一昨年いっさくねん)” の例文
洋一は誰かに聞かされた、そんな話を思い出しながら、しばらくのあいだ不承不承ふしょうぶしょうに、一昨年いっさくねんある呉服屋へ縁づいた、病気勝ちな姉のうわさをしていた。
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
二年ばかり海外に旅をしたこと(帰朝きちょうしたのはつい一昨年いっさくねんの暮であったが、その二年の間、静子は毎日茶、花、音楽とうの師匠にかよって、独居ひとりいの淋しさをなぐさめていたのだと語った)
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
書遺かきのこし候我等一昨年いっさくねん九月四日の奧州屋新助殿をおひさの実の兄と知らず身請されては一分立たずと若気の至りにて妻恋坂下に待受まちうけして新助殿を殺害せつがい致し候其の時新助殿始めて松山の次男なる事を
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)