“香”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
24.3%
にお11.2%
こう10.7%
におい10.5%
かお8.6%
かおり5.7%
にほひ5.1%
かう4.9%
かんば4.1%
かん3.2%
かをり2.2%
かぐ2.2%
かを1.5%
にほ1.4%
0.8%
かほり0.6%
かぐわ0.6%
こうば0.6%
かぐは0.3%
カグ0.3%
カンバ0.3%
きょう0.2%
かく0.1%
かうば0.1%
かうばし0.1%
かほ0.1%
こり0.1%
0.1%
コウ0.1%
ヤリ0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
其處そこふるちよツけた能代のしろぜんわんぬり嬰兒あかんぼがしたか、ときたならしいが、さすがに味噌汁みそしるが、ぷんとすきはらをそゝつてにほふ。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さて妻が子に食を与え隣家へうすつきに往くとて、子を伴れ行くを忘れた。子の口が酥酪そらくにおうをぎ付けて、毒蛇来り殺しに掛かる。
「今朝の味噌汁が悪うございました。飯にもこうものにも仔細しさいはなかった様子で、味噌汁を食わないものは何ともございませんが——」
いい芳香におい臓腑はらわたのドン底までみ渡りましたよ。そうなると香水だか肌のにおいだか解かれあしません。おまけにハッキリした日本語で
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「いいかおりがする。あれは、すずらんのはなにおいだよ。」と、おとうさんはほどちかくに、しろいているはなつけておしえられました。
さまざまな生い立ち (新字新仮名) / 小川未明(著)
衣服を湿らせてしまったために、高いかおりはまして一つになって散り広がるのがえんで、村人たちは高華な夢に行きったように思った。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
舎監の赤い髭を憶出した。食堂の麦飯のにほひを憶出した。よく阿弥陀あみだくじに当つて、買ひに行つた門前の菓子屋の婆さんの顔を憶出した。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
晶子は三越で買つて来た白地しろぢかうの図と菊とを染めた友禅と、京都の茅野蕭蕭ちのせうせう君に託して買つて貰つた舞扇まひあふぎの一対とを夫人に捧げた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
実はあまりかんばしい話ではありませんが、若干おもしろいところもありますので、新年そうそう皆さんのお耳を汚させていただきます。
餅のタタリ (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
立て続けにも一口飲んで、徳利を膝の上に両手で握りしめたまま、口の中に残ったかんばしい後味あとあじを、ぴちゃりぴちゃりと舌鼓うった。
特殊部落の犯罪 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
ちゝゆめだ、とつてわらつた、……祖母そぼもともにきてで、火鉢ひばちうへには、ふたゝかんばしいかをり滿つる、餅網もちあみがかゝつたのである。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
女というよりも花、花のようにしなやかで、花のようにかぐわしいあなたは、花の言葉で話をなさった——もし花が方言を使うなら。
一二月いちにがつころのような小枝こえだに、黄色きいろはなけたり、また蝋梅ろうばいのようにもっとはやゆきなかかをりたかくほこるものもあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
其處そこふるちよツけた能代のしろぜんわんぬり嬰兒あかんぼがしたか、ときたならしいが、さすがに味噌汁みそしるが、ぷんとすきはらをそゝつてにほふ。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
といって、女が出て行ってしまったあとで、竜之助は、自分の身に残るうつりといったようなものに、苦笑いをしました。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
やゝしばらくすると大きな無花果の少年こどもほゝの上にちた。るからしてすみれいろつやゝかにみつのやうなかほりがして如何いかにも甘味うまさうである。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
川音がタタと鼓草たんぽぽを打って花に日の光が動いたのである。濃くかぐわしい、その幾重いくえ花葩はなびらうちに、幼児おさなごの姿は、二つながら吸われて消えた。
若菜のうち (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
客「イヤ、モー控えましょう。そんなに戴くと胃吉や腸蔵がどんなに怒るか知れません、だがしかし大層好い匂いがしますな、非常にこうばしくってさも美味おいしそうな匂いが」
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
數日の後、我はマリアと柑子かうじの花かぐはしき出窓の前に對坐して、この可憐なる少女の清淨なる口の、その清淨なる情を語るを聞きつ。少女の語りけらく。
此不自然な昔人の考へを、下に持つた物語として見なければ、カグ木実コノミではないが、匂ひさへもぎ知ることが出来ないであらう。
妣が国へ・常世へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
「芙蓉モ及バズ美人ノヨソホヒ、水殿風来タッテ珠翠カンバシ」と王昌齢がうたったところの西宮せいきゅう睫妤はんにょを想わせる。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
金銀飛車角、きょう、あっしなんぞはただの歩かもしれねえが、歩だってけっこう王手はできるんですよ。りっぱな王手がねえ。え? だんな! 聞かねえんですかよ!
また天皇、三宅みやけむらじ等が祖、名は多遲摩毛理たぢまもりを、常世とこよの國に遣して、時じくのかくを求めしめたまひき。
そのうち、かうばしいやうな、とほくで……海藻かいさうをあぶるやうなにほひつたはる。にほひ可厭いやではないが、すこしうつたうしい。出窓でまどけた。おゝ、る/\、さかんしろい。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その膝に覚ゆる一団の微温の為にとろかされて、彼は唯妙ただたへかうばし甘露かんろの夢にひて前後をも知らざるなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
パリス (廟の前へ進みて)なつかしいはな我妹子わぎもこはなこの新床にひどこうへいて……あゝ、天蓋てんがいいし土塊つちくれ……そのいた草花くさはな夜毎よごとかほみづそゝがう。しそれがきたなら、なげきにしぼわしなみだを。
こりれる塔になよりそ川隅かわくま屎鮒くそぶなはめるいたき女奴めやつこ (巻十六)
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
今までちりぼっけだった職人の腹掛も雨に打たれておやかな紺の色になって赤っぽい紅葉や山茶花の間を通る時に腹掛ばかりが美くしい。
通り雨 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
三訪ふ人稀の石ブミに 霧や不断のコウをたき
テレモピレノ (新字旧仮名) / 槙村浩(著)
(一) 将棋の【歩】にもいろいろあるが敵王頭にピシリと捨身に打って出る【歩】もあれば、マタ、棋士が手に詰まった時、ひょいと突く【ヤリ】の上の【歩】もある。