
げに横着者しれものよ鵙の子よ
枯草 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
狂人しれものよという者は地獄の火に干るべしとある(馬太マタイ伝五章二十二節)即ち「我れ汝等に告げん、すべて人の言う所の虚しき言は審判さばきの日に之を訴えざるを得じ」
どうぞ、これより以上うえに懺悔することを、おゆるし下さい。私たち二人はフカの餌食になる価打ねうちしか無い、狂妄しれものだったのですから……。
瓶詰地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
されど我が知らぬ猶太の翁のかた持ちて、かの癡人しれものと爭ひしも、おなじ物ずきにやあらん。
恐ろしきまなこを見張り、「爾は昨日黒衣がために、射殺されたる野良犬ならずや。さては妄執もうしゅう晴れやらで、わが酔臥えいふせしひま著入つけいり、たたりをなさんず心なるか。阿那あな嗚呼おこ白物しれものよ」
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
「さればさ、城下の者が板女の噂をしておるにつけ込んで、人をもてあそぼうとする白痴しれもの所為しわざかも知れませんぞ」
女賊記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
いをませ、この白痴者しれもの! ここをいずこと心得こころえておるのだ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
濁醪どぶろく引掛ひつかける者が大福だいふく頬張ほゝばる者をわら売色ばいしよくうつゝかす者が女房にようばうにデレる鼻垂はなたらしあざける、之れ皆ひとはなあなひろきをしつしりあなせまきをさとらざる烏滸をこ白者しれものといふべし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)