“父”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とう30.8%
とっ17.7%
ちち7.6%
ちゝ6.6%
とつ5.7%
4.9%
ちゃん4.3%
とと4.0%
てて3.1%
とゝ2.1%
おや1.7%
おとっ1.1%
0.9%
ファザー0.9%
てゝ0.7%
おやぢ0.6%
とツ0.6%
パパ0.6%
おやじ0.6%
ちゃ0.4%
ちやん0.4%
おとつ0.4%
ちヽ0.4%
とッ0.4%
おど0.3%
0.3%
やじ0.3%
ファーテル0.1%
おう0.1%
おと0.1%
おとう0.1%
0.1%
とお0.1%
とっつ0.1%
とッつ0.1%
とツつ0.1%
どう0.1%
パテル0.1%
ファザア0.1%
ファーザー0.1%
フアタア0.1%
ペール0.1%
マハラージャ0.1%
ミチチ0.1%
ヤジ0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「ああ、おとうさんとかわへいってってきたんだ。こんど、きみもいっしょにゆかない?」と、いきいきとしたかおげたのであります。
すいれんは咲いたが (新字新仮名) / 小川未明(著)
「何か書いてごらんなさるがいい。紙や筆ぐらいは入れてあげますよ。おとっさんの気が晴れるようになさるのが何よりですからね。」
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そしてちちのつもりでは、私達わたくしたち夫婦ふうふあいだ男児だんしうまれたら、その一人ひとり大江家おおえけ相続者そうぞくしゃもらける下心したごころだったらしいのでございます。
烈々れつ/\える暖炉だんろのほてりで、あかかほの、小刀ナイフつたまゝ頤杖あごづゑをついて、仰向あふむいて、ひよいと此方こちらいたちゝかほ真蒼まつさをつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「かへせ。かへさんとてめえのとつつあんにいひつけるぞ。てめえの父つあんは、家にをつた嘉助だらう。嘉助にいひつけるぞォ。」
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
父の眼には涙はなかつたが、声はうるんでゐてものが言へないので、私は勇気を鼓して「おう、用心なさんせ、左様なら」と言つた。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
あたいのちゃんはどこへ行った……あの唄も、みなの耳にたこができるほど、朝晩聞かされたもので、このチョビ安には、父も母もないはず。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
仕方がないやつぱり私も丸木橋をば渡らずはなるまい、ととさんも踏かへして落ておしまいなされ、祖父おぢいさんも同じ事であつたといふ
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
気にかかるので、後で探ると、娘は、それから十月目に、ててなし子を産んで土蔵部屋に産後を病んでいるという近所の者の噂だった。
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
れを種々さま/″\おもふてるととゝさんだとてわたしだとてまごなりなりのかほたいは當然あたりまへなれど、あんまりうるさく出入でいりをしてはとひかへられて
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
このおやと子と突然に別離わかれを告げたのである。それも尋常一様の別離わかれでない。父は夢のように姿を隠して、夢のように死んだのである。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「それはできないことはないだろうけれど、おとっさんはああいうふうだし、私ばかり苦労しなくっちゃならないから」
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
「金持ってけえんべと思っていだども、あんまり安かったで、買って来たはあ。おう! この馬は、こんで、何円ぐらいにえるべ?」
(新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
断るばかりが能じゃないから、一つ考えて見ろとファザーマザーも言うんだ。佐藤氏は長く英語の先生をした人で、今は進駐軍の通訳を勤めている。
ロマンスと縁談 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
てゝ親は先刻さきほどより腕ぐみして目を閉ぢて有けるが、あゝ御袋、無茶の事を言ふてはならぬ、我しさへ初めて聞いて何うした物かと思案にくれる
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
僕は去年××へ來てから、郷里くに居所ゐどころを知らせて置かなかつたんです。まさか今頃おやぢが死なうとは思ひませんでしたからねえ。
葉書 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
をとこうらめしさうにうちはうにらんで、泣く/\むかうへかうとすると、おとツつアんエーとつて女の子がけてるから、どうかおつかさんのところかへつてくれ
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ツクシンボウも木兎みゝづくさんもお月さんも和尚さんも、そしてパパさんもママさんも……みんな、みんな、乘んの乘んの——と汽車の客となし、汽車は大層な汽笛の音も高らかに
城ヶ島の春 (旧字旧仮名) / 牧野信一(著)
それやアあしくんの姉さんが。なかなかえらいもんだっサ。この間僕のおやじが一番町の宮崎さんへいったら。あっちの長屋にお秀という娘があるが。
藪の鶯 (新字新仮名) / 三宅花圃(著)
「遠慮をしない方がいいぜ、うちちゃンはあんまり好くないけれど、おっ母あは、旅の人にも親切なんだぜ、もう一杯おあがんなさい」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だれだとおもふ、かゝあながわづらひでなけりや、小兒がきなんぞれちやねえ。う、やつこ思切おもひきつて飛込とびこめ。生命いのちがけで突入つツぺえれ! てめえにやあついたつて、ちやんにはぬるいや。
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その墓の一つを母親がゆびさして『これがお前のおとつさんのお墓だよ。おとつさんは此処こゝるんだよ。成長おほきくなつたら、行つて御覧?』
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
まつりれて友達ともだちのうちへとまつた一分始終いちぶしヾう祖母ばヾはなしてきかせました。すると、祖母ばヾをみはつて、そのかたはちヽ最初まへの「つれあひ」だつたとおどろかれました。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
「わたし、生れたのは薬研堀ですわ。おとッつァんはとうに死んじまいました。」
申訳 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「美代姉は、んだって言ったの、おど、行がねえごったら、くびたさ、縄つけでもせで行ぐどて。お美代姉、泣いでいだけ。」
蜜柑 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
すればいいでせう——下宿屋は、ね、亡くなられたおアさんが、やめてしまふのも惜しいからわたしにしろとおツしやつたのですよ!
己がおやじさんに勧めて他人の中を見せなければいけませんが、近い所だと駈出して帰って来ますから、いっそ江戸へ奉公に出した方が宜かろうと云って、江戸の屋敷奉公に出した所が
わたしのファーテルは『ヨハンといって市長をしていた。ところが、カチェリーナのファーテルは一度だって市長などしたことはない』
ときにはおうさんのむらなぞにいめづらしい玩具おもちやや、とうさんのきな箱入はこいり羊羹やうかんとなりくにはうから土産みやげにつけてれるのも、あのうまでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「大変邪魔にするね。糸公、おとっさんが、そう云ってたぜ」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「震災には無事だったのかね。おとうさんやお母さんは……。」
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
まろが一一。 (歌謠番號四九)
ぼくがいくときは、となりとくちゃんも、いっしょにいくというんだ。二人ふたりでなら、うちのおとおさんもゆるしてくださるとおもっている。
波荒くとも (新字新仮名) / 小川未明(著)
とっつあん、お前のお上さんは病気で死んだじゃないか。なぜお前は医者を呼びにやらなかったんだ?」
只どうも魂消てしまって、どうかまアこういう事ならとッつアんの死んだ時一緒に死なれりゃア死にたかったと思えますくらいで
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「お千代さんがさう受け合へば構はないやうなものの——でも、ねえ、おとツつアんの代が變つてゐるし、わたしがそんなことに口を出して、もしどんなことがあるまいものでもないから——。」
泡鳴五部作:01 発展 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
「おどうつておで。」と云つた。
一九二八年三月十五日 (旧字旧仮名) / 小林多喜二(著)
そのパテル——の一語は、明白に旗太郎もしくは、セレナ夫人を指していて、あるいは旗太郎が、遺産に関する暴挙に復仇したものか、それともセレナ夫人が、なんらかの動機から
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
中学の四年生には、その時の能勢の心もちを推測するめいがない。自分は危く「あれは能勢のファザアだぜ。」と云おうとした。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
だって、考えてみれば、わたしたちが女学校でならった英語には、ファーザーとか良人ハズバンドとか云う言葉はたしかにあったけれど、その父や良人を
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「……フアタアには、哲学や天文学を勉強してゐると称してゐるさうだな?」
夏ちかきころ (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
何週間も何週間も、仏語の「ペールメール」さえ覚えられずに泣いていたところへ、ふいに自分の知らぬ単語まで造作なく動詞でつなぎ合せて話しているのを見ると、少女はたまらなくなったのでした。
ごく小さな金の盒であったが、これにも何か宝石いしちりばめてあると見えて、煌々きらきらと輝いていた。「右がマハラージャです」
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
故詔命カレミコトのまにまに須佐能男命の御所にマイたりしかば、其女須勢理毘売スセリヒメ出で見て、目合マグワイして相婚ミアイまして、還り入りて、其ミチチ甚麗イトウルわしき神まい来つと申給いき。
比較神話学 (新字新仮名) / 高木敏雄(著)
(近く生れてくる子も、ヤジの砂馬が今殺されるんでは可哀そうだな。近く生れる子を見ないで死ぬんでは、砂馬も可哀そうだな)
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
母やは彼等の思う通りによく、彼等の思う通り、永遠に賢く従順なる子としてのみ私が存在することを希望されるのだ。