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だんろ
ふりがな文庫
“
暖炉
(
だんろ
)” の例文
旧字:
暖爐
それから、
跳
(
は
)
ね上がる。寝台の
鉄具
(
かなぐ
)
にぶつかる。
椅子
(
いす
)
にぶつかる。
暖炉
(
だんろ
)
にぶつかる。そこで彼は、勢いよく
焚口
(
たきぐち
)
の仕切り戸を
開
(
あ
)
ける。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
烈々
(
れつ/\
)
と
燃
(
も
)
える
暖炉
(
だんろ
)
のほてりで、
赤
(
あか
)
い
顔
(
かほ
)
の、
小刀
(
ナイフ
)
を
持
(
も
)
つたまゝ
頤杖
(
あごづゑ
)
をついて、
仰向
(
あふむ
)
いて、ひよいと
此方
(
こちら
)
を
向
(
む
)
いた
父
(
ちゝ
)
の
顔
(
かほ
)
が
真蒼
(
まつさを
)
に
成
(
な
)
つた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
客
(
きゃく
)
をへやに
案内
(
あんない
)
すると、
暖炉
(
だんろ
)
に火をもやしてたきぎをくべ、
台所
(
だいどころ
)
でお手伝いにてつだわせて、おかみさんはせっせと
食事
(
しょくじ
)
のしたくをした。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
左手には大きなロシア風の
暖炉
(
だんろ
)
があった。暖炉から左側の窓にかけて、部屋いっぱいに
繩
(
なわ
)
が渡されて、色とりどりなぼろが下がっていた。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
かずかずの変な手紙を貰う度にそれを引裂いて捨てるか
暖炉
(
だんろ
)
の中へ投げ込んでしまうかしたその自分の心持を思い出して、
厭
(
いや
)
な気がした。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
三四郎は静かな
部屋
(
へや
)
の中に席を占めた。正面に壁を切り抜いた小さい
暖炉
(
だんろ
)
がある。その上が横に長い鏡になっていて前に
蝋燭立
(
ろうそくたて
)
が二本ある。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ゆかは
暖炉
(
だんろ
)
の
温
(
ぬく
)
まりにて解けたる、靴の雪にぬれたれば、あたりの人々、かれ笑ひ、これ
罵
(
ののし
)
るひまに、
落花狼藉
(
らっかろうぜき
)
、なごりなく泥土に
委
(
ゆだ
)
ねたり。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
何、わたしの逃げ
途
(
みち
)
ですか? そんな事は心配に及びません。この高い
天窓
(
てんまど
)
からでも、あの大きい
暖炉
(
だんろ
)
からでも、自由自在に出て行かれます。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
下心
(
したごころ
)
とともに、耳たぶの紅から爪の先まで
研
(
みが
)
きに研いていたことである。窓外の雪明りは
豪奢
(
ごうしゃ
)
に
映
(
は
)
え、内の
暖炉
(
だんろ
)
はカッカと
紫金
(
しこん
)
の炎を立てる。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いまどきめずらしい、石炭をたく
暖炉
(
だんろ
)
の、四角なえんとつがニューッとつきでていて、おうちのかっこうをいっそう奇妙に見せているのでした。
大金塊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しかし、じきに
二人
(
ふたり
)
は、
仲
(
なか
)
よくなって、
暖炉
(
だんろ
)
の
前
(
まえ
)
に
腰
(
こし
)
をかけて、チョコレートやネーブルを
食
(
た
)
べながらお
話
(
はなし
)
をします。
煙突と柳
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そして彼が
暖炉
(
だんろ
)
のほとりで、書物でも読んでいてなにも予期していないところをつかまえて、こう言ってもらいたい。
死刑囚最後の日
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
朝六時半
病牀
(
びょうしょう
)
眠起。家人
暖炉
(
だんろ
)
を
焚
(
た
)
く。新聞を見る。昨日帝国議会停会を命ぜられし時の記事あり。
繃帯
(
ほうたい
)
を取りかふ。
粥
(
かゆ
)
二
碗
(
わん
)
を
啜
(
すす
)
る。梅の俳句を
閲
(
けみ
)
す。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
ツートよくお
寐入
(
ねいり
)
なさった様子で、あとは身動きもなさらず、
寂
(
ひっそ
)
りした室内には、何の物音もなく、ただ
彼
(
か
)
の
暖炉
(
だんろ
)
の明滅が
凄
(
すご
)
さを添えてるばかりでした。
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
あの
暖炉
(
だんろ
)
のなかの屍体のことをどういったか、それからまたドクトルは何処に行っていたのかなどという
予
(
かね
)
て彼の知りたいと思っていたことを
訊
(
き
)
いてみた。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一ぴきは
机
(
つくえ
)
の下に、二ひきめは
寝床
(
ねどこ
)
のなかに、三ばんめは
暖炉
(
だんろ
)
のなかに、四ばんめは
台所
(
だいどころ
)
に、五ばんめは戸だなのなかに、六ばんめはせんたくだらいのなかに
オオカミと七ひきの子ヤギ
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
玄関
(
げんかん
)
の
先
(
さき
)
はこの
別室全体
(
べっしつぜんたい
)
を
占
(
し
)
めている
広
(
ひろ
)
い
間
(
ま
)
、これが六
号室
(
ごうしつ
)
である。
浅黄色
(
あさぎいろ
)
のペンキ
塗
(
ぬり
)
の
壁
(
かべ
)
は
汚
(
よご
)
れて、
天井
(
てんじょう
)
は
燻
(
くすぶ
)
っている。
冬
(
ふゆ
)
に
暖炉
(
だんろ
)
が
烟
(
けぶ
)
って
炭気
(
たんき
)
に
罩
(
こ
)
められたものと
見
(
み
)
える。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
銀座の
眩
(
まぶ
)
しいショウ・ウィンドウを見ている人には自家用自動車で
待合
(
まちあい
)
通いやカッフェー入りをする人には、夏は
扇風機
(
せんぷうき
)
、冬は
暖炉
(
だんろ
)
に、思うようしたい放題のことのできる人には
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
出来る事なら
惰
(
なま
)
けて、終日
火燵
(
こたつ
)
に
燻
(
くすぶ
)
っていたいであろう。時には
暖炉
(
だんろ
)
のかたわらにばかりかじりついている上官を呪うこともあろう。決してその死んだ集配人を立派な人とも考えない。
丸の内
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
彼
(
か
)
の黒影はヤガて外套を脱して、一室の扉を押せり、室内は燈火
明々
(
めい/\
)
として、
未
(
いま
)
だ官服のまゝなる主人は、燃え盛る
暖炉
(
だんろ
)
の側に安然と身を大椅子に投げて、針の如き
頬髯
(
ほゝひげ
)
撫で廻はしつゝあり
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
もつともそれなら
暖炉
(
だんろ
)
もまつ
赤
(
か
)
だらうし
『春と修羅』
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
スープ
皿
(
さら
)
、コップなどを
客室
(
きゃくしつ
)
にはこんで、
食卓
(
しょくたく
)
のよういをととのえた。
暖炉
(
だんろ
)
の火はさかんにもえて、ぱちぱちと音をたてている。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
この、しょっぱなの運動は、
暖炉
(
だんろ
)
の熱よりも健康な熱を全身に伝えるのである。ところで、顔は
濡
(
ぬ
)
らしたことにしておく。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
その中にある建物は、同じ赤れんがの二階建てで、三角形にとんがった屋根には、むかしふうな四角い
暖炉
(
だんろ
)
のえんとつがニューッとつきだしています。
妖怪博士
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
これもやはりざあざあ雨の降る晩でしたが、私は銀座のある
倶楽部
(
くらぶ
)
の一室で、五六人の友人と、
暖炉
(
だんろ
)
の前へ陣取りながら、気軽な雑談に耽っていました。
魔術
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
西洋では
煙管
(
パイプ
)
に好みを
有
(
も
)
って、大小長短色々
取
(
と
)
り
交
(
ま
)
ぜた一組を
綺麗
(
きれい
)
に
暖炉
(
だんろ
)
の上などに並べて愉快がる人がある。
余と万年筆
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私
(
わたし
)
の
腹
(
はら
)
の
中
(
うち
)
はいつも
空
(
から
)
っぽになります。そして、
下
(
した
)
の
暖炉
(
だんろ
)
の
中
(
なか
)
には
紙
(
かみ
)
くずが
詰
(
つ
)
まります。どうか
私
(
わたし
)
のお
願
(
ねが
)
いをきいてください。いつまでも
冬
(
ふゆ
)
のつづきますように……。
煙突と柳
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
しばらく使わなかった
暖炉
(
だんろ
)
の鉄蓋をあけ、火かき棒を突込むと、酸っぱいような臭いがした。
千早館の迷路
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
わしは、ここにあるいすも、こしかけも、
安楽
(
あんらく
)
いすも、いや、
暖炉
(
だんろ
)
の火かきさえも、つぎつぎと
罪
(
つみ
)
あるものになげつけて、ここにはとっくになにひとつなくなっておったろう。
天国へいった仕立屋さん
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
暖炉
(
だんろ
)
の
瓦斯
(
がす
)
は
颯々
(
さっさつ
)
と
霜夜
(
しもよ
)
に
冴
(
さ
)
えて、一層
殷紅
(
いんこう
)
に、
且
(
か
)
つ
鮮麗
(
せんれい
)
なるものであつた。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
貴方
(
あなた
)
は一
生涯
(
しょうがい
)
誰
(
だれ
)
にも
苛責
(
かしゃく
)
されたことは
無
(
な
)
く、
健康
(
けんこう
)
なること
牛
(
うし
)
の
如
(
ごと
)
く、
厳父
(
げんぷ
)
の
保護
(
ほご
)
の
下
(
もと
)
に
生長
(
せいちょう
)
し、それで
学問
(
がくもん
)
させられ、それからして
割
(
わり
)
のよい
役
(
やく
)
に
取付
(
とりつ
)
き、二十
年以上
(
ねんいじょう
)
の
間
(
あいだ
)
も、
暖炉
(
だんろ
)
も
焚
(
た
)
いてあり
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
左の方の柱には古笠と
古蓑
(
ふるみの
)
とが掛けてあつて、右の方の
暖炉
(
だんろ
)
の上には写真板の手紙の額が黒くなつて居る。北側の
間半
(
けんはん
)
の壁には坊さんの書いた
寒山
(
かんざん
)
の詩の小幅が掛つて居るが極めて渋い字である。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
男は、
暖炉
(
だんろ
)
の前のひじかけいすに、ふかぶかと
体
(
からだ
)
をうずめて、ほうたいだらけの頭をかしげ、うとうとと、いねむりをしているらしかった。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
あのとおり、
罎
(
びん
)
は
蓋
(
ふた
)
をしたまま
暖炉
(
だんろ
)
の上に置いたるじゃないの。感心でしょう。だけど、あたし、自慢はできないわ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
彼の談話に耳を傾ける
宵
(
よい
)
を
更
(
ふか
)
したのですが、いかに多くの人が押しかけても、彼の
坐
(
すわ
)
るべき場所は必ず
暖炉
(
だんろ
)
の
傍
(
そば
)
で、彼の腰をおろすのは必ず一箇の
揺椅
(
ゆりいす
)
ときまっていました。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私たちは葉巻の煙の中に、しばらくは
猟
(
りょう
)
の話だの競馬の話だのをしていましたが、その内に一人の友人が、吸いさしの葉巻を
暖炉
(
だんろ
)
の中に抛りこんで、私の方へ振り向きながら
魔術
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そして、さっさと
暖炉
(
だんろ
)
のそばにこしかけて、バターパンとおかしを食べはじめました。
森のなかの三人の小人
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
暖炉
(
だんろ
)
の上においてある音叉をとりあげた。それは非常に振動数の高いもので、ガーンと叩いても、殆んど振動音の聴えぬ程度のものだった。しかしその音叉にも別に異状はなかった。
暗号音盤事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
デミトリチは
彼等
(
かれら
)
が
厨房
(
くりや
)
の
暖炉
(
だんろ
)
を
直
(
なお
)
しに
来
(
き
)
たのであるのは
知
(
し
)
っていたのであるが、
急
(
きゅう
)
に
何
(
なん
)
だかそうでは
無
(
な
)
いように
思
(
おも
)
われて
来
(
き
)
て、これはきっと
警官
(
けいかん
)
が
故
(
わざ
)
と
暖炉職人
(
だんろしょくにん
)
の
風体
(
ふうてい
)
をして
来
(
き
)
たのであろうと
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そして、暗号の数字と一致するものは、あの
暖炉
(
だんろ
)
のマントルピースのまわりに刻んである、飾りの玉の外にないことを確めました。アトリエに備えつけた暖炉にしては、あの飾りは不相応に立派です。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
次の
間
(
ま
)
へ来て見ると、果して
野村
(
のむら
)
が
栗原
(
くりはら
)
の娘と並んで、大きな
暖炉
(
だんろ
)
の前へ
佇
(
たたず
)
んでいた。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
暖炉
(
だんろ
)
は
塞
(
ふさ
)
いだままの一尺前に、
二枚折
(
にまいおり
)
の
小屏風
(
こびょうぶ
)
を穴隠しに立ててある。窓掛は
緞子
(
どんす
)
の
海老茶色
(
えびちゃいろ
)
だから少々全体の装飾上調和を破るようだが、そんな事は道也先生の眼には
入
(
い
)
らない。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しぶい
蔦
(
つた
)
の模様の壁紙、牧場の朝を画いてあるうつくしい油絵の大きな
額縁
(
がくぶち
)
、
暖炉
(
だんろ
)
の上の大理石の棚の上には、黄金の台の上に、奈良朝時代のものらしい木彫の
観世音菩薩
(
かんぜおんぼさつ
)
が立っている。
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
すると、小人たちは、おはいり、といいました。そこで、むすめはへやにはいって、
暖炉
(
だんろ
)
のそばのいすにこしをおろしました。そして、からだをあたためて、朝ごはんを食べようと思いました。
森のなかの三人の小人
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
部屋は
暖炉
(
だんろ
)
で暖めてある。きょうは
外面
(
そと
)
でも、そう寒くはない。風は死に尽した。枯れた木が音なく冬の日に包まれて立っている。三四郎は画室へ導かれた時、
霞
(
かすみ
)
の中へはいったような気がした。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“暖炉”の意味
《名詞》
暖炉(だんろ)
火を焚いて室内を暖めるための炉。
(出典:Wiktionary)
“暖炉”の解説
暖炉(だんろ、煖炉とも、Fireplace)とは、室内に作りつけられた暖房装置の一種である。暖房としての役割は副次的または無く、主に部屋の装飾として設置される場合もある。
(出典:Wikipedia)
暖
常用漢字
小6
部首:⽇
13画
炉
常用漢字
中学
部首:⽕
8画
“暖炉”で始まる語句
暖炉棚
暖炉台
暖炉縁
暖炉造
暖炉前飾
暖炉職人