“香”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
24.9%
にお10.8%
におい10.5%
こう10.3%
かお8.3%
かおり5.8%
にほひ5.4%
かう5.3%
かんば3.6%
かん3.0%
(他:113)12.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“香”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 小説 物語59.6%
文学 > 日本文学 > 詩歌13.3%
文学 > 日本文学 > 小説 物語13.3%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
それを小暗おぐらく包もうとする緑の奥には、重いが沈んで、風に揺られる折々を待つほどに、葉は息苦しく重なり合った。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「どこまでずらかりやがっても、おいらあ奴のをきいてるんだから世話あねえのさ。親分、あの仙公て小僧は藁臭えぜ——。」
箱屋が来て、薄べりに、紅裏におう、衣紋を揃えて、長襦袢で立った、お千世のうしろへ、と構えた時が、摺半鐘すりばんで。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一重の梅や八重桜、桃はまだしも、菊の花、薄荷はっかの花のも及ばぬまでこまかきを浮き彫にしてにおばか
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
彼がへやの中に入って来た時に、どこか強健なきびきびしたような、東海岸独特のにおいが、ただよって来るようであった。
ところがどこにも見当たらなくて、とうとういちばんしまいにまさかと思って土瓶の蓋をとったら、妙なにおいがぷんとしました。
暗夜の格闘 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
残燈ありあけ暗く床柱とこばしらの黒うつややかにひかるあたり薄き紫のいろめて、こうかおり残りたり。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
次女はもったい振り、足の下の小さい瀬戸の火鉢に、「梅花」というこうを一つべて、すうと深く呼吸して眼を細めた。
ろまん灯籠 (新字新仮名) / 太宰治(著)
こまやかにを流したる大理石の上は、ここかしこに白き薔薇ばらが暗きをれてやわらかきかおりを放つ。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そしていまだかつていだことのない美妙なかおりに、包み込まれ、恍惚うっとりとなり、ほとんど気を失いかけていた。
このたびは花漬なけれど、やみはあやなしあやにくに梅の花のかおりは箱をれてする/\とまくらに通えば
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そして、そこの酒場は影のような人々で一ぱいですし、その人々はまた、土のかおりと官能の夢しか何ひとつ持ち合せがないのです。
踊る地平線:11 白い謝肉祭 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
くろあたまが丁度はちかげになつて、花からにほひが、い具合にはなかよつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかおもて一脈いちみやく線香せんかうにほひに、學士がくしはハツとわれかへつた。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
寒々さむざむと揺れてゐるものは、孟宗のほづえ、ささ栗のそばのかやの木、枯枝の桐の莟、墓原のかうのけむり。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
さうして室内しつないなにかうゆらすやうにとニキタにめいじて立去たちさつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
よしんば自分の過去にはかんばしからぬ歴史があっても、一子久吉はまぎれもない水野家の嫡流、当然家をつぐべきはこの子供だ。
彼が在る所、四囲みな彼が如き人を生ず、これ何に由りて然るか、薔薇ばらの在る所、土もまたかんばしというにあらずや。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
元々、清水長左衛門宗治殿という武士もののふは、骨までかんばしいお人だったに違いない。こんどの講和に際しても、
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
立て続けにも一口飲んで、徳利を膝の上に両手で握りしめたまま、口の中に残ったかんばしい後味あとあじを、ぴちゃりぴちゃりと舌鼓うった。
特殊部落の犯罪 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
また天皇、三宅の連等の祖先のタヂマモリを常世とこよの國に遣して、時じくのかぐの木の實を求めさせなさいました。
いわばあなたとの最初の邂逅かいこうが、こんなにも、海を、月を、夜を、かぐわしくさせたとしか思われません。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
若しその由來を知らずば誰か信ぜん、果實このみと水のかをり、劇しき慾を生みて、かく力をあらはさんとは 三四—三六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
手向たむけながらほとんゆきむろかとおもふ、しかかをりたかき、花輪はなわの、白薔薇しろばら
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その時、突然、私の鼻を打つたものは、若葉のにほひから明確に分離してゐる、あのカシミヤブーケの高いかをりであつた。
アリア人の孤独 (新字旧仮名) / 松永延造(著)
また蝋梅ろうばいのようにもっとはやゆきなかかをりたかくほこるものもあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
かきはな時分じぶんくと、あのあまにほひのするちひさなはなが一ぱいちてます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
路は小いもりに入つて、月光つきかげさへぎつた青葉が風もなく、四辺あたりにほはした。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
といって、女が出て行ってしまったあとで、竜之助は、自分の身に残るうつりといったようなものに、苦笑いをしました。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
鐵柵の中の老木の櫻は、疾くに花吹雪を作つて、若葉の間に實が結びかけてゐるけれど、花の匂ひはまだ、何處にか移りを留めてゐるやうである。
太政官 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
またトリックにしても、あまりに凝りすぎて尋常な読者にはとうてい端倪たんげいすべからざるようなのもかぐわしくない。
現下文壇と探偵小説 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
濃くかぐわしい、その幾重いくえ花葩はなびらうちに、幼児おさなごの姿は、二つながら吸われて消えた。
若菜のうち (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……天麩羅てんぷらとも、蕎麦そばとも、焼芋とも、ぷんと塩煎餅のこうばしさがコンガリと鼻を突いて、袋を持った手がガチガチと震う。
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やきたてのこうばしいにおい戸外そとまでぷんぷんする。
二少女 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
あき野分のわけしば/\して、ねむられぬながの、あささむく——インキのかほり
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
るからしてすみれいろつやゝかにみつのやうなかほりがして如何いかにも甘味うまさうである。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
數日の後、我はマリアと柑子かうじの花かぐはしき出窓の前に對坐して、この可憐なる少女の清淨なる口の、その清淨なる情を語るを聞きつ。
烈しき日に燒かれたるカムパニアの瘠土に比ぶるときは、この園の涼しさ、かぐはしさ奈何いかにぞや。
此不自然な昔人の考へを、下に持つた物語として見なければ、カグ木実コノミではないが、匂ひさへもぎ知ることが出来ないであらう。
妣が国へ・常世へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
出石イヅシ人の一人で国の名を負うたたぢまもりの、時じくのカグ木実コノミを取り来よとの仰せで渡つたのは、橘実るハヽが国なる南の支那であつた。
妣が国へ・常世へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
水殿スヰデン カゼキタリテ珠翠シユスヰカンバ
武者窓日記 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
吹イテ海花トッテ遍界ヘンカイカンバ
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
王将、金銀、けいきょう、飛車、角、九ツの、数はかかる境にもちがいはなかった。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
くやしいね。恥ずかしいなら恥ずかしいと、はっきりおっしゃりゃいいんだ。てれかくしに黙らなくともいいんですよ。だいいち、将棋が桂馬ばかりでさせると思っていらっしゃるのがもののまちがいなんだ。金銀飛車角、きょう、あっしなんぞはただの歩かもしれねえが、歩だってけっこう王手はできるんですよ。
そのうち、かうばしいやうな、とほくで……海藻かいさうをあぶるやうなにほひつたはる。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼は唯妙ただたへかうばし甘露かんろの夢にひて前後をも知らざるなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
また天皇、三宅みやけむらじ等が祖、名は多遲摩毛理たぢまもりを、常世とこよの國に遣して、時じくのかくを求めしめたまひき。
その時じくのかくの木の實は今の橘なり。
パリス (廟の前へ進みて)なつかしいはな我妹子わぎもこはなこの新床にひどこうへいて……あゝ、天蓋てんがいいし土塊つちくれ……そのいた草花くさはな夜毎よごとかほみづそゝがう。
こりれる塔になよりそ川隅かわくま屎鮒くそぶなはめるいたき女奴めやつこ (巻十六)
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
今までちりぼっけだった職人の腹掛も雨に打たれておやかな紺の色になって赤っぽい紅葉や山茶花の間を通る時に腹掛ばかりが美くしい。
通り雨 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
三訪ふ人稀の石ブミに 霧や不断のコウをたき
テレモピレノ (新字旧仮名) / 槙村浩(著)
(一) 将棋の【歩】にもいろいろあるが敵王頭にピシリと捨身に打って出る【歩】もあれば、マタ、棋士が手に詰まった時、ひょいと突く【ヤリ】の上の【歩】もある。