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取付
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とりつ
ふりがな文庫
“
取付
(
とりつ
)” の例文
唄の声は
正
(
まさ
)
しくお葉であった。重太郎は枯柳に
犇
(
ひし
)
と
取付
(
とりつ
)
いて、酔えるように耳を
澄
(
すま
)
していた。雪はいよいよ
降頻
(
ふりしき
)
って、重太郎も柳も
真白
(
まっしろ
)
になった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
取付
(
とりつ
)
きの悪い事なら日本一だろう。こんな男には何でも構わない。殴られたらなぐり返す覚悟でポンポン云ってしまった方が、早わかりするものだ。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そして、どんな熱病に
取付
(
とりつ
)
かれてもきつと死んでくれるな。
長吉
(
ちやうきち
)
、安心しろ。
乃公
(
おれ
)
がついてゐるんだぞと心に
叫
(
さけ
)
んだ。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
と云いつゝ短刀を右手の
肋
(
あばら
)
へ引き廻せば、おいさは
取付
(
とりつ
)
き
嘆
(
なげ
)
きましたが、丈助は立派に
咽喉
(
のど
)
を
掻切
(
かきき
)
り、相果てました。
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
晩成先生もさすがに
慌
(
あわ
)
て
心
(
ごころ
)
になって少し駆け出したが、幸い
取付
(
とりつ
)
きの農家は
直
(
すぐ
)
に
間近
(
まぢか
)
だったから、トットットッと走り着いて、農家の常の土間へ飛び込むと
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
浮
(
う
)
き
袋
(
ぶくろ
)
に
取付
(
とりつ
)
いた
難破船
(
なんぱせん
)
の
沖
(
おき
)
のやうに、
提灯
(
ちやうちん
)
一
(
ひと
)
つをたよりにして、
暗闇
(
くらやみ
)
にたゞよふうち、さあ、
時
(
とき
)
かれこれ、やがて
十二時
(
じふにじ
)
を
過
(
す
)
ぎたと
思
(
おも
)
ふと、
氣
(
き
)
の
所爲
(
せゐ
)
か、その
中心
(
ちうしん
)
が
通
(
とほ
)
り
過
(
す
)
ぎたやうに
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
貴方
(
あなた
)
は一
生涯
(
しやうがい
)
誰
(
だれ
)
にも
苛責
(
かしやく
)
された
事
(
こと
)
は
無
(
な
)
く、
健康
(
けんかう
)
なること
牛
(
うし
)
の
如
(
ごと
)
く、
嚴父
(
げんぷ
)
の
保護
(
ほご
)
の
下
(
もと
)
に
生長
(
せいちやう
)
し、
其
(
そ
)
れで
學問
(
がくもん
)
させられ、
其
(
それ
)
からして
割
(
わり
)
の
好
(
よ
)
い
役
(
やく
)
に
取付
(
とりつ
)
き、二十
年以上
(
ねんいじやう
)
の
間
(
あひだ
)
も、
暖爐
(
だんろ
)
も
焚
(
た
)
いてあり
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
僕の五官は
疫病
(
えやみ
)
にでも
取付
(
とりつ
)
かれたように、あの
女子
(
おなご
)
のために
蹣跚
(
よろめ
)
いてただ一つの的を
狙
(
ねら
)
っていた。この的この成就は
暗
(
やみ
)
の
中
(
うち
)
に
電光
(
いなずま
)
の閃くような光と薫とを持っているように、僕には思われたのだ。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
私
(
わし
)
も人に損を掛けられて仕様がねい、何かすべいと思っていると、段々聞けば県庁が前橋へ引けるという評判だから、
此所
(
こゝ
)
で
取付
(
とりつ
)
かなければなんねいから、
洋物屋
(
ようぶつや
)
をすれば
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
が、幸いに彼の身体には例の
毛綱
(
けづな
)
が結び付けてあるので、市郎は岩から
墜
(
お
)
ちる途端に、早くも綱に
取付
(
とりつ
)
いてずるずると滑り
墜
(
お
)
ちると、二三
間
(
げん
)
にして又もや
扁平
(
ひらた
)
い岩の上に
止
(
とま
)
った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
貴方
(
あなた
)
は一
生涯
(
しょうがい
)
誰
(
だれ
)
にも
苛責
(
かしゃく
)
されたことは
無
(
な
)
く、
健康
(
けんこう
)
なること
牛
(
うし
)
の
如
(
ごと
)
く、
厳父
(
げんぷ
)
の
保護
(
ほご
)
の
下
(
もと
)
に
生長
(
せいちょう
)
し、それで
学問
(
がくもん
)
させられ、それからして
割
(
わり
)
のよい
役
(
やく
)
に
取付
(
とりつ
)
き、二十
年以上
(
ねんいじょう
)
の
間
(
あいだ
)
も、
暖炉
(
だんろ
)
も
焚
(
た
)
いてあり
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
目立たぬやうに
取付
(
とりつ
)
けてある生垣の間の木戸から出入をするのである。
人妻
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
それから
取付
(
とりつ
)
いてこれだけになったのは存じて居りますし、また助右衞門の
家
(
うち
)
は其の金を失ってから
微禄
(
びろく
)
いたして、今は
裏家住
(
うらやずま
)
いするようになったが、
可愛相
(
かあいそう
)
にと
敵同志
(
かたきどうし
)
でございますが
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
取
常用漢字
小3
部首:⼜
8画
付
常用漢字
小4
部首:⼈
5画
“取付”で始まる語句
取付端
取付虫