“薫”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
かおり22.7%
かお19.7%
くん12.3%
かを9.4%
かおる7.1%
かをり6.1%
くゆ4.5%
3.6%
かんば2.3%
くゆり1.6%
(他:33)10.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“薫”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 詩21.2%
文学 > 日本文学 > 小説 物語5.9%
文学 > 日本文学 > 詩歌4.3%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
眼のふち清々すがすがしく、涼しきかおりつよく薫ると心着こころづく、身はやわらかき蒲団ふとんの上に臥したり。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
残燈ありあけ暗く床柱とこばしらの黒うつややかにひかるあたり薄き紫のいろめて、こうかおり残りたり。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
字などもちょっときれいで、唐紙とうしに香のかおりのませたのに書いて来る手紙も、文章も物になってはいなかった。
源氏物語:22 玉鬘 (新字新仮名) / 紫式部(著)
芙蓉の体はいと軽かった。柔軟で高貴なかおりがあった。そして彼女の手は、劉備の肩にまとい、劉の頬は、彼女の黒髪にふれた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
茂與もよは斯う言つて眉を落すのです。顏がくもると一入ひとしほ美しさが引立つて、不思議な魅力が四方にくんじます。
あまつさ何方いずかたにて召されしものか、御酒気あたりをくんじ払ひて、そのおそろしさ、身うちわなゝくばかりに侍り。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
さるほどに桃李たうりなつみどりにして竹柏ちくはくふゆあをく、きりかんばしくかぜかをる。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
東作は煙草盆を引寄せて一服吸付け、長閑のどかな煙を長々と吐きました。プーンと高貴な、國府こくぶかをり——。
と言って、不安でこのままでは帰れぬふうを見せるために、女王の病室の御簾みすの前へ座が作られ、かおるはそこへ行った。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
かおるは新年になれば事が多くて、行こうとしても急には宇治へ出かけられまいと思って山荘の姫君がたをたずねてきた。
源氏物語:48 椎が本 (新字新仮名) / 紫式部(著)
花卉くわきかをり、幽かなる樂聲、暗き燈火ともしびやはらかなる長椅は我を夢の世界にいざなひ去らんとす。
是においてか我直に。あゝ永遠とこしへの喜びの不斷の花よ、汝等は己がすべてのかをりをたゞ一と我に思はしむ 二二—二四
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
一同宗門仏に加持致し、或は異香をくゆらし、或は神水を振りそそぎなど致し候所、篠の乱心はおのづから静まり、里も程無く蘇生致し候由
尾形了斎覚え書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
その香の高い中へ、衣服にたきしめる衣被香えびこうも混じってくゆるのが感じよく思われた。
源氏物語:23 初音 (新字新仮名) / 紫式部(著)
さうして室内しつないなにかうゆらすやうにとニキタにめいじて立去たちさつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そうして室内しつないなにこうゆらすようにとニキタにめいじて立去たちさった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
御方は満足らしくうなずいて、言葉しずか、息かんばしい京なまりで、自分の生立ちを物語りだした。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
下野の風采ふうさいというものは、何分にも、彼の国元においてさえ、あまりかんばしくないものである。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
既にしきゐを出でしとき、媼走り入りて、くゆりに半ば黒みたる聖母の像を、扉より剥ぎ取りて贈りぬ。
かのしき越歴機えれきの夢は天鵝絨びろうどくゆりにまじり、
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そう云ってそれを置いて行ったが、衣筥の中から出たものは、立派なてんかわごろもで、昔の人のきしめた香の匂が
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
たゞ母の衣には、何と云うものか特別に甘い匂のする香がきしめてあったので、じっと無言で抱きしめられている間が好い気持であった。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
わし背中せなか呼吸いきかよつて、微妙びめうかほりはなびらにあたゝかつゝまれたら
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
結構けつこうかほりのするあツたかはななかへ、やはらかにつゝまれて、あしこし
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そこで綱宗の吉原へ通つた時、何屋の誰のもとへ通つたかと云ふと、それは京町の山本屋と云ふ家のかをると云ふ女であつたらしい。
椙原品 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
力づよい後見を得たいばかりに、光源氏に嫁いだが、柏木と密通懐妊してかをるを生んだことはすでに語つた。
たらの木の心から製したもそろの酒は、その傍の酒瓮みわの中で、かんばしい香気を立ててまだ波々とゆらいでいた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
がそれから三日目、江戸の初夏が次第にかんばしくなつた頃、お北は顏色變へて飛込んで來ました。
光広が、こう訊ね出した時は、その光広も他の人々も、なにやらにおわしいものが、この温かい部屋いっぱいに立籠めているのを感じ出していたのである。それもたしかに、この木の燃える匂いらしかった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なるほど、こうの水はいつのまにか鉛色に見え、そよ風は雨気をささやきはじめて、藤の花の紫は、まさに死なんとする楊貴妃ようきひの袂のように、にわかむせぶようなにおいを散らしておののいている。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
○鰻の骨はスープにしてタレを製するもよし。焼きて鶏に与うるも功あり。夏日はこれをいぶして蚊を追うにもよし。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
床は呪水に濡らされ、身は護摩ごまの煙にいぶさるゝは、これがために非ずや。
その一本の線香の細さ、立ち昇る煙のたよたよしさ、——少女は勿論もちろん目を閉ぢたなり、線香のかほりをいでゐるのである。
わが散文詩 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
まろらにかほそよかぜの
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
あをによし寧楽ならみやこはなにほふがごとくいまさかりなり 〔巻三・三二八〕 小野老
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「咲く花のにほふがごとく今盛なり」と歌われたみ代に、何故このみ仏は受難の相貌を呈しているのであろう。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
そういう中で、わたしの好きなかおりぐさだけは残った。
秋草 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
畑の中央部につた可愛らしい小さな家も無論取こぼたれた。それを取囲んでゐたかぐはしいにほひを放つ多くの草花は無造作に引抜かれて、母家おもやの庭の隅つこへ移し植ゑられた。
新らしき祖先 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
唯後に残つたは、向うの岸の砂にさいた、したたかな柳の太杖で、これには枯れ枯れな幹のまはりに、不思議やうるはしいくれなゐの薔薇の花が、かぐはしく咲き誇つて居つたと申す。
きりしとほろ上人伝 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
われ、その一部始終を心のうちに繰返しつつ、異国より移し植えたる、名も知らぬ草木くさきかぐわしき花を分けて、ほの暗き小路を歩み居しが、ふとまなこを挙げて、行手を見れば、われを去る事十歩ならざるに、伴天連ばてれんめきたる人影ひとかげあり。
るしへる (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
『あなたのところかほるさんや千枝子さんはどうしていらつしつて。』
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
懐中の名香みょうごう、そのとき殿中にこうじ渡る。献上の品は何々ぞ。七十五里を一目に見る遠目金とおめがね芥子粒けしつぶを卵のごとくに見る近目金、猛虎の皮五十枚、五町四方見当なき鉄砲、伽羅きゃらきん、八畳釣りの蚊帳かや、四十二粒の紫金しこんいたコンタツ。
ハビアン説法 (新字旧仮名) / 神西清(著)
今昔物語には、此の大臣もまた「形美麗に有様いみじきこと限りなし」「大臣のおん形ごゑ気はひたきものよりはじめて世に似ずいみじきを云々」と記しているので、われ/\は富貴と権勢と美貌と若さとに恵まれた驕慢きょうまんな貴公子を、直ちに眼前に描くことが出来る。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そこはかとなく心に染むそらだきもの。
秋の七草に添へて (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)