“温泉”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いでゆ31.0%
29.7%
おんせん13.8%
をんせん8.3%
うんぜん8.3%
3.4%
でゆ2.1%
ゆせん1.4%
イデユ1.4%
ゆぜん0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
梶女はたしかめるようにこちらを見ていたが、すぐ思いかえしたようすで、今日は山辺やまべ温泉いでゆへゆくからしたくするようにと云った。
日本婦道記:糸車 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
しかもお雪が宿の庭つづき竹藪たけやぶ住居すまいを隔てた空地、直ちに山の裾が迫る処、その昔は温泉湧出わきでたという、洞穴ほらあなのあたりであった。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「あのやまのあちらの温泉おんせんへ、どうかつれていってください。」と、会長かいちょうが、みんなにわって、北国ほっこくからきたすずめにたのみました。
温泉へ出かけたすずめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
温泉をんせんかうとして、菊屋きくや廣袖どてら着換きかへるにけても、途中とちう胴震どうぶるひのまらなかつたまで、かれすくなからずおびやかされたのである。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
温泉うんぜんはちまき、多良頭巾たらづきん」といふこと、これをその国のある地方にて聴く、専ら雲のありさまを示せるもの、おもしろき俚諺ことわざならずや。
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
・こゝまではあるけたところで熱い温泉がある(山口へ)
其中日記:06 (六) (新字旧仮名) / 種田山頭火(著)
様々のあわれはあるが、春の温泉でゆの曇りばかりは、ゆあみするものの肌を、やわらかにつつんで、古き世の男かと、われを疑わしむる。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
温泉ゆせん岳から金精山や前白根に至る諸峰も指呼の間にある。奥白根の絶巓ぜってんも何処かでちらと見たようであったが判然しない。
秋の鬼怒沼 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
旅の人々と彼等の財布を狙ふ街の人々と、温泉イデユの匂ひ、脂粉の香り。
道中記 (新字旧仮名) / 種田山頭火(著)
小屋の持主の老婆、手傳ひに來た中年の女と其の娘が火を燃しては私達に馳走するとて小鳥を燒いて呉れる。見晴らしは女貌から男體迄の主なる部分と、温泉ゆぜんたけの附近が見える。
黒岩山を探る (旧字旧仮名) / 沼井鉄太郎(著)