暖炉ストーヴ)” の例文
旧字:暖爐
宿に着いたリンカンは附近あたりを見廻して、不機嫌な顔をした。部屋は馬小舎うまごやのやうに薄汚かつた。その上暖炉ストーヴには小さな火しか燃えてゐなかつた。
その後一ヶ月ほど致しまして、私は広間の暖炉ストーヴの灰の中から英文の手紙の半片を拾いました。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
女は一口の答もせず黙ってその手巾を指先でつまんだまま暖炉ストーヴそばまで行っていきなりそれを火の中へ投げ込んだ。ダヌンチオは別にしてその他の席に居合せたものはことごとく微笑をらした。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
呉々くれ/″\も言つておくが、その晩暖炉ストーヴ周囲まはりに立つてゐた弁護士は五六人あつた。そしてたつた一人リンカンだけが霊魂たましひを焼栗のやうに黒焦にしないで済んだ。
すつかり自分と蝙蝠傘とを取り違へ、傘を暖炉ストーヴに暖ためながら、自分はよつぴて壁にもたれてゐたといふことだ。
西洋のある学者はみぞれの降る冬の日に蝙蝠傘かうもりがさをさして大学から帰る途々みち/\、家へ着いたなら、蝙蝠傘を壁にたてかけて置いて、自分は暖炉ストーヴに当つて暖まらうとたのしみに思つてゐるうち、うち辿たどり着く頃には