“温暖”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あたたか59.3%
あたゝか14.8%
あたた7.4%
あったか3.7%
あたたかい3.7%
あたゝかさ3.7%
おんだん3.7%
をんだん3.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
こういう友達と一緒に、捨吉は薄暗い世界を辿たどる気がした。若いものを恵むような温暖あたたかい光はまだ何処からも射して来ていなかった。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
御茶漬すぎ(昼飯後)は殊更温暖あたゝかく、日の光が裏庭の葱畠ねぎばたけから南瓜かぼちやを乾し並べた縁側へ射し込んで、いかにも長閑のどかな思をさせる。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
明後日あさッて初酉はつとりの十一月八日、今年はやや温暖あたたかく小袖こそで三枚みッつ重襲かさねるほどにもないが、夜がけてはさすがに初冬の寒気さむさが身に浸みる。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
うまくないの。これを飲むと温暖あったかになるんだけれども……。」と、お葉は笑った、「じゃア、あたしけて上げますよ。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
飯田の町には綺羅きらを飾った沢山の人達が出盛っていた。どうやら祭礼でもあるらしく軒並のきなみに神灯が飾ってある。この土地は気候が温暖あたたかいと見えて町には雪も積もっていない。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
新しい膳に向つて、うまさうな味噌汁のにほひを嗅いで見た時は、第一この寂しげな精舎しやうじやの古壁の内に意外な家庭の温暖あたゝかさ看付みつけたのであつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
是等の中には煮焚にたきの爲、温暖おんだんを取らん爲、又は屋内おくないを照さん爲、故意に焚き火せし跡も有るべけれど、火災くわさいの爲屋根のちたる跡も有らん。屋根の事は次項に記すべし。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
ヒガネとむ、西風にしかぜさむきがたう熱海あたみ名物めいぶつなりとか。三島街道みしまかいだう十國峠じつこくたうげあり、今日こんにちかぜ氣候きこう温暖をんだん三度さんどくもごと湯氣ゆげいてづるじつ壯觀さうくわん御座候ござさふらふ後便こうびん萬縷ばんる敬具けいぐ
熱海の春 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)