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引被
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ひつかぶ
春の
夜ながら
冴えるまで、
影は
草葉の
裏を
透く。
其の
光が
目へ
射すので
笠を
取つて
引被つて、
足を
踏伸ばして、
眠りかけるとニヤゴー、
直きそれが
耳許で、
小笹の
根で
鳴くのが
聞えた。
あんな奴は
打抛出して
措いて、
這箇は
掻巻を
引被つて一心に考へてゐたんですけれど、もう
憤れたくて耐らなくなつて来たから、
不如かまはず飛出して了はうかと、
余程さう念つたものの
お
星樣一ツ
見えないほど、
掻卷を
引被つて、
眞暗に
成つて
行つたんです。
一昨年の
其の
時は、
翌日、
半日、いや、
午後三
時頃まで、
用もないのに、
女中たちの
蔭で
怪む
氣勢のするのが
思ひ
取られるまで、
腕組が、
肘枕で、やがて、
夜具を
引被つてまで
且つ
思ひ、
且つ
惱み