“引被”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ひっかぶ42.1%
ひっかつ12.3%
ひきかぶ10.5%
ひつかぶ8.8%
ひつか7.0%
ひきかつ5.3%
ひっか5.3%
ひっかず3.5%
ひきか1.8%
ひきよ1.8%
ひつかつ1.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
かかる場所にて呼び奉るを、許させらるるよう、氏神を念じて起上った私は、薄掻巻うすかいまきを取って、引被ひっかぶせて、お冬さんを包んだのです。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おまけに横須賀の探偵とかいう人は、茶菓子を無銭ただでせしめてんだ。と苦々しげにつぶやきて、あらねむたや、と夜着引被ひっかつぎ、亭主を見送りもせざりける。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
腰の骨の蝶番ちょうつがいがっくりゆるみてただの一足も歩かれず、くしゃりと土下座して、へたへたになり、衣服きものをすっぽりと引被ひきかぶりて、南無阿弥陀仏なむあみだぶつ南無阿弥陀仏。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
はるながらえるまで、かげ草葉くさばうらく。ひかりすのでかさつて引被ひつかぶつて、あし踏伸ふみのばして、ねむりかけるとニヤゴー、きそれが耳許みゝもとで、小笹こざさくのがきこえた。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何時いつしか暗い陰影かげ頭腦あたまはびこつて來る。私は、うして何處へといふ確かな目的あてもなく、外套を引被ひつかけて外へ飛び出して了ふ。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
このこがらし! 病む人の身をいかんする。ミリヤアドはきぬ深く引被ひきかつぐ。かくは予と高津とに寝よとてこそするなりけれ。
誓之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今日自家の祭酒に酔うた仁左衛門さんが、明日は隣字の芝居で、透綾すきやの羽織でも引被ひっかけ、寸志の紙包かみづつみを懐中して、芝居へ出かける。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
たちどころに半病人となって、住居すまいへ帰り、引被ひっかずいても潜っても、夜具の袖まで、ふわふわ動いて、押えてもめても、しきりに動く。学者は舞踏病の一種だと申されよう。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
貫一は無雑作に郡内縞ぐんないじま掻巻かいまき引被ひきかけてしけるを、疎略あらせじと満枝は勤篤まめやかかしづきて、やがておのれも始めて椅子にれり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
その驚いたのへ引被ひきよせて
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
勉強べんきやう出來できず、稼業かげふ仕事しごと捗取はかどらず、持餘もてあました身體からだ春寒はるさむ炬燵こたつはふんで、引被ひつかついでぞたりけるが、時々とき/″\掛蒲團かけぶとんえりからかほして、あゝ、うゝ、と歎息ためいきして、ふう
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)