夕暮れがた汽船が小さな港に着く。 點燈後程經た頃であるからして、船も人も周圍の自然も極めて蕭かである。その間に通ふ靜かな物音を聞いてゐると、かの少年時の薄玻璃の如くあえかなる情操の再び歸り來るのではないかと疑ふ。 艀舟から本船に荷物を積み入 …
著者 | 木下杢太郎 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 日記 書簡 紀行 |
初出 | 「三田文学」1911(明治44)年6~7月号 |
文字種別 | 旧字旧仮名 |
読書目安時間 | 約35分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約58分(300文字/分) |