取付とっつ)” の例文
そうして右手の取付とっつきの部屋の前まで来ると、そこに今一人待っていた看護婦が扉を開いて、私たちと一緒に内部なかに這入った。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その姿を一目見るが早いか、女は何の取付とっつきもなく、和尚の前へ手をついて、震える声を抑えながら、「わたしはこの子の母親でございますが、」
捨児 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
実アわっちア寒さの取付とっつきで困るから嚊をだしに二三両強請ろうと思って来たんだが、おめえさんの拳骨で打たれた時は身体が痺れて口も何も利けなくなったが、妙な所を打つんだねえ
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そうしてその取付とっつきの百姓家の蔭から、田に添うた桑畑の若い葉の間を、女と並行した方向に曲り込むと、急に身を伏せて、獲物を狙うけもののように、線路の方へ走り出したが
空を飛ぶパラソル (新字新仮名) / 夢野久作(著)
國「寒さの取付とっつきに立派な人にたれて仕合せよ、悪い跡はいゝやい」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)