水野葉舟
1883.04.09 〜 1947.02.02
著者としての作品一覧
かたくり(新字旧仮名)
読書目安時間:約7分
私が——これは私たちがと言つた方がいいのだ。その時には私たちは三人づれでそこに出かけて行つたのだから——村はづれの谷田の澪に沿つた堤で、初めてカタクリの群落を見つけたのは、ほんの偶 …
読書目安時間:約7分
私が——これは私たちがと言つた方がいいのだ。その時には私たちは三人づれでそこに出かけて行つたのだから——村はづれの谷田の澪に沿つた堤で、初めてカタクリの群落を見つけたのは、ほんの偶 …
北国の人(新字新仮名)
読書目安時間:約23分
九月の中ごろ、ひどく雨が降った或る晩のこと。——学校を出た間もなくこれから新聞社にでも入る運動をしようと思ってる時に少し思うことがあって、私は親の家から出て、佐内坂上の下宿屋に下宿 …
読書目安時間:約23分
九月の中ごろ、ひどく雨が降った或る晩のこと。——学校を出た間もなくこれから新聞社にでも入る運動をしようと思ってる時に少し思うことがあって、私は親の家から出て、佐内坂上の下宿屋に下宿 …
帰途(新字新仮名)
読書目安時間:約25分
三月二十七日——陸中のこの山間の村一帯に雪にまじって雨が降った。 その雨で、しだいに解けてきていた、薄い雪の下から黒い土がところどころに見え出した。——一冬通して、土の上をすっかり …
読書目安時間:約25分
三月二十七日——陸中のこの山間の村一帯に雪にまじって雨が降った。 その雨で、しだいに解けてきていた、薄い雪の下から黒い土がところどころに見え出した。——一冬通して、土の上をすっかり …
言文一致(新字旧仮名)
読書目安時間:約36分
「言文一致」といふ言葉は、今では既に推移し去つた過去のものになつてしまつてゐる。死語になつた感がある。その役目をすまし、次ぎの段階に移り進んで死んで脱殻になつてしまつたのである。 …
読書目安時間:約36分
「言文一致」といふ言葉は、今では既に推移し去つた過去のものになつてしまつてゐる。死語になつた感がある。その役目をすまし、次ぎの段階に移り進んで死んで脱殻になつてしまつたのである。 …
香油(新字新仮名)
読書目安時間:約12分
その日は十二三里の道を、一日乗り合い馬車に揺られながらとおした。やっとの思いで、その遠野町に着いたころは、もうすっかり夜が更けていた。しかも、雪が降りしきっていて、寒さが骨に沁む。 …
読書目安時間:約12分
その日は十二三里の道を、一日乗り合い馬車に揺られながらとおした。やっとの思いで、その遠野町に着いたころは、もうすっかり夜が更けていた。しかも、雪が降りしきっていて、寒さが骨に沁む。 …
黄昏(新字新仮名)
読書目安時間:約11分
佐々木君が馬車に乗ってしまうのを見送って、二階にあがって来た。けさ遠野から馬車に乗った人たちが、二組三組に分かれてほうぼうの室の炬燵にあたっている。時計を見ると、もう三時少し過ぎた …
読書目安時間:約11分
佐々木君が馬車に乗ってしまうのを見送って、二階にあがって来た。けさ遠野から馬車に乗った人たちが、二組三組に分かれてほうぼうの室の炬燵にあたっている。時計を見ると、もう三時少し過ぎた …
旅からのはがき(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
今、花巻に着いた 九時、今、花巻に着いた。目的地の遠野行きの馬車はすぐ出るんだが、道はずいぶん遠いそうだし、それにそういそぐわけではなし、昨晩はろくに眠れなかったから、今日は一日こ …
読書目安時間:約4分
今、花巻に着いた 九時、今、花巻に着いた。目的地の遠野行きの馬車はすぐ出るんだが、道はずいぶん遠いそうだし、それにそういそぐわけではなし、昨晩はろくに眠れなかったから、今日は一日こ …
月見草(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
馬車が深い渓流に沿った懸崖の上を走っていた。はるかの底の方に水の音がする。崖の地肌には雪に、灰色の曇った空がうつって、どことなく薄黒い。疎林がその崖に死んだように立っている。 その …
読書目安時間:約3分
馬車が深い渓流に沿った懸崖の上を走っていた。はるかの底の方に水の音がする。崖の地肌には雪に、灰色の曇った空がうつって、どことなく薄黒い。疎林がその崖に死んだように立っている。 その …
月夜峠(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
これも同じく遠野で聞いた談だ。その近傍の或海岸の村に住んでいる二人の漁夫が、或月夜に、近くの峠を越して、深い林の中を、二人談しながら、魚類の沢山入っている籠を肩にして、家の方へ帰っ …
読書目安時間:約2分
これも同じく遠野で聞いた談だ。その近傍の或海岸の村に住んでいる二人の漁夫が、或月夜に、近くの峠を越して、深い林の中を、二人談しながら、魚類の沢山入っている籠を肩にして、家の方へ帰っ …
土淵村にての日記(新字新仮名)
読書目安時間:約9分
S君の家に着いた時には、もう夜がすっかり更けていた。 途中で寄り道をして、そこですっかり話し込んでしまったので、一里余りの道は闇の中をたどって来た。闇の中にひろびろと開けた、雪の平 …
読書目安時間:約9分
S君の家に着いた時には、もう夜がすっかり更けていた。 途中で寄り道をして、そこですっかり話し込んでしまったので、一里余りの道は闇の中をたどって来た。闇の中にひろびろと開けた、雪の平 …
テレパシー(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
怪談の中でも、人間が死ぬ断末魔の刹那に遠く離れて居る、親しい者へ、知らせるというのは、決して怪談というべき類では無かろうと思う、これは立派な精神的作用で、矢張一種のテレパシーなのだ …
読書目安時間:約4分
怪談の中でも、人間が死ぬ断末魔の刹那に遠く離れて居る、親しい者へ、知らせるというのは、決して怪談というべき類では無かろうと思う、これは立派な精神的作用で、矢張一種のテレパシーなのだ …
遠野へ(新字新仮名)
読書目安時間:約29分
「いま、これから東の方に向って、この花巻を発つ。目的地の遠野に着くには、今夜、夜が少し更けてからだそうだ。」——この頃は、もう少しずつ雪が解けはじめたので、途中が非常な悪路だと聞い …
読書目安時間:約29分
「いま、これから東の方に向って、この花巻を発つ。目的地の遠野に着くには、今夜、夜が少し更けてからだそうだ。」——この頃は、もう少しずつ雪が解けはじめたので、途中が非常な悪路だと聞い …
取り交ぜて(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
○ 高橋五郎氏に聴いた話である。同氏の親戚の某氏が、或る晩に甥の某氏と同じ部屋に寝た。その時分に親戚に病人が有った。その病人がその晩に、夢に某氏を尋ねて来て、快談して帰った。翌朝眼 …
読書目安時間:約4分
○ 高橋五郎氏に聴いた話である。同氏の親戚の某氏が、或る晩に甥の某氏と同じ部屋に寝た。その時分に親戚に病人が有った。その病人がその晩に、夢に某氏を尋ねて来て、快談して帰った。翌朝眼 …
“水野葉舟”について
水野 葉舟(みずの ようしゅう、1883年4月9日 - 1947年2月2日)は、日本の詩人、歌人、小説家、心霊現象研究者。本名は盈太郎(みちたろう)。別号蝶郎。
東京府生まれ。新詩社に入り、詩文集『あららぎ』、窪田空穂との合著歌集『明暗』で登場。『微温』、小品集『草と人』などで自然主義文学に独自の地位を占めた。のち、千葉県三里塚で半農生活に入った。建設大臣などを務めた水野清は次男。
(出典:Wikipedia)
東京府生まれ。新詩社に入り、詩文集『あららぎ』、窪田空穂との合著歌集『明暗』で登場。『微温』、小品集『草と人』などで自然主義文学に独自の地位を占めた。のち、千葉県三里塚で半農生活に入った。建設大臣などを務めた水野清は次男。
(出典:Wikipedia)
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