土淵村にての日記つちぶちむらにてのにっき
S君の家に着いた時には、もう夜がすっかり更けていた。 途中で寄り道をして、そこですっかり話し込んでしまったので、一里余りの道は闇の中をたどって来た。闇の中にひろびろと開けた、雪の平を通って来た。闇と言ってもぽっとどこか白々として、その広い平 …