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一昨年
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をととし
ふりがな文庫
“
一昨年
(
をととし
)” の例文
(涙をぬぐふ。)おまへは
一昨年
(
をととし
)
から三年越し、よくもよくもわたしをだましてゐた。恨みは屹と……。覺えてゐるがいゝ。
箕輪の心中
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
最初お京と
懇
(
ねんご
)
ろになつたが、
一昨年
(
をととし
)
頃までは子供だと思つて居たお萩が近頃滅法綺麗になつたので、それに乘換へて三芳屋を乘取らうと考へたのだ。
銭形平次捕物控:218 心中崩れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
貴君
(
あなた
)
お聞遊しましたかと
良人
(
をつと
)
に向ひて
忌
(
いま
)
はし気にいひける、娘は俄に
萎
(
しほ
)
れかへりし
面
(
おもて
)
に生々とせし色を見せて、あのそれ
一昨年
(
をととし
)
のお花見の時ねと言ひ
出
(
いだ
)
す
うつせみ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
七十を越した祖母一人に小供二人、
己
(
おの
)
が手一つの仕立物では細い煙も立て難くて、
一昨年
(
をととし
)
から女教師を泊めた。去年代つた智恵子にも居て貰ふことにした。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
今の家に綾子が育てられる事となつたのは、
一昨年
(
をととし
)
の春だつた。それから——はや
二年
(
ふたとせ
)
は過ぎた。
秋雨の絶間
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
▼ もっと見る
一昨年
(
をととし
)
のこと、例のフォマ・グリゴーリエヸッチがディカーニカからやつて来て、たうとう新らしい馬車と
鹿毛
(
かげ
)
の牝馬もろとも、
崩穴
(
がけ
)
へ落つこちてしまつたといふ始末でな
ディカーニカ近郷夜話 前篇:02 はしがき
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
一昨年
(
をととし
)
は、君には言はないで居たが、十幾年の間と云ふもの、全く忘れて居たいろいろの物を突然見せられたのだからして、すつかり少年時の情調の中へ移されてしまつて
海郷風物記
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
彼方
(
あなた
)
も在るにあられぬ
三年
(
みとせ
)
の月日を、
憂
(
う
)
きは死ななんと
味気
(
あぢき
)
なく過せしに、
一昨年
(
をととし
)
の秋物思ふ積りやありけん、心自から弱りて、
存
(
ながら
)
へかねし身の
苦悩
(
くるしみ
)
を、
御神
(
みかみ
)
の
恵
(
めぐみ
)
に助けられて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「坊んち嫌ひ。……お時さんは
一昨年
(
をととし
)
からもうお母アさんやおまへんか。お父つあんと金毘羅まゐりしやはつた時から。……」と、兩の眼を
繍眼兒
(
めじろ
)
みたいにして、自分を見詰めた。
父の婚礼
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
その前の晩、
田住生
(
たずみせい
)
が訪ねて来た。
一昨年
(
をととし
)
の暮に
亡
(
なく
)
なつた
湯村
(
ゆのむら
)
の弟、六郎の親友である。今度福岡大学へ行く途中とあつて立寄つた。
此間
(
こなひだ
)
の洪水で鉄道が不通ゆゑ神戸までは汽船にすると云ふ。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
僕が
一昨年
(
をととし
)
の今時分、地震後に此處へ遊びに來た時には、それはひどかつたんだよ。自動車が谷へ轉び落ちたまゝになつてゐたり、レールが弓のやうになつて谷へぶらさがつてゐたりしてゐて。
新婚旅行
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
お
品
(
しな
)
の
死
(
し
)
は
卯平
(
うへい
)
をも
痛
(
いた
)
く
落膽
(
らくたん
)
せしめた。
卯平
(
うへい
)
は七十一の
老爺
(
おやぢ
)
であつた。
一昨年
(
をととし
)
の
秋
(
あき
)
から
卯平
(
うへい
)
は
野田
(
のだ
)
の
醤油藏
(
しやうゆぐら
)
へ
火
(
ひ
)
の
番
(
ばん
)
に
傭
(
やと
)
はれた。
卯平
(
うへい
)
はお
品
(
しな
)
が三つの
時
(
とき
)
に、
死
(
し
)
んだお
袋
(
ふくろ
)
の
處
(
ところ
)
へ
入夫
(
にふふ
)
になつたのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
『これはお
止
(
よ
)
しなさいよ、変ですから。
一昨年
(
をととし
)
の冬からです。』
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「
一昨年
(
をととし
)
だつたね、芝居であつたのは。」
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
一昨年
(
をととし
)
も
枯草
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
『今日の新入生は
合計
(
みんな
)
で四十八名でございます。その内、七名は去年の学齢で、
一昨年
(
をととし
)
ンのが三名ございますから、今年の学齢で来たのは三十八名しかありません。』
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
あのそれ
一昨年
(
をととし
)
のお
花見
(
はなみ
)
の
時
(
とき
)
ねと
言
(
い
)
ひ
出
(
だ
)
す、
何
(
なに
)
えと
受
(
う
)
けて
聞
(
き
)
けば
學校
(
がくかう
)
の
庭
(
には
)
は
奇麗
(
きれい
)
でしたねえとて
面白
(
おもしろ
)
さうに
笑
(
わら
)
ふ、あの
時
(
とき
)
貴君
(
あなた
)
が
下
(
くだ
)
さつた
花
(
はな
)
をね、
私
(
わたし
)
は
今
(
いま
)
も
本
(
ほん
)
の
間
(
あひだ
)
へ
入
(
い
)
れてありまする
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
どちらも
厄
(
やく
)
で、『死』へのひたむきな道行を選んだのは、三芳屋の主人彦兵衞が、一人娘お萩の聟に、甥の音次郎を選んだために、音次郎と
一昨年
(
をととし
)
の秋ごろから戀仲になつて居たお京が
銭形平次捕物控:218 心中崩れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼は
一昨年
(
をととし
)
の冬
英吉利
(
イギリス
)
より帰朝するや否や、八方に
手分
(
てわけ
)
して嫁を求めけれども、器量
望
(
のぞみ
)
の
太甚
(
はなはだ
)
しければ、二十余件の縁談皆意に
称
(
かな
)
はで、今日が日までもなほその事に
齷齪
(
あくさく
)
して
已
(
や
)
まざるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
お縫
大菱屋
(
おほびしや
)
の
綾衣
(
あやぎぬ
)
とかいふ
女子
(
をなご
)
……。
一昨年
(
をととし
)
からの深い
馴染
(
なじみ
)
とやら。
箕輪の心中
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
一昨年
(
をととし
)
の秋、ゆくりなくも梅田のステーシヨンの薄暗い待合室で、鞄の荷札から手がゝりが付いて、幾年振りかに小池の姿を見出し、夢のやうにフラ/\と、二人で用もない河内の國を
彷徨
(
さまよ
)
つて
兵隊の宿
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
もと
他村
(
よそむら
)
の者であるが、この村に医者が一人も無いのを見込んで
一昨年
(
をととし
)
の秋、この古家を買つて移つて来た、
生村
(
うまれむら
)
では左程の信用もないさうだが、根が人好のする男で
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
では、今はその
禿顱
(
はげ
)
は
中風
(
ちゆうふう
)
で
寐
(
ね
)
たきりなのだね、
一昨年
(
をととし
)
から? それでは何か虫があるだらう。有る、有る、それくらゐの女で神妙にしてゐるものか、無いと見せて有るところがクレオパトラよ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
主に初めて逢うたのも、
一昨年
(
をととし
)
の草市の晩でござんした。
箕輪の心中
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
『一度出した。アレは美術学校を卒業した年よ。然うだ、
一昨年
(
をととし
)
の秋の展覧会——ソーラ、お前も行つて見たぢやないか? 三尺許りの幅の、「嵐の前」といふ画があつたらう?』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
それ、あのお芳茶屋の娘の何とかいふ子な、去年か
一昨年
(
をととし
)
まで
此方
(
こちら
)
の生徒だつた。——あれが貴方、むつちりした手つ手で、「はい、先生様。」と言つて渡して呉れたのを、俺はちやんと知つてる。
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
“一昨年”の意味
《名詞》
一 昨 年 (いっさくねん, おととし)
昨年より一つ前の年。今年より二つ前の年。
(出典:Wiktionary)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
昨
常用漢字
小4
部首:⽇
9画
年
常用漢字
小1
部首:⼲
6画
“一昨”で始まる語句
一昨日
一昨々日
一昨夜
一昨々年
一昨昨日
一昨
一昨晩
一昨昨夜