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勘
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かん
ふりがな文庫
“
勘
(
かん
)” の例文
この材料を見分けることは、なかなか容易なことではなく、むずかしいことですが、注意の修練、
勘
(
かん
)
によってできますものであります。
日本料理の基礎観念
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
いよ/\お糸は津志田家へ入り込むことになつたが、奧方のお高樣は、女の
勘
(
かん
)
の良さで、どうしてもお糸を嫁にすることを承知しない。
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
讓
(
ゆづ
)
りしとぞ
爰
(
こゝ
)
に又丁山と小夜衣の兩人は
程
(
ほど
)
なく
曲輪
(
くるわ
)
を出てたり姉の丁山二世と
言替
(
いひかは
)
せし
遠山
(
とほやま
)
勘
(
かん
)
十郎と云し人も病死なせしかば其跡を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
後家の鐙を
買合
(
かいあわ
)
せて大きい利を得る、そんな
甘
(
うま
)
い事があるものではないというところに
勘
(
かん
)
を付けて、
直
(
すぐ
)
に右左の調べに及ばなかったナと
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そのご機嫌を見計らって、取りまきの
湯女
(
ゆな
)
のお
勘
(
かん
)
とお千代が、しきりに浅草の景気をそそったので、つい、
駕
(
かご
)
を四つあつらえてしまった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
芸術家というものは、
勘
(
かん
)
の強いものだそうだから、何か虫の知らせとでもいうものがあったのかも知れない。すこし感心する。
十二月八日
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「でも、近所の人様が可愛がって下さる上に、私は御方便に
勘
(
かん
)
がようございますから、世間並みの
盲目
(
めくら
)
のように不自由な思いは致しません」
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかも、早のみこみで、
勘
(
かん
)
ぐりで、小才がある。かういふ女がおつちよこちよいをけしかけたのだから、
小喧嘩
(
こいさかひ
)
は絶えない筈ではなからうか。
凡愚姐御考
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
と大分
横柄
(
おうへい
)
……中に居るものの
髯
(
ひげ
)
のありなしは、よく其の
勘
(
かん
)
で分ると見える。ものを云ふ顔が、
反返
(
そりかえ
)
るほど
仰向
(
あおむ
)
いて、沢の目には
咽喉
(
のど
)
ばかり。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
子供は
勘
(
かん
)
がいい。それに、人の教えをよく守る。十二、三回、糸を波に送り流し、餌を取られるうちに、うぐいが餌に絡まる振舞を呑み込んだらしい。
小伜の釣り
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
「さようなあ。もういいかげん出てきそうなもんだが、こう長くかかるところを見るてえと、こりゃあひょっとすると大物のチャンバラだぜ。なあ
勘
(
かん
)
」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
人一倍に
勘
(
かん
)
のいいらしい彼は、平助が身動きしたのを早くも覚って、たちまちにその針のようなものを押隠した。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
勘
(
かん
)
ちゃんと云って、私より二ツ三ツ年上で、獅子ッ鼻の、色の真黒けな
児
(
こ
)
だったが、斯ういうのに限って乱暴だ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
振返って慥かめるまでもない、よく話に寄った女房のひとりで、亭主が舟八百屋をしているお
勘
(
かん
)
という女だ。
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
自分ばかりが
博識
(
ものしり
)
がるものなり、
菊塢
(
きくう
)
は
奥州
(
おうしう
)
よりボツト出て、
堺町
(
さかひてう
)
の
芝居茶屋
(
しばゐぢやや
)
和泉屋
(
いづみや
)
勘
(
かん
)
十
郎
(
らう
)
方
(
かた
)
の
飯焚
(
めしたき
)
となり、
気転
(
きてん
)
が
利
(
き
)
くより店の
若衆
(
わかいしゆ
)
となり、
客先
(
きやくさき
)
の
番附
(
ばんづけ
)
配
(
くば
)
りにも
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
しかしかれはもうこの頃は
勘
(
かん
)
ができて、姿は見えなくても、そこにはぜんぜん誰もいないのか、ガン人がそこにいるのかを感じわけることができるようになっていた。
怪星ガン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
どうして
勘
(
かん
)
づいたのか、祥子の行った例の地下室は空っぽだったが、一味がジャンクで逃げたのをつきとめて手配をしている中に、わが海軍の沿岸警備艇に引っ捕えられた。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
自分と同じような心持ちを経験した人ならば、ただこれだけで、なるほどあれだなと、
直
(
すぐ
)
勘
(
かん
)
づくだろう。また経験した事がないならば、それこそ幸福だ、けっして知るに及ばない。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
枝の接近を視力によってよりはむしろ鋭敏な
勘
(
かん
)
によって知らされつつみちびかれ、いわば彼の感覚的な翼でたそがれの進路をさぐりながら、彼は新しい止まり木を見いだして、夜という
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
長年刑事をやってきた経験からの
勘
(
かん
)
というやつが承知しないのです。
妻に失恋した男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
が二、三カ所
人集
(
ひとだか
)
りがあった。その輪のどれからか
八木節
(
やぎぶし
)
の「アッア——ア——」と尻上りに
勘
(
かん
)
高くひびく唄が太鼓といっしょに聞えてきた。乗合自動車がグジョグジョな雪をはね飛ばしていった。
雪の夜
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
そんなことは
勘
(
かん
)
で分るではないかと人々はいう。
純粋小説論
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
遥
(
はる
)
かに離れているとは言いながら、常の人よりは三倍も五倍も
勘
(
かん
)
の鋭い弁信が、その騒ぎを聞きつけないはずはありません。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
おめえ、
盲
(
めくら
)
のくせに
勘
(
かん
)
がわるいな。アアにわか盲だから、声まで見えなくなったのか。じゃアいって聞かしてやろう。びっくりして
気絶
(
きぜつ
)
するなよ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三州藤川在岩井村無宿當時江戸麹町三丁目重兵衞店作藏事町醫師村井長庵五十三歳
其方儀
(
そのはうぎ
)
三州藤川在岩井村に
罷
(
まか
)
り在候
砌
(
みぎ
)
り同村に於て百姓
勘
(
かん
)
次郎を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その馬鹿の上前をハネる利口者が、蟲のやうに殺されたといふのですから、平次の
勘
(
かん
)
を働かせるまでもなく、其處には容易ならぬものがありさうです。
銭形平次捕物控:322 死の秘薬
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ステッキなど持って歩くと、犬のほうで
威嚇
(
いかく
)
の武器と
勘
(
かん
)
ちがいして、反抗心を起すようなことがあってはならぬから、ステッキは永遠に
廃棄
(
はいき
)
することにした。
畜犬談:―伊馬鵜平君に与える―
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それがまた
勘
(
かん
)
が悪いと見えて、
船着
(
ふなつき
)
まで手を
牽
(
ひか
)
れて来る始末だ。
無途方
(
むてっぽう
)
も
極
(
きわま
)
れりというべしじゃないか。これで波の上を
漕
(
こ
)
ぐ気だ。
皆
(
みんな
)
呆
(
あき
)
れたね。
険難千方
(
けんのんせんばん
)
な話さ。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
盲人は
勘
(
かん
)
のよいものである。そのなかでもこの座頭は非常に勘のよいらしいことを平助もかねて承知していたが、今夜の
手際
(
てぎわ
)
をみせられて彼はいよいよ舌をまいた。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と、なかには何か
勘
(
かん
)
ちがいして、作爺さんがお
召捕
(
めしと
)
りにでもなったようなことを言うやつもある。ねいりばなをこの騒ぎにたたき起こされて、寝ぼけているんです。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「——
藁屋
(
わらや
)
の
勘
(
かん
)
さんとこで面倒みてやってるらしいんだけど、
唖者
(
おし
)
みたいにものを云わないし、お乳をやることもお
襁褓
(
むつ
)
を替えることも知らないらしいんですってよ」
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
もちろんルナビゥムの
用途
(
ようと
)
についても、彼らは
勘
(
かん
)
づいていますのじゃ。そこで地球人を困らせようとして、あの倉庫にあったルナビゥムは全部ほかへはこんでしまった。
三十年後の世界
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
父は、三十歳前後の、
勘
(
かん
)
のいい盛りであったのだろう。私は、河原の玉石の上へ腰をおろして、竿さばき鮮やかな父を眺めた。いまから想い出しても、父は釣りが
上手
(
じょうず
)
であったと思う。
父の俤
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
路はもとより
人跡
(
じんせき
)
絶えているところを
大概
(
おおよそ
)
の「
勘
(
かん
)
」で歩くのであるから、
忍耐
(
がまん
)
に
忍耐
(
がまん
)
しきれなくなって
怖
(
こわ
)
くもなって来れば悲しくもなって来る、とうとう眼を
凹
(
くぼ
)
ませて死にそうになって家へ帰って
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
母と自分はよくスペードを握っては妙な顔をしてすぐ
勘
(
かん
)
づかれた。兄も時々苦笑した。一番冷淡なのは
嫂
(
あによめ
)
であった。スペードを握ろうが握るまいがわれにはいっこう関係がないという風をしていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
学校の一軒さきに大きな
人力車宿
(
くるまやど
)
があって、お
勘
(
かん
)
ちゃんという、色は黒いが
痩
(
やせ
)
がたなキリリとした、きかない気の、
少女
(
こむすめ
)
でも大人のように気のきいた、あたしのために、あたしの家へよく忘れものや
旧聞日本橋:04 源泉小学校
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そこをズッと市中の繁華な方へ歩んで来るうちにも、竜之助の
勘
(
かん
)
が驚くべきほどに発達していることがわかります。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「良いことに氣が付いた。お前の
勘
(
かん
)
も捨てたものぢやない。その黒子がなくて、女の髮形をさせたらどうなる」
銭形平次捕物控:319 真珠太夫
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さうして貧しい芸術家の小さい
勘
(
かん
)
でものを言つてゐるだけで、他には何の根拠も無いのであるから、私は自分のこの直覚を読者に押しつけたくはないのである。
津軽
(新字旧仮名)
/
太宰治
(著)
もちろん、幾人かは
狩衣
(
かりぎぬ
)
や
布直垂
(
ぬのひたたれ
)
の目あきもいて、何かと
勘
(
かん
)
のわるい者の世話をして行くふうではあった。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
酒屋の御用聞きが、配達の
徳利
(
とくり
)
を二つ三つ地面にころがして、油を売っていると、野良犬がその徳利を、なんと
勘
(
かん
)
ちがいしてかしきりになめまわしているのも、江戸の町らしいひとつの情景。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と、たちまちものすごい勢いで、がらがらがらと
疾走
(
しっそう
)
を始めた。
但
(
ただ
)
し原地人軍の方へ向って前進しないで、何を
勘
(
かん
)
ちがいしたか、あべこべに、醤軍の方へ向けて、全速力で後退を始めたではないか。
人造人間戦車の機密:――金博士シリーズ・2――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私しなすは此上もなき
不屆者
(
ふとゞきもの
)
伊東半右衞門は
揚屋
(
あげや
)
入申付下役二人は留守居へ
預
(
あづ
)
け
遣
(
つかは
)
す
急度
(
きつと
)
戒
(
いまし
)
め置と言渡され傳吉は出牢の上
手當
(
てあて
)
して宿預け言付
下
(
さげ
)
られけり又
極
(
ごく
)
月十日傳吉お專與惣次
喜兵衞
(
きへゑ
)
勘
(
かん
)
右衞門等を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
弁信は
勘
(
かん
)
のせいで、いかなる時にも、いかなる道をも、踏み間違えるという心配はないが、しかし、非常と知って、特に急ぐというの自由は持ちません。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
偽善を
勘
(
かん
)
で見抜く事です。この見抜く力を持っている人のことを、教養人と呼ぶのではないでしょうか。日本人は、いい教養を祖先から伝えられているのですね。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
室殿は
勘
(
かん
)
のするどい眼で村重の面をにらまえた。村重はあわてて面を振りながらその顔色をごまかした。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
昨夜
(
ゆふべ
)
あたり、何にか聽いた筈だと思ふが、お前は
勘
(
かん
)
が良いやうだから」
銭形平次捕物控:120 六軒長屋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「おい、あの野郎は、
鷹匠町
(
たかしょうまち
)
の
勘
(
かん
)
だとよ」
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
とても
勘
(
かん
)
のいい、
金棒引
(
かなぼうひ
)
きの人たちは
まざあ・ぐうす
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
戦機は
勘
(
かん
)
だ。また天来の声だ。常道ではいえない。戦前の作戦は、大事をとるから、ただ敗けない主義になりやすい。それがいざ戦に入ると
疾風迅雷
(
しっぷうじんらい
)
を要してくる。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“勘”の意味
《名詞》
(カン)直感的な感覚や判断力。
《動詞》
(コウ-ずる ウ音便化)拷問にかける。
(出典:Wiktionary)
勘
常用漢字
中学
部首:⼒
11画
“勘”を含む語句
勘定
勘考
勘定書
御勘定
勘定方
勘当
勘忍
勘違
勘定奉行
勘亭流
御勘気
勅勘
銭勘定
勘破
割前勘定
勘定台
勘解由小路
御勘定方
勘藏
勘弁
...