“温”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ぬく25.1%
あたた21.3%
ぬる14.4%
あたたか9.7%
あたゝ3.8%
あった3.6%
3.4%
あたゝか2.4%
あつた1.6%
おとな1.2%
あったか1.0%
おと1.0%
ぬくも1.0%
たず0.8%
0.6%
あた0.6%
ヌク0.6%
あたたま0.6%
あたゝま0.6%
おん0.6%
あっ0.4%
おだや0.4%
あたゝまり0.4%
あたゝめ0.4%
あつ0.4%
うん0.4%
たづ0.4%
ぬくもり0.4%
あたゝむ0.2%
あたため0.2%
あたヽ0.2%
あったま0.2%
あったまり0.2%
あつたま0.2%
0.2%
おだ0.2%
つゝ0.2%
ぬるま0.2%
ほの0.2%
やさし0.2%
をとな0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
新九郎は身をすくませた。するすると闇を探ってきたお延のぬくい——刎ね返されないような魅力の腕が、新九郎の頸を深く抱きしめた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
世界せかい植物しょくぶつあいするひとたちで、おそらく、わたしをっていないものはあるまいね。わたしは、みなみあたたかなしまはやしなかそだちました。
みつばちのきた日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
水がぬるみ、草がえるころになった。あすからは外の為事が始まるという日に、二郎が邸を見廻るついでに、三の木戸の小屋に来た。
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
かのあたたかうれしい愛情は、単に女性特有の自然の発展で、美しく見えた眼の表情も、やさしく感じられた態度もすべて無意識で、無意味で
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
かうしてはやしなか空氣くうきは、つねはやしそとくらべて、晝間ちゆうかんすゞしく、夜間やかんあたゝかで、したがつてひるよるとで氣温きおんきゆうかはることをやはらげます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
「いくら寒くっても、ふところさえあったかけりゃあ驚くこともねえが、陽気は寒い。ふところは寒い。内そとから責められちゃあやり切れねえ」
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
るいものがこみ上って来たかと思うと、ドロッと口の中に咳出された。吐くと、白い砂の上に鮮やかに赤かった。頭上で声がした。
ひとりすまう (新字新仮名) / 織田作之助(著)
お二人のお心からの純眞なあたゝかい御同情を、あなたの福音の道にかなつた慈善のお心と同じやうに、本當に嬉しく有難く思つてをります。
紅葉を焚いて、ふすふすと白うくすぼる煙のかげで、あつたかいぞと私がかがめば、妻も双手もろてをかざして蹲む。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
どうしたけな?』と囁いてみたが返事がなくて一層歔欷すゝりなく。と、平常ふだんから此女のおとなしく優しかつたのが、俄かに可憐いじらしくなつて來て、丑之助は又
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
これはあったかくして蒸らせるのですから布巾の代りにフランネルか毛布けっとならなお結構です。その木鉢をく温い処へ八時間ほどそうっと置きます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
それからお吉は、また二人が餘りおとなしくして許りゐるので、店に行つて見るなり、少し街上おもてを歩いてみるなりしたらどうだと言つて
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
真ん中に切った炉にはすで瀬戸ひきの鉄瓶がかけられ、いい加減ぬくもっている。無論、中味はただの湯ではない。
(新字新仮名) / 犬田卯(著)
骨董レコードの本当の値打は、電気吹込みの新しいレコードを聴き尽して、ふるきをたずねる意味においてこそ重要なのである。
安。正月じゃないか。殺生は止せよ。いまにッたけえ粥を喰ったら、虱にも正月させて、粥を喰った人間の肌を
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
熱い灰の中で焼いた蕎麦餅そばもちだ。草鞋穿わらじばき焚火たきびあたりながら、その「ハリコシ」を食い食い話すというが、この辺での炉辺ろばたの楽しい光景ありさまなのだ。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
また一時イツトキ盧堂イホリドウを𢌞つて、音するものもなかつた。日は段々けて、小晝コビルヌクみが、ほの暗い郎女の居處にも、ほつとりと感じられて來た。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
荒尾譲介は席のあたたまひま手弄てまさぐりに放ちもらぬ下髯したひげの、長く忘れたりし友の今を如何いかにとるにいそがしかり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ヤクツク人は夜通し煖炉を焚いてゐるが、それでもあたゝまりは長くは持たない。だから夜中に寒くなると、誰か早く目の醒めたものが薪をくべ足すのである。
以上いじようはなししたのは、つゞめていふとあつ𤍠帶ねつたいからだんおんかんといふふうにその各地方かくちほうてきしてよくそだ森林しんりん區域くいきと、そのたい特徴とくちようとでした。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
「いいからあげてやんなよ、傘は友助んとこへでも忘れて来たんだろう、ああ人ごこちがついたら腹が減ってきた、早いとこそいつをあっためて貰うべえ」
柳橋物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
年輩は五十五六、死顏はまことにおだやかで、娘ゆかりに似てなか/\に立派な中老人でもあります。
商人はふところにありてあたゝまりのさめざる焼飯の大なるを二ツ食し、雪にのどうるほして精心せいしんすこやかになり前にすゝんで雪をこぎけり。
農夫はしば/\おくるるゆゑつひにはすてひとりさきの村にいたり、しるべの家に入りて炉辺ろへんあたゝめて酒をくみはじめ蘇生よみがへりたるおもひをなしけり。
「人聞きの惡いことを言はないで下さいよ。香ひの良い藥草を、一つ/\紙に包んで、綺麗な人から貰つたんですよ、それを紙入に入れて、内懷うちふところであつためてあるんだが——」
青年は不思議に命をまっとうしたばかりでなく、三十を越えても死なないで、無事に天寿を保った。この渡しは今でもうん州の瑞安ずいあんにある。
昨日の美をして、明日の美をなし得るならば、望みはこれに越したことはない、古きをたづねて新しきを知ると云ふ諺である。
日本趣味映画 (新字旧仮名) / 溝口健二(著)
いつもより光沢つやの好い頬をに照らして、湯のぬくもりのまだ抜けないえりを少し開けるように襦袢じゅばんを重ねていた。長い襟首がよく見えた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
雪中をする人陰嚢いんのう綿わたにてつゝむ事をす、しかせざれば陰嚢いんのうまづこほり精気せいきつくる也。又凍死こゞえしゝたるを湯火たうくわをもつてあたゝむればたすかる事あれども武火つよきひ熱湯あつきゆもちふべからず。
これは火気を最も経済的に使うようにしたので普通の火鉢だと鍋の底ばかり下の方からあたためるから火力のかたが悪い。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
幾十年と無く毎朝まいあさめた五種香しゆかうにほひがむつと顔を撲つ。阿母さんが折々一時間も此処こヽに閉ぢこもつて出て来ぬ事がある丈に、家中うちヾうこの内陣計りはあたヽかいやうななつかしい様な処だ。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
「電気風呂はよくあったまるね」などと、とにかく珍しもの好きの人気を博することは非常なものであったが、その反対に、入るとピリピリと感電するのを気味悪きみわるがる人々は、それを嫌って
電気風呂の怪死事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
金のつるがあって、一式のことに落籍ひかして素人にしてやろうと、内々思ってました内は、何かしら心の底にあったまりがあったのを、断然、使つかいを帰した上、夫人の心も知れて見れば、いかに棄身すてみになった処で
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「もうこゝの火はいゝ。斎木君、寝室ベツドあつたまたら、僕は寝るから……。湯タンポを入れさせてくれ」
(新字旧仮名) / 岸田国士(著)
の白い一片ひとかけを紙に受けて、「さあ、これでめて上げるよ。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
二人は手をとりあってうれしそうに話したが、その言葉はおだやかでしとやかであった。二人はそこでひどく愛しあって、はなれることができないようになった。
封三娘 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
こんなことからおさんも、去年きよねん……當座たうざ、かりに玉川たまがはとしてく……其家そのいへ出入ではひりにけたやうだつたが、主人あるじか、旦那だんならず、かよつてるのが、謹深つゝしみぶかつゝましやかな人物じんぶつらしくて
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
その側から掻巻かいまきをかかげ、入り込もうとしている久米八は、さぞ自分が残した、ほのかみに眉をひそめることであろう。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
鬼の女房に天女だけれど、今日こんにちぢや大きに日済ひなしなどを貸してゐるかも知れん。ええ、貴様、そんな事をしちや可かんよ。けれども高利貸アイスなどは、これでかへつて女子をんなにはやさしいとね、間、さうかい。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
さればといつて、別に話すでもなく、細めた洋燈ランプの光に、互ひの顏を見てはをとなしく微笑ほゝゑみ交換かはしてゐた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)