“あたゝか”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
58.0%
24.0%
温暖8.0%
2.0%
暖和2.0%
温和2.0%
温烘2.0%
2.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
かれ眼前がんぜんこほりぢては毎日まいにちあたゝかひかり溶解ようかいされるのをた。かれにはそれがたゞさういふ現象げんしやうとしてのみうつつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ズボリと踏込ふみこんだ一息ひといきあひだは、つめた骨髓こつずゐてつするのですが、いきほひよく歩行あるいてるうちにはあたゝかります、ほか/\するくらゐです。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
明後日が初酉の十一月八日、今年は稍温暖あたゝかく小袖を三枚みツつ重襲かさねる程にもないが、夜が深けては流石に初冬の寒気さむさが感じられる。
里の今昔 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
なめらかなる大理石の床は、蝋燭の光を反射し、鐵の格子をめぐらしたる火鉢(スカルヂノ)は、程好きあたゝかさを一間の内にわかてり。
三人は何事をかさゝやきあひしが、小男はあざみ笑ふ如き面持して我に向ひ、あたゝかき夕のかはりに寒き夜をも忍び給へといひて立ちぬ。かれ驅歩かけあしの蹄の音をカムパニアの廣野に響かせて去りぬ。甲。
『しかし、今年は暖和あたゝかい。信州で斯様こんなことは珍しい。斯の位の空気を吸ふのは平気なものだ。御覧な、其証拠には、信州へ来てから風邪一つ引かないぢやないか。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
肇さんは、かう云ツて、温和あたゝかい微笑を浮かべ乍ら、楠野君の顏を覗き込んだ。
漂泊 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
暮れてから血が少し下降して、即ち腦は極すこしく貧血する。試みに夜間すや/\と美睡せる健康の童子の額に手を觸れて見よ、必らず清涼である。そして身體は温烘あたゝかである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
銀之助は其朝の亭主役、早くから来てそれ/″\の用意、万事無造作な書生流儀が反つてあたゝかい情を忍ばせたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)