“ちかく”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
地殻40.5%
知覚21.4%
附近9.5%
知覺7.1%
地殼4.8%
付近2.4%
地閣2.4%
2.4%
近傍2.4%
近方2.4%
近郊2.4%
近間2.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
東西三十間、南北二十余間の塀にかこまれている吉良家の邸は、一瞬の間に、地殻ちかくも裂けるような鳴動めいどうと旋風の中に置かれていた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、子供の変化を知覚ちかくするごとに、父親であるという意識いしきがひとりでに伸びあがってくるから不思議である。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
大和路の壺坂寺の附近ちかくで昔の夢の女——お里に私は邂逅めぐりあったような感じがした。
菜の花物語 (新字新仮名) / 児玉花外(著)
障子しやうじそと野中のなかさん、野中のなかさんとこゑ二度にどほどきこえた。宗助そうすけ半睡はんすゐうちにはいとこたへたつもりであつたが、返事へんじ仕切しきらないさきに、はや知覺ちかくうしなつて、また正體しやうたいなく寐入ねいつてしまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
噴き出すかも知れない噴火口の地殼ちかくの上に立つてゐるやうなものですよ。
「はい、そのことでございますか、実は故郷くにの名産の甲斐絹かいきを持って諸方を廻わり、付近ちかく小千谷おぢやまで参りましたついで、温泉いでゆがあると聞きまして、やって参ったのでございますよ」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
が、左右の端に、深い笑窪えくぼができているので酷薄の味を緩和している。あごの中央を地閣ちかくというが、そこの窪味がきわだって深い。これは剣難の相である。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
先生御一人御引うけなれバよろしく候得ども、隊中人を見付ケ且、長崎ニ於、此度取入候屋鋪やしきニて養なふなど少〻御用心無之候得バ、ちかく立行カザルの御セ話がかゝり候と存候。
乃公おれそっと校長の室へ行って見た。来ない筈だ。木乃伊はストーブの側で椅子にもたれて、心持好さそうに居睡いねむりをしている。うなると校長も他愛ないものだ。乃公が近傍ちかくへ行っても知らずにいる。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
かひなをひらきまた羽をひらきていふ。來れ、この近方ちかくきざはしあり、しかして汝等今より後は登り易し。 九一—九三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
東京芝白金の近郊ちかく谷峡たにが三つ寄つた所がある。そこは、あちらもこちらも滴る許りの緑翠みどりで飾られて居るので唯谷間の湿つぽい去年の稲の株がまだかやされて居ない田圃だけに緑がない。
何處かしら非常に遠い所へ行つて來た樣な心地である。淺草とか日比谷とかいふ語だけは、すぐ近間ちかくにある樣だけれど、それを口に出すには遠くまで行つて來なけやならぬ樣に思へる。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)