砕けた瓦くだけたかわら(或る男の手帳から)(あるおとこのてちょうから)
私は此頃自から省みて『私は砕けた瓦だ』としみじみ感ぜざるをえないようになった。私は瓦であった、脆い瓦であった、自分から転げ落ちて砕けてしまう瓦であったのだ。 玉砕ということがあるが、私は瓦砕だ。それも他から砕かれたのではなくて、自から砕いて …