“緩”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
ゆる64.1%
ゆっく7.1%
ゆっ6.4%
ゆるや5.8%
3.3%
ゆつく3.3%
ゆつ2.2%
かん1.6%
のろ1.1%
ぬる0.9%
(他:19)4.2%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“緩”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸54.8%
文学 > 日本文学 > 小説 物語9.1%
文学 > 日本文学 > 日記 書簡 紀行4.7%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
僕が、この Ballad を歌うとお前は歌の緩急の度に合わせて、速くもゆるやかにも自由に脚竝みをそろえたではないか。
ゼーロン (新字新仮名) / 牧野信一(著)
どこの大名でも旗本でも下屋敷の方は取締りがずっとゆるやかで、下屋敷ではまあ何をしてもいゝと云うことになっていました。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
つれのものももどりません。……まだまだ、ごゆっくり——ちょうど、お銚子のかわりも参りました——さ、おあつい処を——
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三人で飯を済ましたあと、岡田は会社へ出勤しなければならないので、ゆっくり案内をする時間がないのを残念がった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
小さい折鞄おりかばんを脇に引き付けて、落ちつき払った態度で、慢性病の患者でも取り扱うようにゆっくりした診察をした。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
幸「若いしゅ、湯にも這入るだろうが、ゆっくり今夜泊って、旨い物でも食わせるから彼方あっち座敷つぼに居ねえ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
こゝにはまなこゆるやかにして重く、姿に大いなる權威をあらはし、云ふことまれに聲うるはしき民ありき 一一二—一一四
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
太洋は彼を溺らさんとして、あるいはゆるやかにあるいは急に襲いかかり、その広漠は彼の苦痛をもてあそぶ。
折を見て此方こつちから持ち掛けると、まあつくり話すとか何とか云つて、中々なか/\らちけない。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
自分たちもこの画中の人に加わって欄に倚って月を眺めていると、月はるやかに流るる水面に澄んで映っている。
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
渠はゆつくりした歩調で階段を降りて、秋野と共に各級をその新しい場所に導いた。孝子は新入生を集めて列を作らしてゐた。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
今日けふ沢山たくさん。さうゆつくりしちやゐられないの」と云つて、むかし金歯きんば一寸ちょつと見せた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ひるからは、会社の方に居る事はゐるが、すこし相談があるから、てもゆつくりはなしちやゐられない」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「本当にかう毎晩のやうに火事があつては、ゆつくり寝ても居られねえだ。本当に早くうかて貰はねえでは……」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
キャラコさんは、とりとめのない、蒼白い雪原の中で、さかんな雪煙りをあげながらかん傾斜のトレールをしゃにむにのぼって行った。
蜀は、時に急に、時にかんに、やがて約二十里もくずれ、さらに五十里も追われた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
馬には、音楽が分るとかいうが、いかにも笛の音が分るように、馬上の女がふく横笛に聞きれながら、のたり、のたりと、のろい脚を運んで来るのだった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうしておよそ今の時間にして四時間余りも経った頃、駕籠の歩みがのろくなった。
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「耶蘇教の婚礼なんてナンチいう、フウタラ、ヌルイ(風多羅ふうたらぬるい? 自烈度じれったいの意)モンや」
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「はア」と自分はぬるい茶を一杯すゝつてから、「それでですナア、今喞筒ポンプを稽古して居るのは?」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
満枝はにはか煙管きせるもとめて、さてかたはらに人無きごとゆるやかけふりを吹きぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
これは浅草あさくさの岸一帯が浅瀬になっていて上汐の流が幾分かゆるやかであるからだ。
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ヂドは無情なる夫のせめては啓行いでたちの日をおそうせんことを願へり。
またその兄白日子しろひこの王に到りまして、ありさまを告げまをしたまひしに、前のごとおほろかに思ほししかば、黒日子の王のごと、すなはちその衣衿を取りて、引きて、小治田をはりだ一五來到きたりて、穴を掘りて、立ちながらに埋みしかば、腰を埋む時に到りて、二つの目、走り拔けてせたまひき。
パナマの帽を前下り、目も隠れるほど深く俯向うつむいたが、口笛を吹くでもなく、右の指の節を唇に当て、素肌に着た絹セルの単衣ひとえ衣紋えもんくつろげ——弥蔵やぞうという奴——内懐に落した手に、何か持って一心にみつめながら、悠々と歩を移す。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
垢抜あかぬけして色の浅黒いのが、しぼりの浴衣の、のりの落ちた、しっとりと露に湿ったのを懊悩うるさげにまとって、衣紋えもんくつろげ、左の手を二の腕の見ゆるまで蓮葉はすはまくったのを膝に置いて、それもこの売物の広告か、手に持ったのは銀の斜子打ななこうちの女煙管である。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
素気そっけなく言ってすぐ入口にまごついている加世子に目を見張った。この眼も若い時は深く澄んで張りのある方だったが、今は目蓋まぶたにも少したるみができていた。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
上野の山も、広小路にも、人と車と、一斉いっとき動揺どよめいて、都大路を八方へあふれる時、揚出しの鍋は百人の湯気を立て、隣近となりぢかな汁粉屋、その氷月の小座敷には、閨秀二人が、雪も消えて、衣紋えもんも、つまも、春の色にややけたであろう。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
眼の前には粒の細かい黒砂が、なだらかな傾斜となって、霧の中へ、するすると登っている、登山客の脱ぎ捨てた古草鞋ふるわらじが、枯ッ葉のように点を打って、おのずと登り路のしおりとなっている
雪中富士登山記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
路がようやなるくなると、対岸は馬鹿〻〻しく高い巌壁がんぺきになっているその下を川が流れて、こちらは山が自然に開けて、少しばかり山畠やまばたけが段〻を成して見え
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
斯くて暫く話の途切れた頃、頭の上の方で、何だかにぶい足音とも云う様な響きが聞こえた、或いは天井の上を、ソッと何者かが歩いたのでは有るまいか、若し爾すれば、益々彼の潜戸の中へ這入る必要が出て来る、彼の中へ入れば自然此の室の上などへも来る事が出来ようも知れぬ。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
御約束下さった日は、あともう三月と申せば、向うに見えて居るも同然なものではございますが、それでいてこのまま只今のように空しく待たされて居りますると、どうもそれに一日一日と近づいて往かねばならぬのがいかにもまだるく、もどかしくて、反ってそれに近づけば近づくほどその日が遠のくように思われてなりませぬ。
ほととぎす (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
そのうちまどろいと思ったか、鉄扇を捨てて無手をかざした自斎は、飛燕の如く身を屈めると、もう渦を巻いてる多勢の思わぬ所へ姿を現わし、寄る奴当る奴の襟首えりくびとって、人を人へ投げつけはじめた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
安斉可潟あせかがた潮干のゆたに思へらばうけらが花の色に出めやも (同・三五〇三)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「出るなんて、まあ。——出るにしても、もっとゆっくりはずしたらさそうなもんじゃないか」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「窓を明けましょうか」とゆっくり聞いた。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一 それ女子にょしは成長して他人の家へ行きしゅうとしゅうとめつかふるものなれば、男子なんしよりも親の教ゆるがせにすべからず。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
私の下宿ではいつも朝飯あさめしが済んで下宿人が皆出払った跡で、ゆッくり掃除や雑巾掛ぞうきんがけをする事になっていた。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
其だけに、面從で、口煩いキヤウの實務官たちと、おなじで何處か違つた所のある、——氣のユルせない氣持ちがした。
死者の書 続編(草稿) (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)