“取付”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とりつ27.0%
とっつき16.2%
とっつ10.8%
とりつけ10.8%
とッつ10.8%
とりつく5.4%
とつつき5.4%
とつつ2.7%
とりつい2.7%
とりつか2.7%
とりつき2.7%
とツつ2.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
唄の声はまさしくお葉であった。重太郎は枯柳にひし取付とりついて、酔えるように耳をすましていた。雪はいよいよ降頻ふりしきって、重太郎も柳も真白まっしろになった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
宗助はいつものように縁側えんがわから茶の間へ行かずに、すぐ取付とっつきふすまを開けて、御米の寝ている座敷へ這入はいった。見ると、御米は依然として寝ていた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そうして右手の取付とっつきの部屋の前まで来ると、そこに今一人待っていた看護婦が扉を開いて、私たちと一緒に内部なかに這入った。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
が、もし復讐ふくしゅうのために専務の預金の食い込みを吹聴ふいちょうするとすると、取付けを食うのは分っていた。だが、取付とりつけを食って困るのは、銀行よりも預金者だった。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
「その方が心持こころもちい、命を取ったんだと、そんなにせずともの事を、わたし訴人そにんしたんだから、うらみがあれば、こっちへ取付とッつくかも分らずさ。」
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
くらひに來りしにかれ如才じよさいなき者なれば我身代に取付とりつくは此時なりと思ひ愛想あいさうよく酒もまけつぎければ其の繁昌はんじやう大方ならず日毎に三十貫文餘りの利潤りじゆんを得て忽ちに大身代となりて酒店をもひらしかど昔しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
宗助そうすけ何時いつものやう縁側えんがはからちやかずに、すぐ取付とつつきふすまけて、御米およねてゐる座敷ざしき這入はいつた。ると、御米およね依然いぜんとしててゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
今更おかくしなさるには及びませんさ。若い男と女が一間ひとまに入つて、取付とつつ引付ひつつきして泣いたり笑つたりしてをれば、訳は大概知れてをるぢや御座いませんか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
何処どこから取付とりついいか実にけが分らない。しかし年月をれば何か英書を読むと云う小口こぐちが立つに違いないが、今の処では何とも仕方がない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
急ぎて當所たうしよ迄來りし所此病氣に取付とりつか假初かりそめの樣なれどもハヤ二年越しの長煩ながわづらひに貯はへ殘らずつかひ捨其上お花のくしかうがひ迄も賣盡うりつくし外に詮方せんかたも無りしに此家の主人がお花の苦勞する樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
朝日のさすのに裸体はだかでも歩けないから、宿しゅく取付とりつきに古着屋がありますから、百五十文出して襦袢を一枚買って、帯がないから縄を締め、あまる銭で木銭宿きせんやどへ泊り
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
『早くけえつて寝るこつた。恁麽こんだ時何処ウ徘徊うろつくだべえ。天理様拝んで赤痢神が取付とツつかねえだら、ハア、何で医者いしやくすりが要るものかよ。』
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)