“ひつか”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
引掛42.9%
引掻19.0%
引被19.0%
筆架4.8%
引懸4.8%
引爬4.8%
筆下4.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
肉付のいゝ若い女が幾人いくたりも、赤い潰髷つぶし結綿ゆひわたにもう華美はで中形ちゆうがた浴衣ゆかたを着て引掛ひつかけ帶もだらしなく、歩む度に白い足の裏を見せながら行く。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
蛇は苦しいから、立木にまきついて締めると、亀はその手足のつめで、蛇のおなかをガサ/\引掻ひつかいて、とう/\その腹を裂いて、出てしまふ。
蛇いちご (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
上草履うはざうり爪前つまさきほそ嬝娜たをやかこしけた、年若としわか夫人ふじんが、博多はかた伊達卷だてまきした平常着ふだんぎに、おめしこん雨絣あまがすり羽織はおりばかり、つくろはず、等閑なほざり引被ひつかけた、姿すがたは、敷詰しきつめた絨氈じうたん浮出うきいでたあやもなく
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その日は木瓜ぼけ筆架ひつかばかり気にして寝た。あくる日、眼がめるやいなや、飛び起きて、机の前へ行って見ると、花はえ葉は枯れて、白い穂だけが元のごとく光っている。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
小供のうち花の咲いた、葉のついた木瓜ぼけを切って、面白く枝振えだぶりを作って、筆架ひつかをこしらえた事がある。それへ二銭五厘の水筆すいひつを立てかけて、白い穂が花と葉の間から、隠見いんけんするのを机へせて楽んだ。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
囲炉裏ゐろり自在竹じざいだけ引懸ひつかけるこひにしても、みづはなせばきねばならぬ。お前様めえさまふなのやうに、へたりとはらいてはかねえ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
荊棘いばら山椒さんせうの樹のやうなもので引爬ひつかいたのであらう、雨にぬれた頬から血が出て、それが散つて居る、そこへ蝋燭の光の映つたさまは甚だ不気味だつた。漸く其処へ歩み寄つた晩成先生は
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
これらのをなほ多くあつめ文をそへさせ私筆にてれい絵本ゑほんとなし候はゞ、其しよ雪の霏々ひゝたるがごとく諸国しよこくふらさん事筆下ひつかりといはれたる書翰しよかん、今猶牧之ぼくし書笈しよきふにをさめあり。