“香”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
24.3%
にお10.6%
におい10.6%
こう10.6%
かお8.6%
かおり5.9%
にほひ5.3%
かう5.2%
かんば3.4%
かん3.3%
かをり2.3%
かぐ2.3%
にほ1.5%
かを1.3%
0.8%
かぐわ0.6%
こうば0.6%
かほり0.5%
かぐは0.3%
カグ0.3%
カンバ0.3%
きょう0.2%
かく0.1%
かうば0.1%
かうばし0.1%
かほ0.1%
こり0.1%
0.1%
コウ0.1%
ヤリ0.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
かざしの白き、手絡てがらなる、帯の錦、そであや薔薇しょうび伽羅きゃらかおりくんずるなかに
凱旋祭 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それで蟒も納得して、二人は並んで歩き出した。夜風が通る度に、頭から浴びせられた酒が肌であつたまつて、異樣なを立てるのが強く鼻をついた。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
もっとも木村が毎日米国というにおいを鼻をつくばかり身の回りに漂わせて、葉子を訪れて来るので、葉子はうっかり寝床を離れる事もできなかった。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
この、表面白っぽく間の抜けた底に、どこか田舎者めいた強情な狡猾さがぷうんとにおって、決してこれだけが全部でないことを暗示ヒントしていた。
これからは当分、この連続的に退屈モノトナスな低音階と、ぺいんとのにおいと、飛魚と布張椅子キャンヴス・チェアと、雲の峰だけの世界である。
一度燃えたのですから、そのにおいで、消えてからどのくらいったかが知れますと、伺った路順で、下谷したやだが浅草だが推量が付くんです。
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「今朝の味噌汁が悪うございました。飯にもこうものにも仔細しさいはなかった様子で、味噌汁を食わないものは何ともございませんが——」
床柱とこばしらけたる払子ほっすの先にはき残るこうの煙りがみ込んで、軸は若冲じゃくちゅう蘆雁ろがんと見える。
一夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
小鳥ことりはこずえのうえで、おもしろそうにうたっていました。しろいばらのはなからは、よいかおりをおくってきました。
野ばら (新字新仮名) / 小川未明(著)
野に立てば温度や花の香などで野の心持ちもわかり、ひとりで湖に舟をいでは、かおりや風のあたりぐあいなどで、舟の方角を定めました。
青春の息の痕 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
「花であればこれだけの香気を持ちたいものですね。桜の花にこのかおりがあればその他の花は皆捨ててしまうでしょうね。こればかりがよくなって」
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
「まさにその通り、この赤い酒の中には、かおりも匂いも何んにもない、恐ろしい毒が入っている、たぶん昇汞しょうこうというものだろうと思うが」
花のなかなる欝金草は鳥のなかなる孔雀の如し。かれににほひ無くこれに歌無し。かれは其袍そのうはぎを、これは其尾をほこる。 「珍華園」
欝金草売 (旧字旧仮名) / ルイ・ベルトラン(著)
恁麽こんな好いにほひを知らないんだなと思つて、私は何だか気の毒な様な気持になつたが、不意と「左の袂、左の袂」と云つた菊池君を思出した。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
女は身をかへすと、掛けかうを三十もブラ下げたやうなあやしく、艶めかしい香氣を發散させて、八五郎の膝へ存分に身を技げかけるのでした。
室内しつないに、おほき釣鐘つりがねごと香爐かうろすわつて、かすみごとかういた。
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
むなしき槽櫪そうれきの間に不平臥ふてねしたる馬の春草のかんばしきを聞けるごとく、お豊はふっとかしらをもたげて両耳を引っ立てつ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
磯野は一、二の官立学校の試験を、いつも失敗して、今通っている学校は、学課の程度が低く、卒業生の成績や気受けもかんばしい方ではなかった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
その為には、妙子の頬を滅茶滅茶に打って、私自身もさめざめと泣き乍ら、そのかんばしい涙の醍醐味を、倦くことを知らずに啜ったこともありました。
立て続けにも一口飲んで、徳利を膝の上に両手で握りしめたまま、口の中に残ったかんばしい後味あとあじを、ぴちゃりぴちゃりと舌鼓うった。
特殊部落の犯罪 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
手向たむけながらほとんゆきむろかとおもふ、しかかをりたかき、花輪はなわの、白薔薇しろばら
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いづこの庭にうゑたる花にやあらむ、折にふれては妙なるかをりを風がもて来ることもあれど、我が恋ふ人のたまをこゝに呼び出すべきかをりにてもなければ、要もなし
我牢獄 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
秋日の下に曳きだして、いかにかぐわしい飼料をやっても、水辺にのぞかせても、首を振っては悲しげに麦城のほうへ向っていななくのみであった。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
園花枝は、少し顔を染めて、足の勇をたしなめました。嬌嗔きょうしんを発した顔は、咲き立ての芙蓉ふようを見るような、かぐわしい美しさに輝きます。
女記者の役割 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
窓下の丁字の花がはつきりとにほつて来る薄雲りの晩に、森と青野が、町端れの音田の部屋でトランプ合戦に耽つてゐると、からたちの生垣の向ふで、
まぼろし (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
茶屋小屋ちややこや火鉢ひばちにほはすと、いた一端ひとはし燒切やけきらないうちに、ぎつけられて、あやしまれて
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
風恬かぜしづかに草かをりて、唯居るは惜き日和ひより奇痒こそばゆく、貫一は又出でて、塩釜の西南十町ばかりの山中なる塩の湯と云ふに遊びぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それをあめのために、にほひがやはらげられて、ほとんど、あるかないかのように、しんみりとしたふうにかをつてる、とべてゐます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
鐵柵の中の老木の櫻は、疾くに花吹雪を作つて、若葉の間に實が結びかけてゐるけれど、花の匂ひはまだ、何處にか移りを留めてゐるやうである。
太政官 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
といって、女が出て行ってしまったあとで、竜之助は、自分の身に残るうつりといったようなものに、苦笑いをしました。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
二人は大烏を急いで流れへ連れて行きました。そして奇麗きれいに傷口を洗ってやって、その上、傷口へ二三度かぐわしい息を吹きかけてやって云いました。
双子の星 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
またトリックにしても、あまりに凝りすぎて尋常な読者にはとうてい端倪たんげいすべからざるようなのもかぐわしくない。
現下文壇と探偵小説 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
……天麩羅てんぷらとも、蕎麦そばとも、焼芋とも、ぷんと塩煎餅のこうばしさがコンガリと鼻を突いて、袋を持った手がガチガチと震う。
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やきたてのこうばしいにおい戸外そとまでぷんぷんする。
二少女 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
さき程よりストオヴの暖気、ヴアイオレツトのかほり嬌紅けうこう艶紫えんしの衣の色、指環ゆびわ腕環うでわの金玉の光、美人
燕尾服着初めの記 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
フワリ/\と生温なまぬるかぜゐてはなかほりせままどからひとおもてかすめる
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
數日の後、我はマリアと柑子かうじの花かぐはしき出窓の前に對坐して、この可憐なる少女の清淨なる口の、その清淨なる情を語るを聞きつ。
昌黎しやうれい馬上ばじやうこれけてそでにすれば、ゆきかぐはしく立處たちどころ花片はなびらとなんぬとかや。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
此不自然な昔人の考へを、下に持つた物語として見なければ、カグ木実コノミではないが、匂ひさへもぎ知ることが出来ないであらう。
妣が国へ・常世へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
出石イヅシ人の一人で国の名を負うたたぢまもりの、時じくのカグ木実コノミを取り来よとの仰せで渡つたのは、橘実るハヽが国なる南の支那であつた。
妣が国へ・常世へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
水殿スヰデン カゼキタリテ珠翠シユスヰカンバ
武者窓日記 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
吹イテ海花トッテ遍界ヘンカイカンバ
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
王将、金銀、けいきょう、飛車、角、九ツの、数はかかる境にもちがいはなかった。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
くやしいね。恥ずかしいなら恥ずかしいと、はっきりおっしゃりゃいいんだ。てれかくしに黙らなくともいいんですよ。だいいち、将棋が桂馬ばかりでさせると思っていらっしゃるのがもののまちがいなんだ。金銀飛車角、きょう、あっしなんぞはただの歩かもしれねえが、歩だってけっこう王手はできるんですよ。
また天皇、三宅みやけむらじ等が祖、名は多遲摩毛理たぢまもりを、常世とこよの國に遣して、時じくのかくを求めしめたまひき。
その時じくのかくの木の實は今の橘なり。
そのうち、かうばしいやうな、とほくで……海藻かいさうをあぶるやうなにほひつたはる。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼は唯妙ただたへかうばし甘露かんろの夢にひて前後をも知らざるなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
パリス (廟の前へ進みて)なつかしいはな我妹子わぎもこはなこの新床にひどこうへいて……あゝ、天蓋てんがいいし土塊つちくれ……そのいた草花くさはな夜毎よごとかほみづそゝがう。
こりれる塔になよりそ川隅かわくま屎鮒くそぶなはめるいたき女奴めやつこ (巻十六)
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
今までちりぼっけだった職人の腹掛も雨に打たれておやかな紺の色になって赤っぽい紅葉や山茶花の間を通る時に腹掛ばかりが美くしい。
通り雨 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
三訪ふ人稀の石ブミに 霧や不断のコウをたき
テレモピレノ (新字旧仮名) / 槙村浩(著)
(一) 将棋の【歩】にもいろいろあるが敵王頭にピシリと捨身に打って出る【歩】もあれば、マタ、棋士が手に詰まった時、ひょいと突く【ヤリ】の上の【歩】もある。