“引掛”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひっか51.8%
ひっかか10.5%
ひつか7.9%
ひっかけ7.0%
ひつかゝ6.1%
ひきか3.5%
ひっかゝ3.5%
ひつかけ2.6%
ひきかゝ1.8%
ひきがけ0.9%
ひきかか0.9%
ひきかけ0.9%
ひッかか0.9%
ひツかけ0.9%
ひツかゝ0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
かくしてそのトラックは速力をゆるめることなしに、店員にガソリンの排気はいきをいやというほど引掛ひっかけて遠去とおざかっていってしまったのである。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
私の両親は食事しながら笑ったりおしゃべりなどすると、これ、あばらへ御飯が引掛ひっかかりますといってしかった事を私は今に覚えている。
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
暖い日で額が汗ばむ程なので、基督は外套を脱いで、そこらの楊の木に引掛ひつかけたまゝ、岡をのぼつて多くの群衆にお説教をしに出掛けた。
と、もう縞の小袖をしゃんと端折はしょって、昼夜帯を引掛ひっかけに結んだが、あか扱帯しごきのどこかが漆の葉のように、くれないにちらめくばかり。
鷭狩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
るのがうまいとしたから、ちることもよくちた。本郷ほんがう菊坂きくざか途中とちう徐々やは/\よこちたがてら生垣いけがき引掛ひつかゝつた、怪我けがなし。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
着慣れませぬ新らしい笈摺を引掛ひきかけ、雪卸ゆきおろしのすげの笠には同行二人どうぎょうににんと書き、白の脚半に甲掛草鞋こうがけわらじという姿で、慣れた大工町を出立致しまする。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
もとより覚悟をして来た事だから、何時いつまでも奉公しますけれど、お前また私の身の代を持ってってしまって、いつものように賭博ばくち引掛ひっかゝってお金を失してしまうと
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
彼は立ちがつて、ちやて、畳んである羽織を又引掛ひつかけた。さうして玄関にぎ棄てた下駄を穿いてす様に門をた。時は四時頃であつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
彼と握手をする時うした機会はずみか僕の足が老人と話して居た若い詩人の卓の下に引掛ひきかゝつてその上のさかづきが高い音を立ててひつくりかへつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
石田は司令部から引掛ひきがけに、師団長はじめ上官の家に名刺を出す。その頃は都督ととくがおられたので、それへも名刺を出す。中には面会せられるかたもある。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
くに目的を達して今頃は江戸に帰り、喜ぶ恩師の顔を見て、一家相伝の極意秘伝を停滞とどこおりなく受けていなければ成らぬのが、意外な支障さわり引掛ひきかかって
死剣と生縄 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
肩に引掛ひきかけ若き女は上に浴衣ゆかたおほひたれども下には博多縮緬はかたちりめんの小袖を二枚着し小柳こやなぎ縫模樣ぬひもやうある帶をしめ兩褄りやうづま取揚とりあげ蹴出けだしあらはし肉刺まめにても蹈出ふみだせしと見えて竹のつゑつきながら足を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此忍びぬ心と、その忍びぬ心を破るに忍びぬ心と、二つの忍びぬ心がからみ合った処に、ポチはうま引掛ひッかかって、からくも棒石塊いしころの危ない浮世に彷徨さまよう憂目をのがれた。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
これ武蔵屋むさしやごんらう引掛ひツかけたのだが何日なんかともしたゝめてないから、幾日いくかだらう、不思議な事もあるものだ、これ落字らくじをしたのか知ら、忘れたのではないか、と不審ふしんを打つ者があると
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「亀戸にや前々から引掛ひツかゝりがあつたらしいのよ。でも、あなた。よくわかつたわね。」
にぎり飯 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)