“近”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ちか71.3%
ちかづ17.4%
ぢか5.1%
ちけ1.8%
ちこ1.4%
きん0.6%
0.6%
ちかき0.6%
チカ0.6%
こち0.2%
ちかく0.2%
0.2%
ぢけ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
高窓たかまど障子しょうじやぶあなに、かぜがあたると、ブー、ブーといって、りました。もうふゆちかづいていたので、いつもそらくらかったのです。
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
楽しい空想の時代は父の戒も忘れ勝ちに過ぎた。急に丑松は少年こどもから大人にちかづいたのである。急に自分のことが解つて来たのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
円髷は四十ぢかで、笛吹きのごときは五十にとどく、というのが、手を揃え、足を挙げ、腰を振って、大道で踊ったのであるから。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「——海にちけえところはこまっけえ砂さ、それが上へのぼるにつれて、砂利じゃりになり石ころになり、その石ころがもっと大きくなってるもんだ」
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「どれ。」といひて立つたる折、のしのしと道芝みちしばを踏む音して、つづれをまとうたる老夫おやじの、顔の色いと赤きがえんちこはいり来つ。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
御米およね近来きんらいきんの字はどう書いたっけね」と尋ねた。細君は別にあきれた様子もなく、若い女に特有なけたたましい笑声も立てず
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
美妙びみょうの音楽の音が響いて来て、初めは何でも遠くの方に聞こえたと思うと漸々だんだんかく、しまいには何でも池の中から湧き出て来るように思われた。
稚子ヶ淵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
人誰か故郷を思わざらん、誰か旧人の幸福を祈らざる者あらん。発足の期、ちかきにあり。怱々そうそう筆をとって西洋書中の大意を記し、他日諸君の考案にのこすのみ。
中津留別の書 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
此が下町の山車になると、柱の存在などは殆ど不明で、寧祇園の鉾にチカづいてゐるが、多くの物はやはり人形の後に小さく、日月幢を立てゝ俤を止めてゐる。
髯籠の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
板わたす用水堀のこぬか雨をちこち田もとみに萌えつつ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
先生御一人御引うけなれバよろしく候得ども、隊中人を見付ケ且、長崎ニ於、此度取入候屋鋪やしきニて養なふなど少〻御用心無之候得バ、ちかく立行カザルの御セ話がかゝり候と存候。
なぜだろう? それにまた、あの目に見えないよその者は、いったいだれなのだろう?……と、そのとき、おばさんのすぐまかで、ぼうっとした緑色の火花が二つ、一瞬ぱっともえあがった。
カシタンカ (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
何も皆遠慮をしているが私が毎晩めえばん/\御寝所ぢけえお庭を歩いているは何の為だ、若殿様が御病気ゆえ大切に思えばこそだ、それに御家来の衆も毎晩めえばんのことだから看病疲れで眠りもすりゃア
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)