種田山頭火
1882.12.03 〜 1940.10.11
著者としての作品一覧
赤い壺(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
『あきらめ』ということほど言い易くして行い難いことはない。それは自棄ではない、盲従ではない、事物の情理を尽して後に初めて許される『魂のおちつき』である。 私は酒席に於て最も強く自己 …
読書目安時間:約3分
『あきらめ』ということほど言い易くして行い難いことはない。それは自棄ではない、盲従ではない、事物の情理を尽して後に初めて許される『魂のおちつき』である。 私は酒席に於て最も強く自己 …
赤い壺(三)(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
物を弄ぶのはその物の真髄を知らないからである。理解は時として離反を齎らすけれど、断じて玩弄というような軽浮なものを招かない。 鏡を持たない人は幸福である。その人は自分が最も美しいと …
読書目安時間:約2分
物を弄ぶのはその物の真髄を知らないからである。理解は時として離反を齎らすけれど、断じて玩弄というような軽浮なものを招かない。 鏡を持たない人は幸福である。その人は自分が最も美しいと …
赤い壺(二)(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
自分の道を歩む人に堕落はない。彼にとっては、天国に昇ろうとまた地獄に落ちようとそれは何でもない事である、道中に於ける夫々の宿割に過ぎない。 優秀な作品の多くは苦痛から生れる。私は未 …
読書目安時間:約2分
自分の道を歩む人に堕落はない。彼にとっては、天国に昇ろうとまた地獄に落ちようとそれは何でもない事である、道中に於ける夫々の宿割に過ぎない。 優秀な作品の多くは苦痛から生れる。私は未 …
一草庵日記(新字旧仮名)
読書目安時間:約48分
晴。 絶食、私は絶食しなければならない、食物がないといふ訳ばかりでなく、身心清掃のためにも。—— せめて今日一日だけでもすなほにつつましく正しく暮らしたいと思ふ、その日その日——そ …
読書目安時間:約48分
晴。 絶食、私は絶食しなければならない、食物がないといふ訳ばかりでなく、身心清掃のためにも。—— せめて今日一日だけでもすなほにつつましく正しく暮らしたいと思ふ、その日その日——そ …
片隅の幸福(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
大の字に寝て涼しさよ淋しさよ 一茶の句である。いつごろの作であるかは、手もとに参考書が一冊もないから解らないけれど、多分放浪時代の句であろうと思う。とにかくそのつもりで筆をすすめて …
読書目安時間:約2分
大の字に寝て涼しさよ淋しさよ 一茶の句である。いつごろの作であるかは、手もとに参考書が一冊もないから解らないけれど、多分放浪時代の句であろうと思う。とにかくそのつもりで筆をすすめて …
行乞記:01 (一)(新字旧仮名)
読書目安時間:約2時間38分
このみちや いくたりゆきし われはけふゆく しづけさは 死ぬるばかりの 水がながれて 九月九日晴、八代町、萩原塘、吾妻屋(三五・中) 私はまた旅に出た、愚かな旅人として放浪するより …
読書目安時間:約2時間38分
このみちや いくたりゆきし われはけふゆく しづけさは 死ぬるばかりの 水がながれて 九月九日晴、八代町、萩原塘、吾妻屋(三五・中) 私はまた旅に出た、愚かな旅人として放浪するより …
行乞記:02 三八九日記(新字旧仮名)
読書目安時間:約29分
十二月廿八日曇、雨、どしや降り、春日へ、そして熊本へ。 もう三八九日記としてもよいだらうと思ふ、水が一すぢに流れるやうに、私の生活もしづかにしめやかになつたから。—— 途上、梅二枝 …
読書目安時間:約29分
十二月廿八日曇、雨、どしや降り、春日へ、そして熊本へ。 もう三八九日記としてもよいだらうと思ふ、水が一すぢに流れるやうに、私の生活もしづかにしめやかになつたから。—— 途上、梅二枝 …
行乞記:03 (二)(新字旧仮名)
読書目安時間:約2時間10分
死をまへの木の葉そよぐなり 陽を吸ふ 死ぬる夜の雪ふりつもる 生死のなかの雪ふりしきる 晴、汽車で五里、味取、星子宅。 私はまた旅に出た。—— 『私はまた草鞋を穿かなければならなく …
読書目安時間:約2時間10分
死をまへの木の葉そよぐなり 陽を吸ふ 死ぬる夜の雪ふりつもる 生死のなかの雪ふりしきる 晴、汽車で五里、味取、星子宅。 私はまた旅に出た。—— 『私はまた草鞋を穿かなければならなく …
行乞記:04 (三)(新字旧仮名)
読書目安時間:約1時間54分
鶏肋抄 □霰、鉢の子にも(改作) □山へ空へ摩訶般若波羅密多心経(再録) □旅の法衣は吹きまくる風にまかす(〃) 雪中行乞 □雪の法衣の重うなる(〃) □このいたゞきのしぐれにたゝ …
読書目安時間:約1時間54分
鶏肋抄 □霰、鉢の子にも(改作) □山へ空へ摩訶般若波羅密多心経(再録) □旅の法衣は吹きまくる風にまかす(〃) 雪中行乞 □雪の法衣の重うなる(〃) □このいたゞきのしぐれにたゝ …
行乞記:05 室積行乞(新字旧仮名)
読書目安時間:約21分
一鉢千家飯 山頭火 □春風の鉢の子一つ □秋風の鉄鉢を持つ 雲の如く行き 水の如く歩み 風の如く去る 一切空 五月十三日(室積行乞) まだ明けないけれど起きる、まづ日暦を今日の一枚 …
読書目安時間:約21分
一鉢千家飯 山頭火 □春風の鉢の子一つ □秋風の鉄鉢を持つ 雲の如く行き 水の如く歩み 風の如く去る 一切空 五月十三日(室積行乞) まだ明けないけれど起きる、まづ日暦を今日の一枚 …
行乞記:06 北九州行乞(新字旧仮名)
読書目安時間:約13分
六月三日(北九州行乞) 一年ぶりに北九州を歩きまはるべく出立した、明けたばかりの天地はすが/\しかつた、靄のふかい空、それがだん/\晴れて雲のない空となつた、私は大股に歩調正しく歩 …
読書目安時間:約13分
六月三日(北九州行乞) 一年ぶりに北九州を歩きまはるべく出立した、明けたばかりの天地はすが/\しかつた、靄のふかい空、それがだん/\晴れて雲のない空となつた、私は大股に歩調正しく歩 …
行乞記:07 伊佐行乞(新字旧仮名)
読書目安時間:約26分
六月廿日(伊佐行乞) 朝あけの道は山の青葉のあざやかさだ、昇る日と共に歩いた。 いつのまにやら道をまちがへてゐたが、——それがかへつてよかつた——山また山、青葉に青葉、分け入るとい …
読書目安時間:約26分
六月廿日(伊佐行乞) 朝あけの道は山の青葉のあざやかさだ、昇る日と共に歩いた。 いつのまにやら道をまちがへてゐたが、——それがかへつてよかつた——山また山、青葉に青葉、分け入るとい …
行乞記:08 大田(新字旧仮名)
読書目安時間:約19分
七月十四日 ずゐぶん早く起きて仕度をしたけれど、あれこれと手間取つて七時出立、小郡の街はづれから行乞しはじめる。 大田への道は山にそうてまがり水にそうてまがる、分け入る気分があつて …
読書目安時間:約19分
七月十四日 ずゐぶん早く起きて仕度をしたけれど、あれこれと手間取つて七時出立、小郡の街はづれから行乞しはじめる。 大田への道は山にそうてまがり水にそうてまがる、分け入る気分があつて …
行乞記:09 山口(新字旧仮名)
読書目安時間:約15分
七月廿八日 六時すぎ出立、道はアスフアルトの一路坦々。朝風が法衣の袖にはらんで涼しい。 九時から山口市の裏通行乞二時間。 鈴木の奥さんに御挨拶する、思ひがけなくお布施を頂戴して恐縮 …
読書目安時間:約15分
七月廿八日 六時すぎ出立、道はアスフアルトの一路坦々。朝風が法衣の袖にはらんで涼しい。 九時から山口市の裏通行乞二時間。 鈴木の奥さんに御挨拶する、思ひがけなくお布施を頂戴して恐縮 …
行乞記:10 仙崎(新字旧仮名)
読書目安時間:約16分
八月八日 五時半出立、はつらつとして歩いてゐたら、犬がとびだしてきて吠えたてた、あまりしつこいので拄杖で一撃をくれてやつた、吠える犬はほんとうに臆病だつた。 水声、蝉声、山色こまや …
読書目安時間:約16分
八月八日 五時半出立、はつらつとして歩いてゐたら、犬がとびだしてきて吠えたてた、あまりしつこいので拄杖で一撃をくれてやつた、吠える犬はほんとうに臆病だつた。 水声、蝉声、山色こまや …
行乞記:11 大田から下関(新字旧仮名)
読書目安時間:約15分
八月廿八日 星晴れの空はうつくしかつた、朝露の道がすが/\しい、歩いてゐるうちに六時のサイレンが鳴つた、庵に放つたらかしいおいた樹明君はどうしたか知ら! 駄菓子のお婆さんが、よびと …
読書目安時間:約15分
八月廿八日 星晴れの空はうつくしかつた、朝露の道がすが/\しい、歩いてゐるうちに六時のサイレンが鳴つた、庵に放つたらかしいおいた樹明君はどうしたか知ら! 駄菓子のお婆さんが、よびと …
行乞記:12 広島・尾道(新字旧仮名)
読書目安時間:約21分
九月十一日 広島尾道地方へ旅立つ日だ、出立が六時をすぎたので急ぐ、朝曇がだん/\晴れて暑くなる、秋日はこたえる、汗が膏のやうに感じられるほどだ。 中関町へ着いたのは十一時過ぎ、四時 …
読書目安時間:約21分
九月十一日 広島尾道地方へ旅立つ日だ、出立が六時をすぎたので急ぐ、朝曇がだん/\晴れて暑くなる、秋日はこたえる、汗が膏のやうに感じられるほどだ。 中関町へ着いたのは十一時過ぎ、四時 …
草と虫とそして(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
いつからともなく、どこからともなく、秋が来た。ことしは秋も早足で来たらしい。 昼はつくつくぼうし、夜はがちゃがちゃがうるさいほど鳴き立てていたが、それらもいつか遠ざかって、このごろ …
読書目安時間:約3分
いつからともなく、どこからともなく、秋が来た。ことしは秋も早足で来たらしい。 昼はつくつくぼうし、夜はがちゃがちゃがうるさいほど鳴き立てていたが、それらもいつか遠ざかって、このごろ …
鎖ペンを握って:――三月十九日 夜―― 山頭火(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
△春と共に白楊社が生れた。あのポプラ若葉のようにすくすくと伸びゆけよと祈る。 △会名の『白楊社』は可い。(たしか二三年前に東京郊外在住の画家連中が同名の会合を組織していたと思う。今 …
読書目安時間:約4分
△春と共に白楊社が生れた。あのポプラ若葉のようにすくすくと伸びゆけよと祈る。 △会名の『白楊社』は可い。(たしか二三年前に東京郊外在住の画家連中が同名の会合を組織していたと思う。今 …
砕けた瓦:(或る男の手帳から)(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
私は此頃自から省みて『私は砕けた瓦だ』としみじみ感ぜざるをえないようになった。私は瓦であった、脆い瓦であった、自分から転げ落ちて砕けてしまう瓦であったのだ。 玉砕ということがあるが …
読書目安時間:約3分
私は此頃自から省みて『私は砕けた瓦だ』としみじみ感ぜざるをえないようになった。私は瓦であった、脆い瓦であった、自分から転げ落ちて砕けてしまう瓦であったのだ。 玉砕ということがあるが …
其中日記:01 (一)(新字旧仮名)
読書目安時間:約1時間22分
九月廿一日 庵居第一日(昨日から今日へかけて)。 朝夕、山村の閑静満喫。 虫、虫、月、月、柿、柿、曼珠沙華、々々々々。 ・移つてきてお彼岸花の花ざかり □ ・蠅も移つてきてゐる 近 …
読書目安時間:約1時間22分
九月廿一日 庵居第一日(昨日から今日へかけて)。 朝夕、山村の閑静満喫。 虫、虫、月、月、柿、柿、曼珠沙華、々々々々。 ・移つてきてお彼岸花の花ざかり □ ・蠅も移つてきてゐる 近 …
其中日記:02 (二)(新字旧仮名)
読書目安時間:約1時間15分
其中日記は山頭火が山頭火によびかける言葉である。 日記は自画像である、描かれた日記が自画像で、書かれた自画像が日記である。 日記は人間的記録として、最初の文字から最後の文字まで、肉 …
読書目安時間:約1時間15分
其中日記は山頭火が山頭火によびかける言葉である。 日記は自画像である、描かれた日記が自画像で、書かれた自画像が日記である。 日記は人間的記録として、最初の文字から最後の文字まで、肉 …
其中日記:03 (三)(新字旧仮名)
読書目安時間:約39分
かうして山頭火 ここにわたしのかげ 昭和八年三月二十日ヨリ 同年七月十日マデ 三月二十日初雷。 また雨だ、うそ寒い、何だか陰惨である、しかし庵は物資豊富だ。 春来、客来、物資来だ。 …
読書目安時間:約39分
かうして山頭火 ここにわたしのかげ 昭和八年三月二十日ヨリ 同年七月十日マデ 三月二十日初雷。 また雨だ、うそ寒い、何だか陰惨である、しかし庵は物資豊富だ。 春来、客来、物資来だ。 …
其中日記:04 (四)(新字旧仮名)
読書目安時間:約5分
其中一人として炎天山頭火 七月十一日 天気明朗、心気も明朗である。 釣瓶縄をすげかへる、私自身が綯うた棕梠縄である、これで当分楽だ、それにしても水は尊い、井戸や清水に注連を張る人々 …
読書目安時間:約5分
其中一人として炎天山頭火 七月十一日 天気明朗、心気も明朗である。 釣瓶縄をすげかへる、私自身が綯うた棕梠縄である、これで当分楽だ、それにしても水は尊い、井戸や清水に注連を張る人々 …
其中日記:05 (五)(新字旧仮名)
読書目安時間:約39分
おかげさまで、五十代四度目の、│ │其中庵二度目の春をむかへること│ │ができました。山頭火拝│ │天地人様二月四日 明けてうらゝかだつたが、また曇つて雪がふりだした。 身心不調、 …
読書目安時間:約39分
おかげさまで、五十代四度目の、│ │其中庵二度目の春をむかへること│ │ができました。山頭火拝│ │天地人様二月四日 明けてうらゝかだつたが、また曇つて雪がふりだした。 身心不調、 …
其中日記:06 (六)(新字旧仮名)
読書目安時間:約1時間19分
旅日記 □東行記(友と遊ぶ) □水を味ふ(道中記) □病床雑記(飯田入院) □帰庵独臥(雑感) 三月廿一日(東行記) 春季皇霊祭、お彼岸の中日、風ふく日。 樹明君から酒を寄越す、T …
読書目安時間:約1時間19分
旅日記 □東行記(友と遊ぶ) □水を味ふ(道中記) □病床雑記(飯田入院) □帰庵独臥(雑感) 三月廿一日(東行記) 春季皇霊祭、お彼岸の中日、風ふく日。 樹明君から酒を寄越す、T …
其中日記:07 (七)(新字旧仮名)
読書目安時間:約1時間32分
花開時蝶来 蝶来時花開 七月廿六日 曇、雨、蒸暑かつた、山口行。 △心臓いよ/\弱り、酒がます/\飲める、——飲みたい、まことに困つたことである。 朝、学校の給仕さんがやつてきて、 …
読書目安時間:約1時間32分
花開時蝶来 蝶来時花開 七月廿六日 曇、雨、蒸暑かつた、山口行。 △心臓いよ/\弱り、酒がます/\飲める、——飲みたい、まことに困つたことである。 朝、学校の給仕さんがやつてきて、 …
其中日記:08 (八)(新字旧仮名)
読書目安時間:約2時間24分
唐土の山の彼方にたつ雲は ここに焚く火の煙なりけり 一月一日 ・雑草霽れてきた今日はお正月 ・草へ元旦の馬を放していつた ・霽れて元日の水がたたへていつぱい けふは休業の犬が寝そべ …
読書目安時間:約2時間24分
唐土の山の彼方にたつ雲は ここに焚く火の煙なりけり 一月一日 ・雑草霽れてきた今日はお正月 ・草へ元旦の馬を放していつた ・霽れて元日の水がたたへていつぱい けふは休業の犬が寝そべ …
其中日記:09 (九)(新字旧仮名)
読書目安時間:約1時間44分
昭和十一年(句稿別冊) 曇、晴、混沌として。 広島の酔を乗せて、朝の五時前に小郡へ着いた。 恥知らずめ!不良老人め! お土産の酒三升は重かつたが、酒だから苦にはならなかつた、よろ/ …
読書目安時間:約1時間44分
昭和十一年(句稿別冊) 曇、晴、混沌として。 広島の酔を乗せて、朝の五時前に小郡へ着いた。 恥知らずめ!不良老人め! お土産の酒三升は重かつたが、酒だから苦にはならなかつた、よろ/ …
其中日記:10 (十)(新字旧仮名)
読書目安時間:約1時間22分
自戒三則 一、物を粗末にしないこと 一、腹を立てないこと 一、愚痴をいはないこと 誓願三章 一、無理をしないこと 一、後悔しないこと 一、自己に佞らないこと 欣求三条 一、勉強する …
読書目安時間:約1時間22分
自戒三則 一、物を粗末にしないこと 一、腹を立てないこと 一、愚痴をいはないこと 誓願三章 一、無理をしないこと 一、後悔しないこと 一、自己に佞らないこと 欣求三条 一、勉強する …
其中日記:11 (十一)(新字旧仮名)
読書目安時間:約50分
自省自戒 節度ある生活、省みて疚しくない生活、悔のない生活。 孤独に落ちつけ。—— 物事を考へるはよろしい、考へなければならない、しかしクヨクヨするなかれ。 貧乏に敗けるな。—— …
読書目安時間:約50分
自省自戒 節度ある生活、省みて疚しくない生活、悔のない生活。 孤独に落ちつけ。—— 物事を考へるはよろしい、考へなければならない、しかしクヨクヨするなかれ。 貧乏に敗けるな。—— …
其中日記:12 (十二)(新字旧仮名)
読書目安時間:約29分
知足安分。 他ノ短ヲ語ル勿レ。 己ノ長ヲ説ク勿レ。 応無所住而生其心。 独慎、俯仰天地に愧ぢず。 色即是空、空即是色。 誠ハ天ノ道ナリ、コレヲ誠ニスルハ人ノ道ナリ。 一月一日晴—— …
読書目安時間:約29分
知足安分。 他ノ短ヲ語ル勿レ。 己ノ長ヲ説ク勿レ。 応無所住而生其心。 独慎、俯仰天地に愧ぢず。 色即是空、空即是色。 誠ハ天ノ道ナリ、コレヲ誠ニスルハ人ノ道ナリ。 一月一日晴—— …
其中日記:13 (十三)(新字旧仮名)
読書目安時間:約8分
五月一日晴——曇——雨。 早起、一風呂あびて一杯ひつかける、極楽々々! 七時のバスで帰庵。 留守中に敬君や樹明君や誰かゞ来庵したらしい、すまなかつた、残念なことをした。 何となく憂 …
読書目安時間:約8分
五月一日晴——曇——雨。 早起、一風呂あびて一杯ひつかける、極楽々々! 七時のバスで帰庵。 留守中に敬君や樹明君や誰かゞ来庵したらしい、すまなかつた、残念なことをした。 何となく憂 …
其中日記:14 (十三の続)(新字旧仮名)
読書目安時間:約59分
晴れて暑い、虹ヶ浜。 午後三時の汽車で徳山へ、白船居で北朗君を待ち合せ、同道して虹ヶ浜へ。 北朗君は一家をあげて連れて来てゐる、にぎやかなことである、そしてうるさいことである(それ …
読書目安時間:約59分
晴れて暑い、虹ヶ浜。 午後三時の汽車で徳山へ、白船居で北朗君を待ち合せ、同道して虹ヶ浜へ。 北朗君は一家をあげて連れて来てゐる、にぎやかなことである、そしてうるさいことである(それ …
其中日記:15 (十四)(新字旧仮名)
読書目安時間:約20分
曇——雨。 聖戦第三年、興亜新春、万歳万々歳。 安眠、朝寝、身心平静。 おめでたう、ありがたう。 ——起きるなり、水を汲みあげて腹いつぱい飲んだ、それは若水であり、そして酔醒の水で …
読書目安時間:約20分
曇——雨。 聖戦第三年、興亜新春、万歳万々歳。 安眠、朝寝、身心平静。 おめでたう、ありがたう。 ——起きるなり、水を汲みあげて腹いつぱい飲んだ、それは若水であり、そして酔醒の水で …
其中日記:16 (十五)(新字旧仮名)
読書目安時間:約56分
晴。 さらりと朝湯によごれを流して。—— 自分のうちのしたしさ、そしてむさくるしさ、わびしさ。 日本晴、めつきり夏めいた。 今日はアルコールなし! 晴、風、そして曇。 暑い、暑い、 …
読書目安時間:約56分
晴。 さらりと朝湯によごれを流して。—— 自分のうちのしたしさ、そしてむさくるしさ、わびしさ。 日本晴、めつきり夏めいた。 今日はアルコールなし! 晴、風、そして曇。 暑い、暑い、 …
最近の感想(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
現時の俳壇に対して望ましい事は多々あるが、最も望ましい事の一つは理解ある俳論の出現である。かつて島村抱月氏は情理をつくした批評ということを説かれた。それとおなじ意味に於て、私は『情 …
読書目安時間:約3分
現時の俳壇に対して望ましい事は多々あるが、最も望ましい事の一つは理解ある俳論の出現である。かつて島村抱月氏は情理をつくした批評ということを説かれた。それとおなじ意味に於て、私は『情 …
雑記(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
私には私らしい、庵には庵らしいお正月が来た。明けましてまずはおめでとうございます、とおよろこびを申しあげる。門松や輪飾りはめんどうくさいから止めにして、裏山から歯朶を五六本折ってき …
読書目安時間:約3分
私には私らしい、庵には庵らしいお正月が来た。明けましてまずはおめでとうございます、とおよろこびを申しあげる。門松や輪飾りはめんどうくさいから止めにして、裏山から歯朶を五六本折ってき …
雑信(一)(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
新年句会には失敬しました、あれほど堅く約束していた事ですから、私自身は必ず出席するつもりでしたけれど、好事魔多しとやらで、飛んでもない邪魔が這入って、ああいうぐうたらを仕出来しまし …
読書目安時間:約2分
新年句会には失敬しました、あれほど堅く約束していた事ですから、私自身は必ず出席するつもりでしたけれど、好事魔多しとやらで、飛んでもない邪魔が這入って、ああいうぐうたらを仕出来しまし …
雑信(二)(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
△今朝、思いがけなく本集をうけとりました。前集ほど振っていないという評には誰も異議はありますまい。句が総じてダレています。無理に拵えたらしい痕跡があります。 △私は此度もまた出句す …
読書目安時間:約5分
△今朝、思いがけなく本集をうけとりました。前集ほど振っていないという評には誰も異議はありますまい。句が総じてダレています。無理に拵えたらしい痕跡があります。 △私は此度もまた出句す …
三八九雑記(新字新仮名)
読書目安時間:約5分
なんとなく春めいてきた、土鼠がもりあげた土くれにも春を感じる。 水のいろも春めいたいもりいつぴき 私もこのごろはあまりくよくよしないようになった。それはアキラメでもなければナゲヤリ …
読書目安時間:約5分
なんとなく春めいてきた、土鼠がもりあげた土くれにも春を感じる。 水のいろも春めいたいもりいつぴき 私もこのごろはあまりくよくよしないようになった。それはアキラメでもなければナゲヤリ …
四国遍路日記(新字新仮名)
読書目安時間:約33分
十一月一日晴、行程七里、もみぢ屋という宿に泊る。 ——有明月のうつくしさ。 今朝はいよいよ出発、更始一新、転一歩のたしかな一歩を踏み出さなければならない。 七時出立、徳島へ向う(先 …
読書目安時間:約33分
十一月一日晴、行程七里、もみぢ屋という宿に泊る。 ——有明月のうつくしさ。 今朝はいよいよ出発、更始一新、転一歩のたしかな一歩を踏み出さなければならない。 七時出立、徳島へ向う(先 …
述懐(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
——私はその日その日の生活にも困っている。食うや食わずで昨日今日を送り迎えている。多分明日も——いや、死ぬるまではそうだろう。だが私は毎日毎夜句を作っている。飲み食いしないでも句を …
読書目安時間:約1分
——私はその日その日の生活にも困っている。食うや食わずで昨日今日を送り迎えている。多分明日も——いや、死ぬるまではそうだろう。だが私は毎日毎夜句を作っている。飲み食いしないでも句を …
白い花(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
私は木花よりも草花を愛する。春の花より秋の花が好きだ。西洋種はあまり好かない。野草を愛する。 家のまわりや山野渓谷を歩き廻って、見つかりしだい手あたり放題に雑草を摘んで来て、机上の …
読書目安時間:約3分
私は木花よりも草花を愛する。春の花より秋の花が好きだ。西洋種はあまり好かない。野草を愛する。 家のまわりや山野渓谷を歩き廻って、見つかりしだい手あたり放題に雑草を摘んで来て、机上の …
白い路(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
熟した果実がおのずから落ちるように、ほっかりと眼が覚めた。働けるだけ働いて、寝たいだけ寝た後の気分は、安らかさのうちに一味の空しさを含んでいる。…… 妻はもう起きて台所をカタコト響 …
読書目安時間:約3分
熟した果実がおのずから落ちるように、ほっかりと眼が覚めた。働けるだけ働いて、寝たいだけ寝た後の気分は、安らかさのうちに一味の空しさを含んでいる。…… 妻はもう起きて台所をカタコト響 …
草木塔(新字旧仮名)
読書目安時間:約29分
若うして死をいそぎたまへる 母上の霊前に 本書を供へまつる 大正十四年二月、いよいよ出家得度して、肥後の片田舎なる味取観音堂守となつたが、それはまことに山林独住の、しづかといへばし …
読書目安時間:約29分
若うして死をいそぎたまへる 母上の霊前に 本書を供へまつる 大正十四年二月、いよいよ出家得度して、肥後の片田舎なる味取観音堂守となつたが、それはまことに山林独住の、しづかといへばし …
草木塔(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
庵のまわりには茶の木が多い。五歩にして一株、十歩にしてまた一株。 私は茶の木を愛する、その花をさらに愛する。私はここに移ってきてから、ながいこと忘れていた茶の花の趣致に心をひかれた …
読書目安時間:約3分
庵のまわりには茶の木が多い。五歩にして一株、十歩にしてまた一株。 私は茶の木を愛する、その花をさらに愛する。私はここに移ってきてから、ながいこと忘れていた茶の花の趣致に心をひかれた …
旅日記(新字旧仮名)
読書目安時間:約1時間7分
年頭所感—— 芭蕉は芭蕉、良寛は良寛である、芭蕉にならうとしても芭蕉にはなりきれないし、良寛の真似をしたところで初まらない。 私は私である、山頭火は山頭火である、芭蕉にならうとも思 …
読書目安時間:約1時間7分
年頭所感—— 芭蕉は芭蕉、良寛は良寛である、芭蕉にならうとしても芭蕉にはなりきれないし、良寛の真似をしたところで初まらない。 私は私である、山頭火は山頭火である、芭蕉にならうとも思 …
旅日記:02 昭和十三年(新字旧仮名)
読書目安時間:約24分
五月廿八日廿九日澄太居柊屋。 やうやく旅立つことが出来た(旅費を送つて下さつた澄太緑平の二君にこゝで改めてお礼を申上げる)。 八時出発、朝飯が足らなかつたから餅屋に寄つて餅を食べる …
読書目安時間:約24分
五月廿八日廿九日澄太居柊屋。 やうやく旅立つことが出来た(旅費を送つて下さつた澄太緑平の二君にこゝで改めてお礼を申上げる)。 八時出発、朝飯が足らなかつたから餅屋に寄つて餅を食べる …
旅日記:03 昭和十四年(新字旧仮名)
読書目安時間:約46分
曇。 夕方になつてやうやく出立、藤井さんに駅まで送つて貰つて。—— 春三君の芳志万謝、S屋で一献! 白船居訪問、とめられるのを辞して、待合室で夜明の汽車を待つて広島へ。 春の夜の明 …
読書目安時間:約46分
曇。 夕方になつてやうやく出立、藤井さんに駅まで送つて貰つて。—— 春三君の芳志万謝、S屋で一献! 白船居訪問、とめられるのを辞して、待合室で夜明の汽車を待つて広島へ。 春の夜の明 …
漬物の味〔扉の言葉〕(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
私は長いあいだ漬物の味を知らなかった。ようやく近頃になって漬物はうまいなあとしみじみ味うている。 清新そのものともいいたい白菜の塩漬もうれしいが、鼈甲のような大根の味噌漬もわるくな …
読書目安時間:約1分
私は長いあいだ漬物の味を知らなかった。ようやく近頃になって漬物はうまいなあとしみじみ味うている。 清新そのものともいいたい白菜の塩漬もうれしいが、鼈甲のような大根の味噌漬もわるくな …
鉄鉢と魚籃と:――其中日記から――(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
九月三日。 曇、さすがに厄日前後らしい天候。 朝は梅茶三杯ですます。身心を浄化するには何よりもこれがよろしい。 前栽の萩——それは一昨年黎々火君と共に裏山から移植したもの——が勢よ …
読書目安時間:約3分
九月三日。 曇、さすがに厄日前後らしい天候。 朝は梅茶三杯ですます。身心を浄化するには何よりもこれがよろしい。 前栽の萩——それは一昨年黎々火君と共に裏山から移植したもの——が勢よ …
道中記(新字旧仮名)
読書目安時間:約28分
三月十二日晴、春寒、笹鳴、そして出立——八幡。 昨夜は夜通し眠れなかつた、出立前に、アメリカ同人の贈物ポピーを播いてをく! 今朝の誓願、今後は焼酎を飲むまいぞ、総じて火酒は私に向か …
読書目安時間:約28分
三月十二日晴、春寒、笹鳴、そして出立——八幡。 昨夜は夜通し眠れなかつた、出立前に、アメリカ同人の贈物ポピーを播いてをく! 今朝の誓願、今後は焼酎を飲むまいぞ、総じて火酒は私に向か …
独慎〔扉の言葉〕(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
昭和八年一月一日、私はゆうぜんとしてひとり(いつもひとりだが)こここうしてかしこまっていた。 昨年は筑前の或る炭坑町で新年を迎えた。一昨年は熊本で、五年は久留米で、四年は広島で、三 …
読書目安時間:約2分
昭和八年一月一日、私はゆうぜんとしてひとり(いつもひとりだが)こここうしてかしこまっていた。 昨年は筑前の或る炭坑町で新年を迎えた。一昨年は熊本で、五年は久留米で、四年は広島で、三 …
寝床〔扉の言葉〕(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
ここへ移って来てから、ほんとうにのびやかな時間が流れてゆく。自分の寝床——それはどんなに見すぼらしいものであっても——を持っているということが、こんなにも身心を落ちつかせるものかと …
読書目安時間:約2分
ここへ移って来てから、ほんとうにのびやかな時間が流れてゆく。自分の寝床——それはどんなに見すぼらしいものであっても——を持っているということが、こんなにも身心を落ちつかせるものかと …
俳句に於ける象徴的表現(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
井泉水氏は印象詩乃至象徴詩としての俳句について屡々語られた。しかし俳句に於ける象徴の本質に就ては説かれない。筆端が時々此問題に触れたとも言うべき程である。私は此の根本的説明に接する …
読書目安時間:約2分
井泉水氏は印象詩乃至象徴詩としての俳句について屡々語られた。しかし俳句に於ける象徴の本質に就ては説かれない。筆端が時々此問題に触れたとも言うべき程である。私は此の根本的説明に接する …
『鉢の子』から『其中庵』まで(新字新仮名)
読書目安時間:約10分
この一篇は、たいへんおそくなりましたけれど、結庵報告書ともいうべきものであります。井師をはじめ、北朗兄、緑平兄、酒壺洞兄、元寛兄、白船兄、樹明兄、そのほか同人諸兄姉の温情によって、 …
読書目安時間:約10分
この一篇は、たいへんおそくなりましたけれど、結庵報告書ともいうべきものであります。井師をはじめ、北朗兄、緑平兄、酒壺洞兄、元寛兄、白船兄、樹明兄、そのほか同人諸兄姉の温情によって、 …
故郷〔扉の言葉〕(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
家郷忘じ難しという。まことにそのとおりである。故郷はとうてい捨てきれないものである。それを愛する人は愛する意味に於て、それを憎む人は憎む意味に於て。 さらにまた、予言者は故郷に容れ …
読書目安時間:約2分
家郷忘じ難しという。まことにそのとおりである。故郷はとうてい捨てきれないものである。それを愛する人は愛する意味に於て、それを憎む人は憎む意味に於て。 さらにまた、予言者は故郷に容れ …
遍路の正月(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
私もどうやら思い出を反芻する老いぼれになったらしい。思い出は果もなく続く。昔の旅のお正月の話の一つ。 それは確か昭和三年であったと思う。私はとぼとぼ伊予路を歩いていた。予定らしい予 …
読書目安時間:約2分
私もどうやら思い出を反芻する老いぼれになったらしい。思い出は果もなく続く。昔の旅のお正月の話の一つ。 それは確か昭和三年であったと思う。私はとぼとぼ伊予路を歩いていた。予定らしい予 …
歩々到着(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
禅門に「歩々到着」という言葉がある。それは一歩一歩がそのまま到着であり、一歩は一歩の脱落であることを意味する。一寸坐れば一寸の仏という語句とも相通ずるものがあるようである。 私は歩 …
読書目安時間:約1分
禅門に「歩々到着」という言葉がある。それは一歩一歩がそのまま到着であり、一歩は一歩の脱落であることを意味する。一寸坐れば一寸の仏という語句とも相通ずるものがあるようである。 私は歩 …
松山日記(新字旧仮名)
読書目安時間:約55分
“同塵居”誓詞に代へて 我昔所造諸悪業 皆由無始貪瞋痴 従身語意之所生 一切我今皆懺悔 三帰礼 自から仏に帰依し奉る当に願はくは衆生と共に 大道を体解して無上意を発さん 自から法に …
読書目安時間:約55分
“同塵居”誓詞に代へて 我昔所造諸悪業 皆由無始貪瞋痴 従身語意之所生 一切我今皆懺悔 三帰礼 自から仏に帰依し奉る当に願はくは衆生と共に 大道を体解して無上意を発さん 自から法に …
水〔扉の言葉〕(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
禅門——洞家には『永平半杓の水』という遺訓がある。それは道元禅師が、使い残しの半杓の水を桶にかえして、水の尊いこと、物を粗末にしてはならないことを戒められたのである。そういう話は現 …
読書目安時間:約2分
禅門——洞家には『永平半杓の水』という遺訓がある。それは道元禅師が、使い残しの半杓の水を桶にかえして、水の尊いこと、物を粗末にしてはならないことを戒められたのである。そういう話は現 …
道〔扉の言葉〕(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
いつぞや、日向地方を行乞した時の出来事である。秋晴の午後、或る町はずれの酒屋で生一本の御馳走になった。下地は好きなり空腹でもあったので、ほろほろ気分になって宿のある方へ歩いていると …
読書目安時間:約2分
いつぞや、日向地方を行乞した時の出来事である。秋晴の午後、或る町はずれの酒屋で生一本の御馳走になった。下地は好きなり空腹でもあったので、ほろほろ気分になって宿のある方へ歩いていると …
物を大切にする心(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
物を大切にする心はいのちをはぐくみそだてる温床である。それはおのずから、神と偕にある世界、仏に融け入る境地へみちびく。 先年、四国霊場を行乞巡拝したとき、私はゆくりなくHという老遍 …
読書目安時間:約3分
物を大切にする心はいのちをはぐくみそだてる温床である。それはおのずから、神と偕にある世界、仏に融け入る境地へみちびく。 先年、四国霊場を行乞巡拝したとき、私はゆくりなくHという老遍 …
夜長ノート(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
小春日和のうららかさ。のんびりとした気持になって山の色彩を眺める。赤い葉、黄色い葉、青い葉、薄黒い葉——紅黄青褐とりどりのうつくしさ。自然が秋に与えた傑作をしみじみ味わうたのしさ。 …
読書目安時間:約4分
小春日和のうららかさ。のんびりとした気持になって山の色彩を眺める。赤い葉、黄色い葉、青い葉、薄黒い葉——紅黄青褐とりどりのうつくしさ。自然が秋に与えた傑作をしみじみ味わうたのしさ。 …
私の生活(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
あんまり早く起きたところで仕方がないから、それに今でもよく徹夜するほど夜更しをする性分の私だから、自分ながら感心するほど悠然として朝寝をする。といっても此頃で八時九時には起きる。起 …
読書目安時間:約1分
あんまり早く起きたところで仕方がないから、それに今でもよく徹夜するほど夜更しをする性分の私だから、自分ながら感心するほど悠然として朝寝をする。といっても此頃で八時九時には起きる。起 …
私の生活(二)(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
御飯ができ、お汁ができて、そして薬缶を沸くようにしておいて、私は湯屋へ出かける。朝湯は今の私に与えられているゼイタクの一つである、私は悠々として、そして黙々として朝湯を享楽する(朝 …
読書目安時間:約1分
御飯ができ、お汁ができて、そして薬缶を沸くようにしておいて、私は湯屋へ出かける。朝湯は今の私に与えられているゼイタクの一つである、私は悠々として、そして黙々として朝湯を享楽する(朝 …
私を語る:――(消息に代えて)――(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
私もいつのまにやら五十歳になった。五十歳は孔子の所謂、知命の年齢である。私にはまだ天の命は解らないけれど、人の性は多少解ったような気がする。少くとも自分の性だけは。—— 私は労れた …
読書目安時間:約2分
私もいつのまにやら五十歳になった。五十歳は孔子の所謂、知命の年齢である。私にはまだ天の命は解らないけれど、人の性は多少解ったような気がする。少くとも自分の性だけは。—— 私は労れた …
“種田山頭火”について
種田 山頭火(たねだ さんとうか、本名:種田 正一(たねだ しょういち)、1882年(明治15年)12月3日 - 1940年(昭和15年)10月11日)は、日本の自由律俳句の俳人。山頭火とだけ呼ばれることが多い。
山口県佐波郡(現在の防府市)生まれ。『層雲』の荻原井泉水門下。1925年に熊本市の曹洞宗報恩寺で出家得度して耕畝(こうほ)と改名。各地を放浪しながら1万2000余りの句を詠んだ。
(出典:Wikipedia)
山口県佐波郡(現在の防府市)生まれ。『層雲』の荻原井泉水門下。1925年に熊本市の曹洞宗報恩寺で出家得度して耕畝(こうほ)と改名。各地を放浪しながら1万2000余りの句を詠んだ。
(出典:Wikipedia)
“種田山頭火”と年代が近い著者
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