林不忘
1900.01.17 〜 1935.06.29
“林不忘”に特徴的な語句
離室
発
爺
母娘
蒲生泰軒
燕
忠相
父
兄哥
間
筵
良人
柄
服装
皺
肘
姐御
藪
肚
顎
雪崩
爺
父
候
裃
家
装
襟
浴衣
逐電
田舎
退
大髻
縁
控
絡
額部
跫音
暴風雨
其方
刹那
業
陽
叱咤
起
腋
懐中
真
途
襖
著者としての作品一覧
仇討たれ戯作(新字新仮名)
読書目安時間:約22分
六樹園石川雅望は、このごろいつも不愉快な顔をして、四谷内藤新宿の家に引き籠って額に深い竪皺を刻んでいた。 彼はどっちを向いても嫌なことばかりだと思った。陰惨な敵討の読物が流行するの …
読書目安時間:約22分
六樹園石川雅望は、このごろいつも不愉快な顔をして、四谷内藤新宿の家に引き籠って額に深い竪皺を刻んでいた。 彼はどっちを向いても嫌なことばかりだと思った。陰惨な敵討の読物が流行するの …
あの顔(新字新仮名)
読書目安時間:約30分
六月の暑い日の午後、お久美は、茶の間にすわって、浮かない面持ちだった。そういえば、誰も気がつかなかったが、朝から不愉快そうにしていた。暑さのためばかりではないらしかった。綿雲のよう …
読書目安時間:約30分
六月の暑い日の午後、お久美は、茶の間にすわって、浮かない面持ちだった。そういえば、誰も気がつかなかったが、朝から不愉快そうにしていた。暑さのためばかりではないらしかった。綿雲のよう …
安重根:――十四の場面――(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間39分
時。一九〇九年八月、十月。 所。小王嶺、ウラジオストック、ボグラニチナヤ、蔡家溝、ハルビン。 人。安重根、禹徳淳、曹道先、劉東夏、劉任瞻、柳麗玉、李剛、李春華、朴鳳錫、白基竜、鄭吉 …
読書目安時間:約1時間39分
時。一九〇九年八月、十月。 所。小王嶺、ウラジオストック、ボグラニチナヤ、蔡家溝、ハルビン。 人。安重根、禹徳淳、曹道先、劉東夏、劉任瞻、柳麗玉、李剛、李春華、朴鳳錫、白基竜、鄭吉 …
稲生播磨守(新字新仮名)
読書目安時間:約29分
天保のすえ、小石川御箪笥町の稲生播磨守の上屋敷。 諸士の出入りする通用門につづく築地塀の陰。夕方。杉、八つ手などの植込みの根方に、中小姓税所郁之進と、同じく中小姓池田、森の三人が、 …
読書目安時間:約29分
天保のすえ、小石川御箪笥町の稲生播磨守の上屋敷。 諸士の出入りする通用門につづく築地塀の陰。夕方。杉、八つ手などの植込みの根方に、中小姓税所郁之進と、同じく中小姓池田、森の三人が、 …
寛永相合傘(新字新仮名)
読書目安時間:約16分
つまらないことから、えて大喧嘩になる。これはいつの世も同じことだ。もっとも、つまらないことでなければ喧嘩なんかしない。隣家の鶏が庭へはいって来て、蒔いたばかりの種をほじくったという …
読書目安時間:約16分
つまらないことから、えて大喧嘩になる。これはいつの世も同じことだ。もっとも、つまらないことでなければ喧嘩なんかしない。隣家の鶏が庭へはいって来て、蒔いたばかりの種をほじくったという …
釘抜藤吉捕物覚書:01 のの字の刀痕(新字新仮名)
読書目安時間:約19分
早いのが飛鳥山。 花の噂に、横町の銭湯が賑わって、八百八町の人の心が一つの陽炎と立ち昇る、安政三年の春未だ寒いある雨上りの、明けの五つというから辰の刻であった。 唐桟の素袷に高足駄 …
読書目安時間:約19分
早いのが飛鳥山。 花の噂に、横町の銭湯が賑わって、八百八町の人の心が一つの陽炎と立ち昇る、安政三年の春未だ寒いある雨上りの、明けの五つというから辰の刻であった。 唐桟の素袷に高足駄 …
釘抜藤吉捕物覚書:02 梅雨に咲く花(新字新仮名)
読書目安時間:約24分
「ちぇっ、朝っぱらから勘弁ならねえ。」 読みさしの黄表紙を伏せると、勘弁勘次は突っかかるようにこう言って、開けっ放した海老床の腰高越しに戸外を覗いた。 「御覧なせえ、親分。勘弁なら …
読書目安時間:約24分
「ちぇっ、朝っぱらから勘弁ならねえ。」 読みさしの黄表紙を伏せると、勘弁勘次は突っかかるようにこう言って、開けっ放した海老床の腰高越しに戸外を覗いた。 「御覧なせえ、親分。勘弁なら …
釘抜藤吉捕物覚書:03 三つの足跡(新字新仮名)
読書目安時間:約26分
紫に明ける大江戸の夏。 七月十四日のことだった。神田明神は祇園三社、その牛頭天王祭のお神輿が、今日は南伝馬町の旅所から還御になろうという日の朝まだき、秋元但馬守の下屋敷で徹宵酒肴の …
読書目安時間:約26分
紫に明ける大江戸の夏。 七月十四日のことだった。神田明神は祇園三社、その牛頭天王祭のお神輿が、今日は南伝馬町の旅所から還御になろうという日の朝まだき、秋元但馬守の下屋敷で徹宵酒肴の …
釘抜藤吉捕物覚書:04 槍祭夏の夜話(新字新仮名)
読書目安時間:約21分
土蔵破りで江戸中を騒がし長い草鞋を穿いていた卍の富五郎という荒事の稼人、相州鎌倉は扇が谷在の刀鍛冶不動坊祐貞方へ押し入って召捕られ、伝馬町へ差立てということになったのが、それが鶴見 …
読書目安時間:約21分
土蔵破りで江戸中を騒がし長い草鞋を穿いていた卍の富五郎という荒事の稼人、相州鎌倉は扇が谷在の刀鍛冶不動坊祐貞方へ押し入って召捕られ、伝馬町へ差立てということになったのが、それが鶴見 …
釘抜藤吉捕物覚書:05 お茶漬音頭(新字新仮名)
読書目安時間:約20分
「はいっ。」 「はいっ。」 「ほらきた!」 「よいとこら!」 「はっ。」 「はっ。」 庄屋よ狐よ猟師よと拳にさざめく夕涼み。本八丁堀三丁目、海老床の縁台では、今宵、後の月を賞めるほ …
読書目安時間:約20分
「はいっ。」 「はいっ。」 「ほらきた!」 「よいとこら!」 「はっ。」 「はっ。」 庄屋よ狐よ猟師よと拳にさざめく夕涼み。本八丁堀三丁目、海老床の縁台では、今宵、後の月を賞めるほ …
釘抜藤吉捕物覚書:06 巷説蒲鉾供養(新字新仮名)
読書目安時間:約29分
「夫れ謹み敬いて申し奉る、上は梵天帝釈四大天王、下は閻魔法王五道冥官、天の神地の神、家の内には井の神竈の神、伊勢の国には天照皇大神宮、外宮には四十末社、内宮には八十末社、雨の宮風の …
読書目安時間:約29分
「夫れ謹み敬いて申し奉る、上は梵天帝釈四大天王、下は閻魔法王五道冥官、天の神地の神、家の内には井の神竈の神、伊勢の国には天照皇大神宮、外宮には四十末社、内宮には八十末社、雨の宮風の …
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄(新字新仮名)
読書目安時間:約33分
近江屋の隠居が自慢たらたらで腕を揮った腰の曲がった蝦の跳ねている海老床の障子に、春は四月の麗かな陽が旱魃つづきの塵埃を見せて、焙烙のように燃えさかっている午さがりのことだった。 八 …
読書目安時間:約33分
近江屋の隠居が自慢たらたらで腕を揮った腰の曲がった蝦の跳ねている海老床の障子に、春は四月の麗かな陽が旱魃つづきの塵埃を見せて、焙烙のように燃えさかっている午さがりのことだった。 八 …
釘抜藤吉捕物覚書:08 無明の夜(新字新仮名)
読書目安時間:約28分
「あっ!こ、こいつぁ勘弁ならねえ。」 いの一番に傘を奪られた勘弁勘次、続いて何か叫んだが、咆える風、篠突く雨、雲低く轟き渡る雷に消されて、二、三間先を往く藤吉にさえ聞き取れない。が …
読書目安時間:約28分
「あっ!こ、こいつぁ勘弁ならねえ。」 いの一番に傘を奪られた勘弁勘次、続いて何か叫んだが、咆える風、篠突く雨、雲低く轟き渡る雷に消されて、二、三間先を往く藤吉にさえ聞き取れない。が …
釘抜藤吉捕物覚書:09 怨霊首人形(新字新仮名)
読書目安時間:約26分
がらり、紅葉湯の市松格子が滑ると、角の髪結海老床の親分甚八、蒼白い顔を氷雨に濡らして覗き込んだ。 「おうっ、親分は来てやしねえかえ、釘抜の親分はいねえかよ。」 濛々と湯気の罩った柘 …
読書目安時間:約26分
がらり、紅葉湯の市松格子が滑ると、角の髪結海老床の親分甚八、蒼白い顔を氷雨に濡らして覗き込んだ。 「おうっ、親分は来てやしねえかえ、釘抜の親分はいねえかよ。」 濛々と湯気の罩った柘 …
釘抜藤吉捕物覚書:10 宇治の茶箱(新字新仮名)
読書目安時間:約24分
「勘の野郎を起すほどのことでもあるめえ。」 合点長屋の土間へ降り立った釘抜藤吉は、まだ明けやらぬ薄暗がりのなかで、足の指先に駒下駄の緒を探りながら、独語のようにこう言った。後から続 …
読書目安時間:約24分
「勘の野郎を起すほどのことでもあるめえ。」 合点長屋の土間へ降り立った釘抜藤吉は、まだ明けやらぬ薄暗がりのなかで、足の指先に駒下駄の緒を探りながら、独語のようにこう言った。後から続 …
釘抜藤吉捕物覚書:11 影人形(新字新仮名)
読書目安時間:約39分
三十間堀の色物席柳江亭の軒に、懸け行燈が油紙に包まれて、雨に煙っていた。 珍しいものが掛っていて、席桟敷は大入り満員なのだった。人いきれとたばこで、むっとする空気の向うに、高座の、 …
読書目安時間:約39分
三十間堀の色物席柳江亭の軒に、懸け行燈が油紙に包まれて、雨に煙っていた。 珍しいものが掛っていて、席桟敷は大入り満員なのだった。人いきれとたばこで、むっとする空気の向うに、高座の、 …
釘抜藤吉捕物覚書:12 悲願百両(新字新仮名)
読書目安時間:約31分
ひどい風だ。大川の流れが、闇黒に、白く泡立っていた。 本所、一つ目の橋を渡りきった右手に、墓地のような、角石の立ち並んだ空地が、半島状に、ほそ長く河に突き出ている。 柳が、枝を振り …
読書目安時間:約31分
ひどい風だ。大川の流れが、闇黒に、白く泡立っていた。 本所、一つ目の橋を渡りきった右手に、墓地のような、角石の立ち並んだ空地が、半島状に、ほそ長く河に突き出ている。 柳が、枝を振り …
釘抜藤吉捕物覚書:13 宙に浮く屍骸(新字新仮名)
読書目安時間:約32分
空はすでに朝。 地はまだ夜。 物売りの声も流れていない。 深淵を逆さに刷くような、紺碧のふかい雲形——きょう一日の小春日を約束して、早暁の微風は羽毛のごとくかぐわしい。 明け六つご …
読書目安時間:約32分
空はすでに朝。 地はまだ夜。 物売りの声も流れていない。 深淵を逆さに刷くような、紺碧のふかい雲形——きょう一日の小春日を約束して、早暁の微風は羽毛のごとくかぐわしい。 明け六つご …
口笛を吹く武士(新字新仮名)
読書目安時間:約21分
無双連子「ちょっと密談——こっちへ寄ってくれ。」 上野介護衛のために、この吉良の邸へ派遣されて来ている縁辺上杉家の付家老、小林平八郎だ。 呼びにやった同じく上杉家付人、目付役、清水 …
読書目安時間:約21分
無双連子「ちょっと密談——こっちへ寄ってくれ。」 上野介護衛のために、この吉良の邸へ派遣されて来ている縁辺上杉家の付家老、小林平八郎だ。 呼びにやった同じく上杉家付人、目付役、清水 …
元禄十三年(新字新仮名)
読書目安時間:約42分
問題を入れた扇箱「いや、勤まらぬことはありますまい。」 土屋相模守は、じろりと二人を見た。 「勤まらぬといってしまえば、だれにもつとまらぬ。一生に一度のお役であるから、万事承知して …
読書目安時間:約42分
問題を入れた扇箱「いや、勤まらぬことはありますまい。」 土屋相模守は、じろりと二人を見た。 「勤まらぬといってしまえば、だれにもつとまらぬ。一生に一度のお役であるから、万事承知して …
巷説享保図絵(新字新仮名)
読書目安時間:約8時間43分
金剛寺坂「お高どの、茶が一服所望じゃ」 快活な声である。てきぱきした口調だ。が、若松屋惣七は、すこし眼が見えない。人の顔ぐらいはわかるが、こまかいものとくると、まるで盲目なのだ。そ …
読書目安時間:約8時間43分
金剛寺坂「お高どの、茶が一服所望じゃ」 快活な声である。てきぱきした口調だ。が、若松屋惣七は、すこし眼が見えない。人の顔ぐらいはわかるが、こまかいものとくると、まるで盲目なのだ。そ …
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻(新字新仮名)
読書目安時間:約11時間21分
しずかに更けてゆく秋の夜。 風が出たらしく、しめきった雨戸に時々カサ!と音がするのは庭の柿の病葉が散りかかるのであろう。その風が隙間を洩れて、行燈の灯をあおるたびに、壁の二つの人影 …
読書目安時間:約11時間21分
しずかに更けてゆく秋の夜。 風が出たらしく、しめきった雨戸に時々カサ!と音がするのは庭の柿の病葉が散りかかるのであろう。その風が隙間を洩れて、行燈の灯をあおるたびに、壁の二つの人影 …
丹下左膳:02 こけ猿の巻(新字新仮名)
読書目安時間:約8時間6分
さっきの雷鳴で、雨は、カラッと霽れた。 往来の水たまりに、星がうつっている。いつもなら、爪紅さした品川女郎衆の、素あしなまめかしいよい闇だけれど。 今宵は。 問屋場の油障子に、ぱっ …
読書目安時間:約8時間6分
さっきの雷鳴で、雨は、カラッと霽れた。 往来の水たまりに、星がうつっている。いつもなら、爪紅さした品川女郎衆の、素あしなまめかしいよい闇だけれど。 今宵は。 問屋場の油障子に、ぱっ …
丹下左膳:03 日光の巻(新字新仮名)
読書目安時間:約6時間35分
ふしぎなことがある。 左膳がこの焼け跡へかけつけたとき、いろいろと彼が、火事の模様などをきいた町人風の男があった。 そのほか。 近所の者らしい百姓風や商人体が、焼け跡をとりまいて、 …
読書目安時間:約6時間35分
ふしぎなことがある。 左膳がこの焼け跡へかけつけたとき、いろいろと彼が、火事の模様などをきいた町人風の男があった。 そのほか。 近所の者らしい百姓風や商人体が、焼け跡をとりまいて、 …
つづれ烏羽玉(新字新仮名)
読書目安時間:約3時間31分
花吹雪 どこかで見たような顔だね 花を咲かすのが雨なら散らすのも雨。 隅田川木母寺梅若塚の大念仏は十五日で、この日はきまって雨が降る。いわゆる梅若の涙雨だが、それが三日も続いた末、 …
読書目安時間:約3時間31分
花吹雪 どこかで見たような顔だね 花を咲かすのが雨なら散らすのも雨。 隅田川木母寺梅若塚の大念仏は十五日で、この日はきまって雨が降る。いわゆる梅若の涙雨だが、それが三日も続いた末、 …
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話(新字新仮名)
読書目安時間:約22分
友人の書家の家で、私は経師屋の恒さんと相識になったが、恒さんの祖父なる人がまだ生きていて、湘南のある町の寺に間借りの楽隠居をしていると知ったので、だんだん聞いてみると、このお爺さん …
読書目安時間:約22分
友人の書家の家で、私は経師屋の恒さんと相識になったが、恒さんの祖父なる人がまだ生きていて、湘南のある町の寺に間借りの楽隠居をしていると知ったので、だんだん聞いてみると、このお爺さん …
早耳三次捕物聞書:02 うし紅珊瑚(新字新仮名)
読書目安時間:約21分
人影が動いた、と思ったら、すうっと消えた。 気のせいかな、と前方の暗黒を見透しながら、早耳三次が二、三歩進んだ時、橋の下で、水音が一つ寒々と響き渡った。 はっとした三次、欄干へ倚っ …
読書目安時間:約21分
人影が動いた、と思ったら、すうっと消えた。 気のせいかな、と前方の暗黒を見透しながら、早耳三次が二、三歩進んだ時、橋の下で、水音が一つ寒々と響き渡った。 はっとした三次、欄干へ倚っ …
早耳三次捕物聞書:03 浮世芝居女看板(新字新仮名)
読書目安時間:約20分
第一話 四谷の菱屋横町に、安政のころ豆店という棟割長屋の一廓があった。近所は寺が多くて、樹に囲まれた町内にはいったいに御小役人が住んでいた。それでも大通りへ出る横町のあたりは小さな …
読書目安時間:約20分
第一話 四谷の菱屋横町に、安政のころ豆店という棟割長屋の一廓があった。近所は寺が多くて、樹に囲まれた町内にはいったいに御小役人が住んでいた。それでも大通りへ出る横町のあたりは小さな …
早耳三次捕物聞書:04 海へ帰る女(新字新仮名)
読書目安時間:約12分
いやもう、いまから考えると途方もないようだが、元治元年といえば御維新の四年前で、蛤御門の変、長州征伐、おまけに英米仏蘭四カ国の聯合艦隊が下関を砲撃するなど、とかく人心が動揺している …
読書目安時間:約12分
いやもう、いまから考えると途方もないようだが、元治元年といえば御維新の四年前で、蛤御門の変、長州征伐、おまけに英米仏蘭四カ国の聯合艦隊が下関を砲撃するなど、とかく人心が動揺している …
平馬と鶯(新字新仮名)
読書目安時間:約21分
鶯の宿 麗かな春の日である。 野に山に陽の光が、煙のように漂うのを見るともなしに見ながら、平馬は物思いに沈んで歩いていた。振り返ると、野路の末、雑木林の向うの空に、大小の屋根が夢の …
読書目安時間:約21分
鶯の宿 麗かな春の日である。 野に山に陽の光が、煙のように漂うのを見るともなしに見ながら、平馬は物思いに沈んで歩いていた。振り返ると、野路の末、雑木林の向うの空に、大小の屋根が夢の …
煩悩秘文書(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間54分
深山の巻——女髪兼安—— 猿の湯 岩間に、黄にむらさきに石楠花が咲いて、夕やみが忍び寄っていた。 ちょうど石で畳んだように、満々と湯をたたえた温泉の池である。屹立する巌のあいだに湧 …
読書目安時間:約2時間54分
深山の巻——女髪兼安—— 猿の湯 岩間に、黄にむらさきに石楠花が咲いて、夕やみが忍び寄っていた。 ちょうど石で畳んだように、満々と湯をたたえた温泉の池である。屹立する巌のあいだに湧 …
魔像:新版大岡政談(新字新仮名)
読書目安時間:約4時間23分
首「卑怯!卑怯ッ!卑怯者ッ!」 大声がした。千代田の殿中である。新御番詰所と言って、書役の控えている大広間だ。 荒磯の描いてある衝立の前で、いまこう、肩肘を張って叫び揚げた武士があ …
読書目安時間:約4時間23分
首「卑怯!卑怯ッ!卑怯者ッ!」 大声がした。千代田の殿中である。新御番詰所と言って、書役の控えている大広間だ。 荒磯の描いてある衝立の前で、いまこう、肩肘を張って叫び揚げた武士があ …
若き日の成吉思汗:――市川猿之助氏のために――(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間8分
三幕六場 人物 成吉思汗二十七歳 合撒児成吉思汗の弟二十四歳 木華里四天王の一人、近衛隊長三十歳 哲別長老、四天王の一人六十歳 忽必来参謀長、四天王の一人 速不台箭筒士長、四天王の …
読書目安時間:約1時間8分
三幕六場 人物 成吉思汗二十七歳 合撒児成吉思汗の弟二十四歳 木華里四天王の一人、近衛隊長三十歳 哲別長老、四天王の一人六十歳 忽必来参謀長、四天王の一人 速不台箭筒士長、四天王の …
“林不忘”と年代が近い著者
今月で生誕X十年
今年で生誕X百年
今年で没後X百年
ジェーン・テーラー(没後200年)
山村暮鳥(没後100年)
黒田清輝(没後100年)
アナトール・フランス(没後100年)
原勝郎(没後100年)
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット(没後100年)
郡虎彦(没後100年)
フランツ・カフカ(没後100年)