“くん”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:クン
語句割合
41.7%
24.3%
7.8%
3.9%
2.9%
2.9%
2.9%
1.9%
1.9%
1.9%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
1.0%
薫々1.0%
1.0%
1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
露時雨つゆしぐれ夜ごとにしげくなり行くほどに落葉朽ち腐るる植込うえごみのかげよりは絶えず土のくんじて、鶺鴒せきれい四十雀しじゅうから藪鶯やぶうぐいすなぞ小鳥の声は春にもましてにぎわし。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
蝉取りの妙味はじっと忍んで行っておしいくんが一生懸命に尻尾しっぽを延ばしたりちぢましたりしているところを、わっと前足でおさえる時にある。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いつも変らぬことながら、お通は追懐の涙をそそぎ、花を手向けて香をくんじ、いますが如く斉眉かしずきて一時余いっときあまりも物語りて、帰宅の道は暗うなりぬ。
妖僧記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
梅月で誰かにくんで遣った湯の返しのなかった事、常磐屋ときわやで大臣さんにお目に懸った事、船で花見の約束に行った事、こちらのからもしきりに笑い声が漏れるようになったが
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
『一せんくんなさい!』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ト向うがくん三等ぐらいな立派な冠木門かぶきもん。左がその黒塀で、右がその生垣。ずッと続いて護国寺の通りへ、折廻した大構おおがまえ地続じつづきで。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこで勇仙がくんで読むことを教えたが、壮士には呑込めたような、呑込めないような面持おももち
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
一しきり休むとまた馬にまたがり、がむしゃらにけ出す。終日乗り疲れ黄雲こううん落暉らっきくんずるころになってようやく彼は幕営ばくえいに戻る。疲労だけが彼のただ一つの救いなのである。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
それからにわかに紫雲がたなびいて異香がくんじたり、虚空こくうに花が降ったり音楽が聞えて来たりして、夫婦はたちまち金色の佛と変じ、黄金の蓮花に乗って天へ昇ってしまったのであるが
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
身動みうごきもせずじつとして兩足をくんすわつてると、その吹渡ふきわた生温なまぬくいかぜと、半分こげた芭蕉の實や眞黄色まつきいろじゆくした柑橙だい/\かほりにあてられて、とけゆくばかりになつてたのである。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
これから四ツ谷くんだりまで、そりゃ十年おやといつけのようなたしかな若いものを二人でも三人でもおけ申さないでもございませんが、雪や雨の難渋なら、みんなが御迷惑を少しずつ分けて頂いて
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
くんちゃんはあたしとおみき徳久利どっくりのように、長唄のおつきあいざらいにお師匠さんに連れてかれた少女ひとだから、そのうちに書かなければならない。
そこで中宮は、あからさまに言葉に出して言われる。中宮、「無下に思ひくんじにけり。いとわろし。言ひめつることは、さてこそあらめ」。彼女、「人に随ひてこそ」。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
何程才覚アリテ甲斐/\しくトモ義理ヲ知ラヌ誠ノ無者ヲ人ノ後見トハ成スベカラズト、皆人沙汰シアヘリ、隼人正ハ力ナク唯二人ノ小姓ト手ヲトリくん徒膚足かちはだしニナリ阿部野ヲさしテタドリ行
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
見給え、この闖入者ちんにゅうしゃは薄と厚とを知らない、醤と油とをわきまえない、清と濃との分も、くんとの別も頓着しない——およそ口腹を満たし得るものは、皆ひっかき廻して口に送る。
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
わけても、新婦は、まだ華燭かしょくのかがやきのせない金色こんじき釵子さいしを黒髪にし、いつぎぬのたもとは薫々くんと高貴なとめの香りを歩むたびにうごかすのだった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
くんで差出すぼん手薄てうす貧家ひんか容體ありさま其の内に九助は草鞋わらぢひもときあしを洗ひて上にあがり先お里へも夫々それ/″\挨拶あいさつして久々ひさ/″\つもる話しをなす中にやがてお里が給仕きふじにて麥飯むぎめし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
経済世界に至りては仏国もなく、ゲルマンもなく、またいずくんぞその恩あり、あだあらんや。英人いかに強情にして高慢なるも、酔いをくんずるには仏国葡萄ぶどうの美酒をわざるべからず。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)