“温(あたゝむ)” の例文
雪中を歩(ほ)する人陰嚢(いんのう)を綿(わた)にてつゝむ事をす、しかせざれば陰嚢(いんのう)まづ凍(こほり)て精気(せいき)尽(つく)る也。又凍死(こゞえしゝ)たるを湯火(たうくわ)をもつて温(あたゝむ)れば助(たすか)る事あれども武火(つよきひ)熱湯(あつきゆ)を用(もち)ふべからず。
命(いのち)たすかりたるのち春暖(しゆんだん)にいたれば腫(はれ)病(やまひ)となり良医(りやうい)も治(ぢ)しがたし。凍死(こゞえしゝ)たるはまづ塩(しほ)を熬(いり)て布(ぬの)に包(つゝみ)しば/\臍(へそ)をあたゝめ稿火(わらび)の弱(よわき)をもつて次第(しだい)に温(あたゝむ)べし、助(たすか)りたるのち病(やまひ)を発(はつ)せず。
人の凍死(こゞえし)するも手足の亀手(かゞまる)も陰毒(いんどく)の血脉(けちみやく)を塞(ふさ)ぐの也。俄(にはか)に湯火(たうくわ)の熱(ねつ)を以て温(あたゝむ)れば人精(じんせい)の気血(きけつ)をたすけ、陰毒(いんどく)一旦(いつたん)に解(とく)るといへども全(まつた)く去(さら)ず、陰(いん)は陽(やう)に勝(かた)ざるを以て陽気(やうき)至(いたれ)ば陰毒(いんどく)肉(にく)に暈(しみ)て腐(くさる)也。