)” の例文
といって、女が出て行ってしまったあとで、竜之助は、自分の身に残るうつりといったようなものに、苦笑いをしました。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
にくからず思ひうつわすれ難しと雖も養父の手前一日二日は耐へしが何分なにぶん物事手に付ず實家じつかへ參るといつはりて我が家を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
鐵柵の中の老木の櫻は、疾くに花吹雪を作つて、若葉の間に實が結びかけてゐるけれど、花の匂ひはまだ、何處にか移りを留めてゐるやうである。
太政官 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
そして、その墨染すみぞめの袖に沁みているこうにおいに、遠い昔のうつを再び想い起しながら、まるで甘えているように、母のたもとで涙をあまたゝび押しぬぐった。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そのくせ、別にわきか何かのやうにいやな感じを伴つてゐるのではないが——。
かたはらにある衣桁いかうには、紅梅萌黄こうばいもえぎ三衣さんえを打懸けて、めし移りに時ならぬ花を匂はせ、机の傍に据ゑ付けたる蒔繪のたなには、色々の歌集物語かしふものがたりを載せ、柱には一面の古鏡を掛けて
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
玉ゆらの吐息にしみし移り
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
油搾木あぶらしめぎのしめり
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
くゆりは、莖葉くきばして
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
匂ひ空にながれて
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
匂ひしめる水際みぎは
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)