“暖炉”のいろいろな読み方と例文
旧字:暖爐
読み方割合
だんろ51.5%
ストーブ24.2%
ストーヴ6.1%
ストウブ3.0%
シユミネ1.5%
すとうぶ1.5%
すとおぶ1.5%
すとーぶ1.5%
オーフェン1.5%
カミン1.5%
ストウヴ1.5%
ストオブ1.5%
ストオヴ1.5%
ペーチカ1.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それから、ね上がる。寝台の鉄具かなぐにぶつかる。椅子いすにぶつかる。暖炉だんろにぶつかる。そこで彼は、勢いよく焚口たきぐちの仕切り戸をける。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
「——それから検事さん」と帆村は紅茶を一口すすらせてもらっていった。「あの大暖炉ストーブのなかから出てきた屍体のことは分りましたか」
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
宿に着いたリンカンは附近あたりを見廻して、不機嫌な顔をした。部屋は馬小舎うまごやのやうに薄汚かつた。その上暖炉ストーヴには小さな火しか燃えてゐなかつた。
編輯局には、室の広さに釣合のとれぬ程大きい暖炉ストウブがあつて、私は毎日此暖炉の勢ひよく燃える音を聞き乍ら、筆を動かしたり、鋏と糊を使ふ。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
予等の外に白耳義ベルジツクの青年詩人が一人先に来合せて居た。翁は自分の椅子を予に与へて暖炉シユミネの横の狭い壁の隅へ身を退いて坐られた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
手はこびの暖炉すとうぶがはこばれた、あったかいお茶もある、新聞もある、心地よい長椅子もある。
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
室内では夕方になると瓦斯がす暖炉すとおぶが焚かれるが、好い陽気が毎日つづくので日のある間は暖い。
産褥の記 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
と云ふことから暖炉すとーぶの話をして下さいましたが
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
母親が息子に担がれて帰るときは母親が酔いすぎて大概泣いている。き出したばかりの暖炉オーフェンの前で加奈子が土の底冷えをしみじみ床を通して感じた独逸ドイツの思い出である。
豆腐買い (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「じゃ、おいとまするとしましょう、天人のおそばを」とイヷン・イヷーヌィチは、私が客間を一度二度と行き戻りして、やがて暖炉カミンのそばに腰を下ろしたとき、そうぼそついた。
(新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
恐ろしくこまめな性質たちで、朝はやく起きると、直ぐゆかを掃除する。掃除がすむと、今度はせつせと雑巾がけをする。それから暖炉ストウヴきつけ、窓硝子を拭き、真鍮しんちゆう製の欄干を拭き込む。
二人は先刻さつきクリシイの通で中食して帰つて来てからまだ一言も言葉を交さない。女は暖炉ストオブの上の棚の心覚えのある雑誌の下から郵船会社の発船日表を出した。
午後 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
患者がいなくなるので朝から焚かなかった暖炉ペーチカは、冷え切っていた。藁布団の上に畳んだ敷布と病衣は、身体に纒われて出来た小皺と、垢や脂肪あぶらで、他人が着よごしたもののようにきたなかった。
氷河 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)