“かん”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カン
語句割合
18.3%
8.7%
7.8%
7.8%
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嗅覚0.1%
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感覚0.1%
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棺槨0.1%
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直感0.1%
石油罐0.1%
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軍艦0.1%
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𨣉0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そのとき、露子つゆこは、いうにいわれぬなつかしい、とおかんじがしまして、このいいおとのするオルガンはふねってきたのかとおもいました。
赤い船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
勿論、そのかんの気合いは支那人のそれとはまるで正反対であるとしても、事実に現われた結果は極端と極端の一致で同じことになる。
尤も俊亮の前だけには、正木のお祖母さんの気づきで、小さなお盆に、かん徳利と、盃と、塩からのはいった小皿とが残して置かれた。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
かんのせいで、そんないやがらせをなさるんでしたら、もういっさいそまつな口あききませんから、あしたの朝にしておくんなせえましよ
鈴木君はこいつ、この様子では、ことによるとやり損なうなとかんづいたと見えて、主人にも判断の出来そうな方面へと話頭を移す。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その森の梢にはたくさんのさぎが棲んでいるが、かん三十日のあいだは皆んな何処へか立ち去って、寒が明けると又帰って来る。
半七捕物帳:68 二人女房 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それは丁度ちょうど午前十時半ごろだった。この時刻には、流石さすがの新宿駅もヒッソリかんとして、プラットホームに立ち並ぶ人影もまばらであった。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ふとみると、本堂のまんなかに、死んだ人を入れたかんが、ふたをあけたまま置いてありました。まだお葬式がすんでいなかったのです。
いよ/\お糸は津志田家へ入り込むことになつたが、奧方のお高樣は、女のかんの良さで、どうしてもお糸を嫁にすることを承知しない。
と叫ぶかん高い声を聞いて、左膳は、何はともあれ脱出するのが目下の急務だから、依然いぜん縁さきに佇立ちょりつする源十郎をしりめにかけて
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
レールを二本前の方にぎ足しておいて、鉄のかんに似たものを二つ棺台のはしにかけたかと思うと、いきなりがらがらという音と共に
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
はなはだかんばしからぬ状態にあったので、フランス本土からわざわざ審査に来た小児医は、ただただ鼻をおおって閉口するばかり。
すなわち三丰のりし所の武当ぶとう 大和山たいかざんかんを営み、えきする三十万、ついやす百万、工部侍郎こうぶじろう郭𤧫かくつい隆平侯りゅうへいこう張信ちょうしん、事に当りしという。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
彼はその後で訊問を受けた時「有罪だ」とただ一言叫んだきり、また口をかんして語らなかったという事は不思議ながらも確かな事実である。
若いキリリとした女房おかみさんが、堀井戸に釣るしてあったかんからコップへ牛乳をんでくれた。濃い、甘い、冷たい牛乳だった。
南滿洲みなみまんしゆうには、やはり石器時代頃せつきじだいころからすでに人間にんげんんでをりましたが、しゆうすゑからかんはじめに支那人しなじんさかんに植民しよくみんしてゐたのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
神職 いや布気田ふげた、(禰宜の名)払い清むるより前に、第一は神の御罰ごばつ、神罰じゃ。御神おんかみ御心みこころは、仕え奉るかんぬしがよく存じておる。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
西東にしひがし長短のたもとを分かって、離愁りしゅうとざ暮雲ぼうん相思そうしかんかれては、う事のうとくなりまさるこの年月としつきを、変らぬとのみは思いも寄らぬ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
興は十二分に湧いて、かんを尽して飲むほどに、酔うほどに、ついつい夜更けに及んでしまって、今こうして立ちかえるところなのだ。
その長いかまどの上に海水を入れた石油かんを、一列にならべ、かまどの口もとで火をたくと、おくの方までじゅうぶんに火がまわった。
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
そこに巨きな鉄のかんが、スフィンクスのように、こっちに向いて置いてあって、土間には沢山の大きな素焼すやきの壺が列んでいました。
ポラーノの広場 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
今も、ぽつねんと、彼は箪笥たんすかんに倚りかかっていた。炬燵ごたつをした膝の上には、五ツくらいな女の子が、無邪気な顔して眠っている。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かんしんはいじんの五臓は、五志、五気、五声にあらわれて、色にもで、ことばにも隠せぬものでおざる。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
耶蘇ヤソ教的カルチュアーと同意義のものでなければ、開化なる語をかんすべきものでないと自信していたからであるというが如きはその一例である。
ここにさんとして輝くのは、旭日あさひに映る白菊の、清香かんばしき明治大帝の皇后宮、美子はるこ陛下のあれせられたことである。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
二十五年間ねんかん教育きょういくつくしてしょく退しりぞいたのち創作そうさくこころをうちこんで、千九百二十七ねんになくなるまで、じつに二十かん著作ちょさくのこした。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
君側のかんを一掃してのうえでなら、微臣たりとも海内静謐せいひつのためどんな御奉公も決していとう者ではない。どうかご推量を仰ぎたい。恐惶謹言きょうこうきんげん
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうなると、日ごろのゲジゲジも迂路鼠うろねずみ青草蛇あおだいしょうも、案外、天真爛漫らんまんなもので、飲む、踊る、唄うなど、百芸のかんを尽して飽くるを知らない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一緒にいる時分は、ほんのちょいとした可笑おかしいことでも、くやしいことでも即座にちまけて何とかかんとか言って貰わねば気が済まなかったものだ。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
酸素問題は、酸素のボンベをもっていって、いよいよ苦しくなったら、せんをひらき、酸素をゴムかんで出し、それを口にくわえるとか鼻にあてるとかする。
成層圏飛行と私のメモ (新字新仮名) / 海野十三(著)
時に九月天高く露清く、山むなしく、月あきらかに、仰いで星斗せいとればみな光大ひかりだい、たまたま人の上にあるがごとし、窓間そうかんたけ数十竿かん、相摩戞まかつして声切々せつせつやまず。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あるいは、基房の女子は四人あり、うち三人は嫁ぎ、一名は当時八条女院の女房だったから、その一女子が、義仲にかんせられたものであろう、とする異説などまちまちである。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手紙はかんでわからないけれど栄輔君の家産を蕩尽したことにも、何か一つの物語がありさうにKには思はれた。
田舎からの手紙 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
そのあと胸算用むなざんようでもする案排あんばいしきで、指を折って見たり、ただかんがえたりしていたが、やがてまた綺麗きれいな指で例の文銭を新らしく並べえた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
八月十日、かん餘作よさくを同伴して初めて来塲す。寛は餘作が暑中休業にて五郎同行来札らいさつするを以て、五郎を母のもとに残し、同五日発にて牧塲に向う。
関牧塲創業記事 (新字新仮名) / 関寛(著)
向こうは三百二十かんのほし草をつくりました。こちらは三百七貫のほし草をつくりました。
(新字新仮名) / 新美南吉(著)
一途いちずにこうして鏃ばかりでねらうと、鏃のあてはよくても、かんの通りがろくでもないことになると、矢の出様が真直ぐにいかない。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
また日本にては、貧家の子が菓子屋に奉公したる初には、かんをなめて自から禁ずるを知らず、ただこれを随意に任してその飽くを待つの外にすべなしという。
経世の学、また講究すべし (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「よくそれにお目がとまりました、その辺がここでは逸物いちもつでございましょうな、牧場の方へ参ると駒で一頭、ややこれに似たかんの奴がござりまするが」
以てすれば、われはかんを以てし、彼が暴を行えば、我は仁を行い、彼がいつわりをなせば、我は誠を以てして来た。それを自ら破るのがつらい
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かん十二によって日をかぞえる習慣は、南方諸島でも存外ぞんがいに始まりが早く、必ずしも中世の交通によって、輸入せられたともきめてしまわれない。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
たらの木の心から製したもそろの酒は、その傍の酒瓮みわの中で、かんばしい香気を立ててまだ波々とゆらいでいた。若者は片手で粟をつまむと、「卑弥呼。」と一言呟いた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
みづか以爲おもへらく、かずと。かん削弱さくじやくせらるるを數〻しばしばしよもつ韓王かんわういさむ、韓王かんわうもちふることあたはず。
どこを毎日遊んで廻るのか、不良少女の混血児あいのこちょうは、派手に着かざった身なりをして、相変らず二かんに口実をもうけては出歩いている。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たゞかん中庭なかにはにはあのどるめんのちひさいものを、原状げんじようのまゝつてゑてありますから、後程のちほどには御覽下ごらんください。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
かのスミレのかんばせを成せる花が凋落し行く頃からこの閉鎖花が出る。閉鎖花とは名のごとく閉鎖した花で一向に色のある普通の花弁を出さない。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
また鑛物こうぶつ動植物どうしよくぶつのような博物學はくぶつがくかんする標本類ひようほんるいばかりを陳列ちんれつしてあるところ博物學博物館はくぶつがくはくぶつかんといふことが出來できます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
こゝろみに書目を検すれば、説郛せつふけんの二十九、古今説海の説略、学海類篇の集余しふよの四記述、稗海はいかい第三かん等に収められてゐる。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
前回参看※文三は既にお勢にたしなめられて、憤然として部屋へ駈戻かけもどッた。さてそれからは独り演劇しばいあわかんだり、こぶしを握ッたり。どう考えて見ても心外でたまらぬ。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
志士の口をかんして、強いて無事を装わんとするに際し、他方においては、海外の形勢いよいよ切迫となり、一衣帯水いちいたいすいを隔てたる清国しんこくは、今や英国と事を生じ
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
吾が同郡どうぐんをかまち旧家きうか村山藤左ヱ門はむこの兄なり。此家に先代より秘蔵ひさうする亀の化石くわせきあり、つたへていふ、ちか山間さんかんの土中より掘得ほりえしといふ、じつに化石の奇品きひんなり、こゝあげ弄石家ろうせきかかんまつ
次にわたくしは彼笥あのしを傾けて文書を借し、かんを裁して事実を報じ、編述を助成した諸友と、此等の稿を読んで著者の痴頑ちぐわんを責めなかつた少数の未見の友とに感謝する。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
今の士相率きひて、媚を権門にれ、かんを要路に通ずるは、その求むるところ功名聞達ぶんたつよりも、むしろ先づ黄金を得んと欲するの心急なればなり。その境遇や憐れむべし。その志操や卑しむべし。
誰が罪 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
我等は手足をうごかして熔岩の塊を避けつゝ進めり。色せたる月の光と松明まつの光とは、岩の隈々くま/″\に濃き陰翳をかたちづくりて、深谷のかんをなせり。忽ち又例の雷聲を聞きて、火柱は再び立てり。
俊平の弟は鈕平ちゅうへい録平ろくへいである。女子は長をえつといい、つぎかんという。鑑は後に名を鶴とあらためた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「おや、ここにかんパンの食いかけが散らばっているよ」
骸骨館 (新字新仮名) / 海野十三(著)
えい、ものものしや、神聖しんせいなる甲板かんぱんは、如何いかでか汝等なんぢらごとけがれたる海賊かいぞく血汐ちしほむべきぞ。とかんます/\ふるふ。硝煙せうゑんくらうみおほひ、萬雷ばんらい一時いちじつるにことならず。
士卒しそついまかず、百せいしんぜず。ひとにしてけんかろし。ねがはくはきみ寵臣ちようしんくにたつとところもつぐんかんせしめば、すなはならん
ころもかんに——いたり——か、天下の英雄は眼中にあり——か。人を馬鹿にしてるな。そりゃ、聞えません伝兵エサンと来るじゃないか。三吉一つ歌って見や。アイアイ。そんな事じゃなかったよ。
煩悶 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
三軍にわかれ、三道から進められ、旗鼓きこ雲にかんし、歩武山嶮さんけんすった。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このむねの低い支那家しないえの中には、勿論今日もかんが、こころよあたたかみを漂わせていた。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
黍色きびいろの容貌に、あごだけの羊髯ひつじひげをバサとそよがせ、口大きく、眉は少し八の字、どこか愛嬌さえある顔だが、身のたけときたら一かんの松のごとく、すッくと見え、さらに憎ていなのは
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その禄を利した以上、そのかんを救わねばならぬのだ。けろ! 開けろ!
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
「今晩じゅうぶんかんを尽しましょう、明日はまたどんなさしさわりが起らないともかぎりませんからね」
嬌娜 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
天保十年の夏はかんして六十日余も雨がなかったので、酒巻立兆の庭の芭蕉ばしょうが枯れかかった。家の者が日々喞筒ポンプで水をそそぐのを、星巌は珍しく思ったと見えて、「竜吐水歌」を賦した。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
このためには、現在魯侯よりも勢力をつ季・叔・孟・三かんの力をがねばならぬ。三氏の私城にして百雉ひゃくち(厚さ三じょう、高さ一丈)をえるものにこうせいの三地がある。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
丁度二葉亭は居合わしたので不法をなじってかれこれ押問答をすると、無法にも二、三人の巡査が一度に二葉亭におどかかって戸外へ突飛ばし、四の五のいわさず拘引して留置かんへ投げ込んでしまった。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
かれは、かういふ苦肉策を考へる時には、いつも、幼時教へられた東西歴史の交渉研究に必要なジンギスかん、タメルラン、アチラなどの事蹟を思ひ浮べるのである。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
興到レバ韻ヲ分ツテ詩ヲ賦シ、かんヲ染メテ書画ヲ作ル。メバすなわちアルイハ坐シ、アルイハシ、劇談一しょう、善ク戯謔ぎぎゃくシテシカモ虐ヲナサズ。モシ時事ノ得失人物ノ是非ニわたレバすなわいとフベキヲ覚ユ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
〔譯〕胸次きようじ清快せいくわいなれば、則ち人事百かんせず。
一軒のお長屋の土塀を越して、白木蓮しろもくれんの花が空に向かって、かんばしいにおいを吐いている。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
義勇飛行将校を志願して有名なギヌメールのシゴイニュ(こうのとり)隊へ入り、戦闘機に乗って十何機とか敵機を撃墜したそうで、シゴイさんのかん一という名は鸛部隊の〈鸛〉からとったんだそうだ。
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
淫蕩いんとうな女体が、きこめられた春情香の枕をはずして、歓喜の極に、一かん、死息を怪しましめ、一きょう凝脂ぎょうしを汗としてうるおす
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
叫絶きょうぜつかん、これは唐風からふう彼国かのくにの表情表現法で、わが国の春語のごとく、くとはいわない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
羊の毛皮を二枚着ていたそうだが、それで粟稈の中に潜っていたにしても、かんかれないから、随分寒かっただろうね。支那人は辛抱強いことは無類だよ。
鼠坂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
小川君は好奇心が起ってまらなくなった。その家は表からは開けひろげたようになって見えている。かんふちにしてある材木はどこかへ無くなって、築き上げた土が暴露している。
鼠坂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その翌朝、かんきみは道綱のところへ使いの者に、風邪気味で役所へ出られそうもありませんから一寸お出がけにでもお立ち寄り下さい、とことづけて来させた。
ほととぎす (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
かんきみがお立ち去りになって往かれたのは、もう余程前のことであろう。その跡、私はながいこと、灯をそむけたまま、薄暗いなかに、ひとり目をつむっていた。
ほととぎす (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
もなく夕かんえんげ出した青木さんはさうつぶやきながら、おくさんのはうかへつた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
青木さんはすぐにえんの籐イスにせてたば草をふかしながら、夕かんみはじめた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
大阪の天王寺かぶら、函館の赤蕪あかかぶら、秋田のはたはた魚、土佐のザボン及びかん類、越後えちごさけ粕漬かすづけ足柄あしがら唐黍とうきび餅、五十鈴いすず川の沙魚はぜ、山形ののし梅、青森の林檎羊羹りんごようかん越中えっちゅう干柿ほしがき、伊予の柚柑ゆずかん備前びぜんの沙魚
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
口取は焼玉子、栄螺さざえ(?)栗、あんず及び青きかん類のたる者。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
みぎとほり、津浪つなみ事實上じじつじようおいみなとなみである。われ/\は學術的がくじゆつてきにもこの名前なまへもちひてゐる。じつ津浪つなみなるは、最早もはや國際語こくさいごとなつたかんがある。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
あだか陸上りくじようける洪水こうずいごとかんていするので山津浪やまつなみばれるようになつたものであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
かんに作つたものは、わたくしは未だ曾て見ない。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
不知庵フチアンがこのしよわが文界ぶんかい紹介せうかいしたる勇氣ゆうきをこよなくよろこぶものなり。だいかんすみやかでんことをつ。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
進むべくして進み、辞すべくして辞する、その事に処するに、綽々しゃくしゃくとして余裕があった。抽斎のかん九四きゅうしを説いたのは虚言ではない。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そこでチチコフは相手の機嫌を損じたくないばかりに、ちょっと鼻に触って見て、『なかなか好い嗅覚かんですよ。』と言った。
いかりの中心よりえがき去る円は飛ぶがごとくにすみやかに、恋の中心より振りきたる円周はほのおあと空裏くうりに焼く。あるものは道義の糸を引いて動き、あるものは奸譎かんきつかんをほのめかしてめぐる。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
取つて返しの付かない傷まで附けさせて、私は、狭山さん、あんまり申訳が無い! かん……にん……して下さい
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
𤞵字音豹と『康煕字典』にあるのみ、説明がない。しかしかんかんと同音故、獾の字を𤞵と書いたと見える。郭璞かくはくの『爾雅』註に猯と獾を一物とす。
西洋のいへ甎石せんせきを以て築き起すから、たとひ天災兵燹へいせんけみしても、崩壊して痕跡を留めざるに至ることは無い。それゆゑ碩学鴻儒の故居には往々銅牓どうばうかんしてこれを標する。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「二日、三日ないしは五日、どのように水を潜ったところで、淼々びょうびょうと広い湖のこと、そんな小さな石の棺、あるともないとも解りませぬ。が、わっち感覚かんから云えば、まずこの辺にはござんせんな」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
目読もくどくの興を以て耳聞のたのしみに換ゆ、然り而して親しく談話を聞くと坐ら筆記を読むと、おのずから写真を見ると実物に対するの違い有ればやゝ隔靴掻痒かっかそうようかん無きにあらず
松の操美人の生埋:01 序 (新字新仮名) / 宇田川文海(著)
「それでは、オフェリヤの棺槨かんの外から、君が風間九十郎を透視した理由を聴こう。僕は、それを不思議現象だけで葬りたくはないのだよ」
オフェリヤ殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
として冬、川をわたるがごとく、ゆうとして四隣をおそるるがごとく、げんとしてそれ客のごとく、かんとしてこおりのまさにけんとするがごとく、とんとしてそれぼくのごとく、こうとしてそれ谷のごとく
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
「そう言えばお顔の色も悪いようでございます、あのちょうど取ったのがございますから、熱くおかんをつけましょうか。」
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一度片付けた晩酌の膳を出して、猪口ちよこを二つ、かんざましになつた徳利の尻を、まだ熱くなつてゐる銅壺どうこに突つ込みます。
𤞵字音豹と『康煕字典』にあるのみ、説明がない。しかしかんかんと同音故、獾の字を𤞵と書いたと見える。郭璞かくはくの『爾雅』註に猯と獾を一物とす。
○ 蘧伯玉==衛の大夫、名はかん、賢人の誉が高かつた。孔子は、巡歴して衛に行つた時、この人の家に入つていたことがある。
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
川柳に「三たび口説くどいて聴かれず身退く振られ客」とあるごとし、『爾雅』に虎の浅毛なるを山貓さんみょう、白いのをかん、黒きをいく、虎に似て五指のをちゅ、虎に似て真でないをひょう
同時に、一丈青もそこは女の直感かん
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
石油罐かんだかに入れて埋めてしまうという話が書いてありました。
文学のふるさと (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
一年生の草で独生あるいは叢生のかんは直立し、単一で分枝せず高さが三、四尺にも達する。線形の緑葉を互生し、葉片下に稈を取り巻く長い葉鞘がある。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
今までは注射しんを以て左の腕の静脈から血を採って居たが、今回だけは、僕の左の橈骨とうこつ動脈にガラス管をさしこみ、そのまゝゴムかんでつないで、僕の動脈から
恋愛曲線 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
お時は銀かん小鬢こびんを掻き乍ら、大きい眼を見張ります。
そこはもとかんという家老の屋敷であって、その家老時代の建物は取除けられてしまって、小さい一棟の二階建の家が広い敷地の中にぽつんと立っているばかりであったが
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
わたくしは此に少しく蘭軒の名字めいじに就いて插記することとする。それは引く所の詩集にかん僻字へきじが題してあるために、わたくしは既に剞劂氏きけつしを煩し、又読者を驚したからである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「とても駄目です、僕は軍艦かんでも、ものにならない方の、その中の一番しまいです。」
道徳の旨を知らず、雕飾ちゅうしょく綴緝てっしゅうして、以て新奇となし、歯をかんし舌をして、以て簡古と為し、世において加益するところ無し。是を文辞ぶんじという。四者交々こもごもおこりて、聖人の学ほろぶ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
かんの調子が少し外れて、礼儀正しい一粒選りの言葉のうちにも、何んとなく享保二年の江戸の町には通用しそうも無い、一種言うに言われぬ古めかしさがあります。
かん、もしくはかんなるものならば、女の時にもつてくれば、かんの高い馬のやうな跳つかへりをさしたものともおもへる。
凡愚姐御考 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
各自てんでに米が五合に銭十五銭宛持寄って、飲んだり食ったりかんを尽すのだ。まだ/\と云うて居る内に、そろ/\はたの用が出て来る。落葉おちばき寄せて、甘藷さつま南瓜とうなす胡瓜きゅうり温床とこの仕度もせねばならぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
姨捨てん湯婆たんぽ𨣉かんせ星月夜 言水
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)