“一昨年”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おととし61.5%
をととし12.8%
をとゝし7.4%
おとゝし6.1%
いつさくねん4.1%
いっさくねん2.0%
をとゞし2.0%
おとどし1.4%
おとゞし0.7%
をとどし0.7%
をとヽし0.7%
をゝとし0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
狐のわざですよ。この木の下でときどき奇態なことをして見せます。一昨年おととしの秋もここに住んでおります人の子供の二歳ふたつになりますのを
源氏物語:55 手習 (新字新仮名) / 紫式部(著)
(涙をぬぐふ。)おまへは一昨年をととしから三年越し、よくもよくもわたしをだましてゐた。恨みは屹と……。覺えてゐるがいゝ。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
かう言つて源太郎も、七十一で一昨年をとゝし亡つた祖母が、子供の時にこのおかめ人形を見た頃の有樣を、いろ/\想像して見たくなつた。
鱧の皮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
あれは、お前のお友達にと思つて、一昨年おとゝし、湧山さんからいたゞいたんですよ。種類は忘れたけれど、ちやんと素性のわかつた犬です。
犬は鎖に繋ぐべからず (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
當時たうじまちはなれた虎杖いたどりさとに、兄妹きやうだいがくらして、若主人わかしゆじんはうは、町中まちなか或會社あるくわいしやつとめてると、よし番頭ばんとうはなしてくれました。一昨年いつさくねんことなのです。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
洋一は誰かに聞かされた、そんな話を思い出しながら、しばらくのあいだ不承不承ふしょうぶしょうに、一昨年いっさくねんある呉服屋へ縁づいた、病気勝ちな姉のうわさをしていた。
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
……一昨年をとゞしの大水何うや、天滿宮さんの石段まで上つたで。……新田の市作んとこは家が流れて、田が落ち込んで川原になつてしもたがな。
太政官 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
お父さんの生きてるうちに天下晴れてと思てはったのに、到頭一昨年おとどしの暮に死んでしまいはって……。
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
吾等われらとう印度洋インドやうこの孤島はなれじまへだゝつてつても、么麽どうしてこのいわはずにられやう、去年きよねんも、一昨年おとゞしも、當日たうじつ終日しうじつげふやすんで、こゝろばかりの祝意しゆくゐひやうしたが、今年ことし今日けふといふ今日けふ
そして何といふい国だらうと思つて、窓から庭を見た。庭には蝦蟇ひきがへるが一つ一昨年をとどしの事か何かを考へてゐた。
私はひかるのためにあのことも書いて置きませう。これは一昨年をとヽし歳暮せいぼのことでした。
遺書 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
一昨年をゝとし頃は、お時が毎日風呂敷包を抱へて、道臣の家へ京子に裁縫を習ひに來てゐた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)